ティルマン・ラフ氏 識者評論/原発震災-海外核専門家の目 「福島の子供を守れ 日本の放射線基準に失望」

(2011/04/29 17:23), 丸谷 博男  wrote:

Subject: [fukkoushien_nuae:0143] 丸谷より、ご存知かもしれませんが参考に。

> 日本の政府をどのように捉えるのか。改めて考えなくてはならないですね。
> 参考として送ります。
> ////////////////////////////////////////
> 福島の学校における放射線基準値、すなわち子どもにどれだけの被爆線量を「許
> 容」するかということがいま大きな問題になっていますが、4月26日付で共同
> 通信が、豪メルボルン大学のティルマン・ラフさんの論説「福島の子供を守れ 
>  日本の放射線基準に失望」という記事を配信(英語および日本語)しています
> ので、ご紹介します。
>
> ティルマン・ラフさんは、メルボルン大学ノッサル世界保健研究所准教授、核兵
> 器廃絶国際キャンペーン(ICAN)代表であり、また、核戦争防止国際医師会
> 議(IPPNW)(1985年に団体としてノーベル平和賞を受賞)の副代表
> (東南アジア太平洋地域)も務めている方です。
>
>
> 【英語版へのリンク】
> http://english.kyodonews.jp/news/2011/04/87835.html
>
> OPINION: Children of Fukushima need our protection
> By Tilman Ruff
> MELBOURNE, April 26, Kyodo
>
>
> 【日本語版】
>
> 2011年04月26日
>
> 識者評論「原発震災―海外核専門家の目」
>
> 福島の子供を守れ 
> 日本の放射線基準に失望
>
> 豪メルボルン大准教授 ティルマン・ラフ 
>
>  文部科学省が福島県の子供の許容放射線量を(結果的に従来より)引き上げた
> ことを知り、失望した。設定した基準値は毎時3・8マイクロシーベルトで、
> (単純計算すると)年間33ミリシーベルト以上に相当する。これは、幼稚園や
> 保育園、小中学校に通う子供に適用される。どういうことか、考察してみたい。
>
>  広く認められた科学的知見によれば、健康への放射線のリスクは線量に比例す
> る。線量が大きくなるほどリスクが増える。リスクが皆無という水準はない。
>
>  国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、あらゆる被ばくは達成可能な
> 限り低減すべきであり、公衆の線量限度は自然放射線と医療行為による放射線を
> 別として、年間1ミリシーベルトだ。原子力産業の作業員の最大許容量は5年間
> の平均が年間20ミリシーベルトで、50ミリシーベルトを超える年があっては
> ならない。
>
>  日本では作業員の最大許容量は(緊急時のため)100ミリシーベルトで国際
> 的水準より高かったが、福島第1原発事故の事態深刻化で250ミリシーベルト
> に引き上げられた。
>
>  米科学アカデミーの報告書は、1ミリシーベルトの被ばくで、1万人に1人が
> 白血病以外のがんに、また10万人に1人が白血病になるリスクが増え、1万7
> 500人に1人ががんで死亡するリスク増があると推定している。
>
>  だが重要なのは、誰もが同じ水準のリスクにさらされるわけではないというこ
> とだ。1歳以下の幼児は大人に比べ、がんのリスクが3~4倍高くなる。女児は
> 男児よりも2倍影響を受けやすい。被ばくで女性ががんになるリスクは全体とし
> て、男性より40%大きい。
>
>  放射線に対する感受性が最も強いのは子宮内の胎児だ。英オックスフォード大
> の先駆的な小児がん調査の結果、母体のエックス線検査で胎児が10~20ミリ
> シーベルトの被ばくをした場合、15歳以下の子供のがん発症率が40%増加す
> ることが分かった。
>
>  ドイツでは、25年間の全国の小児がん登録データによる最近の研究で、原子
> 力発電所が通常に運転されていても、原発の5キロ圏内に住む5歳以下の子供の
> 白血病リスクは2倍以上となることが示された。リスク増は50キロ以上離れた
> 場所に及んでいた。予想よりはるかに高いリスクだ。胎児、幼児が特に放射線に
> 弱いことが際立つ。
>
>  外部被ばくを監視する典型的な線量計で測定できる放射線に加え、福島の子供
> たちは、呼吸で肺に入った粒子や、汚染された食品や水を口にすれば内部被ばく
> もする。多くの放射性物質が食物連鎖で濃縮され、人間に摂取される。
>
>  親として、また医師として、福島の子供たちに、このような有害なレベルの放
> 射線被ばくをさせることを許す決定は、われわれの子供と将来の世代を守る責任
> の放棄であり、受け入れられない。
>
>    ×   ×
>
> TILMAN RUFF 55年オーストラリア・アデレード生まれ。モナッシ
> ュ
> 大で医学を学ぶ。メルボルン大ノッサル世界保健研究所准教授。非政府組織(N
> GO)「核兵器廃絶国際運動」の議長。
>
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