岩手県 「沿岸にエコタウン構想 県、太陽光や風力活用」

沿岸にエコタウン構想 県、太陽光や風力活用

岩手日報110530】県は東日本大震災後の沿岸部のまちづくりに向け、太陽光やバイオマスの活用で災害時にもエネルギーを自家調達する「三陸エコタウン構想」を復興ビジョンの柱に据える方針だ。住宅などの小規模発電を軸に、水害危険区域への風力発電や大規模太陽光発電所「メガソーラー」の導入も探る。県内では自然エネルギーの活用を復興計画に盛り込む自治体もあり、エネルギー自給で災害に強い新たな三陸像を描く。

 県は震災による大規模停電や、孤立集落への燃料支援が十分に行き届かなかった教訓を踏まえ、現在策定中の復興ビジョンでエネルギー自給を提唱。今後3年以降に行う中期的な取り組みに、再生可能エネルギーを活用した非常時にも自立できる都市形成を盛り込む考えだ。

 構想では、集落単位で小規模太陽光発電と蓄電池、太陽熱温水装置、木質バイオマス・ボイラーなど各種エネルギーを組み合わせて活用する。平時は夜間電力などに充て、電気やガスが止まる災害時には最大1週間ほど自活可能な設備にする。高台移転集落や公営住宅、中小事業所への導入を検討している。

 さらに、水害危険区域などに多数の太陽光パネルを並べる「メガソーラー」や風力、洋上風力、波力などを活用した大規模発電の可能性も模索。今夏をめどに沿岸自治体と勉強会を立ち上げる方針で、港湾や水産施設への供給、売電などを視野に入れる。福島第1原発事故に伴い国も自然エネルギーの利用促進を打ち出しており、県は既に国に対して支援も要請している。 

 気象庁によると、昨年の年間日照時間は宮古市1792時間、久慈市は1767時間で、県内平均の1603時間を大きく上回る。研究者らでつくる「いわて海洋資源活用研究会」の報告では、久慈市や洋野町の洋上風力は一定以上の風速が見込まれるなど活用が十分期待できるという。

 県環境生活部の工藤孝男部長は「災害に強いまちを探る上で、自然エネルギーの活用は有効な選択肢。被災地ならではの防災、エコの可能性を考え、具体化させたい」と話す。

 一方、県内自治体でも同様の動きが広がりを見せており、久慈市は復興ビジョンに自然エネルギーの活用方針を盛り込んだ。陸前高田市も復興計画策定方針の柱として、家庭への設備導入や津波流失地域などへの発電設備導入を検討する方針だ。

 久慈市の山田一徳政策推進課長は「風力は有力な選択肢になり得る。幅広く可能性を探りたい」と期待する。