国交省 仮設から仮設へ転居OK 国 「地元に戻れるように」

仮設から仮設へ転居OK 国「地元に戻れるように」

朝日新聞110519】東日本大震災での岩手、宮城、福島の3県の被災者に、県外の仮設住宅に入居した後に地元の仮設住宅に入り直すことを認める方針を国が決めた。国土交通省が18日、明らかにした。これまでは認められていなかった。

 福島県では東京電力福島第一原発事故の影響で、岩手、宮城両県は津波で被害を受け、地元を離れて県外の仮設住宅に入った人が多い。地元に仮設住宅ができるのを待って避難所暮らしをする被災者もいる。国はこうした状況の打開を狙っており、今回の方針を3県に伝えた。

 厚生労働省によると、仮設住宅について定める災害救助法は「現に救助を必要とする者」を入居者として規定。仮設住宅に一度入れば、別の場所の仮設に移ることは事実上認めていなかった。被災者が地元以外の仮設住宅に入ることを想定できなかったからだ。

 同省の担当者は「住み慣れた場所にいられなくなった人は大勢いる。被害の実態を踏まえ、地元を離れた人でも地元に戻れるようにしたかった」と話す。

 菅直人首相は「お盆までに希望者全員が仮設住宅に入居できるようにする」という目標を掲げ、生活環境の厳しい避難所の解消を急いでいる。

 県外の仮設住宅には、自治体が借り上げた民間賃貸住宅や公営住宅も含まれる。入居後、地元に新設された仮設への転居を望めば、国は原則認める方針だ。

 国はまた、福島第一原発から20~30キロ圏内の「緊急時避難準備区域」について、成人の単身世帯など自力で避難できる世帯を対象に、自治体が仮設住宅がわりに借り上げた民間賃貸住宅で暮らすことを認めることも決めた。(坂田達郎)

 

被災者、近隣仮設へ転居可能に 厚労省が方針転換

共同通信110519】厚生労働省は、東日本大震災で建設された仮設住宅の入居者が 別の仮設住宅へ転居することを認める方針を決めた。抽選で入居者が決められ、地域の住民がばらばらの仮設住宅に入居するケースが多い。コミュニティーの維 持を重視し、可能な場合は同じ地区の人が同じ仮設住宅群に住めるよう転居を実施する。

 仮設住宅は原則、転居を認めてこなかったが、厚労省は18日の政府検討会議で県外などの仮設住宅に入居した人が地元に建設された仮設住宅に再入居する方針は打ち出した。さらに同じ市町村内でも転居を容認する。

 災害救助法は、住宅が全半壊などした被災者に仮設住宅を提供すると規定している。これまでの自然災害では、いったん仮設住宅に入居すると救助が完了したとみなし、別の仮設住宅への転居は原則として認めていなかった。

 しかし、1995年の阪神大震災では、仮設住宅に移った後に地域のつながりが薄れたことなどから、高齢者を中心に250人以上が孤独死した。東日本大震災の被災地も高齢者が多く、阪神の教訓を生かした配慮が必要と判断した。

 被災者が職場への通勤や、子どもの通学に便利な場所に転居することも可能となる。

 具体的な手続きとしては、避難所に身を寄せる人全員の仮設住宅入居を優先。その後、各市町村が入居者のニーズを把握しながら調整して転居を進め、無秩序な転居は防ぐ。

 岩手県釜石市の幹部は「内陸部の仮設住宅に入った漁業者などから転居の問い合わせが多い。コミュニティーの再生も見据え、調整したうえで転居を実施したい」としている。

 厚労省は被災県にまだ正式に通知しておらず、現状では入居者に対し「仮設住宅間の転居はできない」と従来通りの説明をしている自治体も多いという。

 

県外避難者の地元仮設転居容認 厚労省が方針転換

茨城新聞110520】東日本大震災で県外の仮設住宅に入居した被災者が地元の仮設住宅に入り直すことを厚生労働省が認めていなかった問題で、同省は方針を転換し、仮設住宅間の転居を認めることを決めた。国と本県は、福島県の避難者向けにつくば市内の国家公務員宿舎501戸を仮設住宅として用意しているが、「故郷に帰れなくなる」と入居に二の足を踏む避難者が出て、福島県など被災自治体が弾力運用を国に再三訴えていた。
 福島県避難者の対応に当たっている県危機管理室は「国や福島県からまだ正式に通知がなく、報道で知ったばかり。避難者には朗報で、確認が取れ次第、避難者に情報を提供したい」としている。
 県によると当初、第1陣21世帯が公務員宿舎への入居を希望したが、故郷の仮設住宅へ転居できないとの国の方針が伝わると、10世帯に半減した。
 災害救助法は、住宅が全半壊した被災者に仮設住宅を提供すると定めているが、仮設住宅間の転居を想定していなかった。転居を認めると必要戸数の積算が増えるとの事情も背景にあった。
 しかし、今震災では県外避難者が多く、福島県などは「故郷に帰りたい被災者の気持ちを酌んで」と早くから国に要望。ようやく厚労省は18日の政府検討会議 で、県外など遠隔地の仮設住宅や公営住宅などにいったん入居した被災者が、地元の仮設住宅に再入居することを認める方針を打ち出した。
 県によると、18日現在で309人の福島県避難者が避難所(ホテル・旅館含む)で生活し、親戚宅などに身を寄せる人も相当数に上るとみられている。