discussion  「木造耐震診断士」の資格について(柳沢・東京支部)

(2011/06/13 16:46), wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2592] 「木造耐震診断士」の資格について

> 東京支部のみなさまへ
> 企画部 柳澤です
>
> 最近の状況から以前から気になっていた「木造耐震診断士」の資格を取ろうと調べてみました。
>
> 東京都内で窓口となっている「財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター」のHPを参照
> してください
> http://www.tokyo-machidukuri.or.jp/tatemono/2011taishin_koushuukai.html#耐震診断技術者育成講習会の開催・修了考査の実施
>
> それによると6月20日から受付となっていました。
> これはタイムリー!ということでさらに調べてみたのですが、しかし・・・・
>
> 私は以前 平成16年にこの耐震診断の講習は受けていました。(この時は講習だけでした)
> それとの兼ね合いもよくわからなかったので、東京都防災建築まちづくりセンターの担当者に
> 直接電話で聞いてみました。
> すると、東京都の運用が平成18年に変わり今回は新たに講習から受けなおす必要があるとの
> ことでした。
> そして 講習の後の考査を合格して「木造耐震」の資格が得られるという事でした。
> しかしここが問題!!
> それで「木造耐震診断士」になるかというと、「木造耐震診断士」という“個人資格”はない
> のだそうです!!
> それはなんで??
> つまりまだ「木造耐震診断士」は全国的な資格体制としては成り立っておらず、「木造耐震診
> 断士」については実質的には各自治体(村~県)ごとに対応しており、その実態・内容は“ば
> らばら”ということでした。
> こうした実情の下、法整備もなく個人資格としての「木造耐震診断士」という個人資格は「無
> い!」という事です。
> ちなみに東京都では、この講習を受講してかつ考査(受講料+考査料=10,000円他に6,500円の
> テキストが必要)に合格すると(合格するのはむづかしいらしく東京都のレベルは高いそうで
> す。)、その個人が所属する事務所が東京都に申請(申請料50,000円!)すると「木造耐震診
> 断事務所」という看板が挙げられる許可が東京都から得られるという事です。
>
> こんなことがわかりました。
>
> なんだかなぁ~~
> ということで今回受講するかどうするか考えてしまいました。
>
> このようなところにも、きちんとした実動に直接結びつく統一した体制づくり法整備が早急に
> 必要とつくづく思います。
> (これについて情報を持っている方おしえてください。)

(2011/06/13 17:08), 富塚 孝 wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2593] Re: 「木造耐震診断士」の資格について

> 新協建設工業株式会社富塚です。
> 私も講習を受けて一回不合格で、二回目で何とか合格しました。講習内容と直接
> 的関係がある終了考査問題は半分ぐらいです。計算問題(壁量計算、耐震ランク
> 判定、など練習をしていないと面喰います。
> また、事務所としての東京都の認定ですのでメリットはありません。
> 診断力、耐震計算の基礎を再学習することと割り切るのがよいでしょう。
> 行政区でもこの資格を知らないところが多く、事務所協会会員でないと補助金受
> 給のための耐震診断と認めません。

(2011/06/13 17:25), wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2594] Re: 「木造耐震診断士」の資格について

> 富塚さま
> 柳澤です
>
> 早速の返信情報ありがとうございます。
>
> すでに資格を取られていたとはさすが富塚さん
>
> また考査方法もわかり大変そうだ!ということもわかりました。
> 富塚さんの言うように、自分のレベル向上にと割り切って受講するということがよさそうです
> ね。
> 大変に参考になりました。ありがとうございます。

(2011/06/13 19:36), Hiroshi Hasebe wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2595] Re: 「木造耐震診断士」の資格について

> 柳澤様
>
> ご無沙汰しています
> 講習会は「木造住宅の耐震診断と補強方法」を使用して行われます。
> 私の時は工学院の宮澤健二先生が講師でしたが、「ここが重要ですよ」
> と云われた個所は、確かに重要な事柄ですが、富塚さんのメールにある
> ように試験には50%も出題されません。私の時の合格率は33%程度
> だったと思います。登録事務所は「都耐協」の会員になっています。
> 東京都は都耐協をバックアップしていますが、東京都内全ての自治体で
> 認められているという訳ではありません。
> 活動、各自治体の木造耐震補助についてなどは「都耐協」のHPが参考
> になると思います。
> ================================
> 株式会社 雄設計 長谷部 浩
> ================================

(2011/06/13 20:46), とも企画設計 村上久美子 wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2596] Re: 「木造耐震診断士」の資格について

> 柳澤様
>
>  渋谷区の設計事務所は、
>  東京都の耐震診断登録事務所になれば、
>  渋谷区の耐震診断コンサルタントに登録できますよ。
>  建築士事務所協会推薦がなくても大丈夫です。
>
>  区からの派遣で、指定された木造住宅の耐震診断を行う仕事です。

 

>
>  ということなので、他の自治体はともかく
>  柳澤さんにとっては役にも立つ資格だと思います。
>
>                          村上

(2011/06/14 0:11), 高本 明生 wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2597] Re: 「木造耐震診断士」の資格について

> 高本明生です。
>
> 東京都木造住宅耐震診断士について、柳沢さんの書かれたとおり。
> 個人が受講し、考査に合格する事が要求されます。
>
> その後、合格した個人が所属する設計事務所が東京都防災建築まちづくりセン
> ターに申請すると東京都耐震診断事務所として登録されます。
>
> ただし、診断に関わる業務のマニュアルを作成し、その通りに業務を遂行するこ
> とが求められます。
>
> 東京都23区内では、豊島区、
> 23区外では、幾つかの市町村が、この東京都耐震診断事務所を診断機関として
> 認めています。
>
> 多くの市区町村が、建築士事務所協会独占状態という事を考えれば
> 設計者にとっても、住まい手にとっても、選択肢が広がるということになると思
> います。
>
> 昭和56年以前に建設された木造住宅の耐震性を上げるというのは、大事な事です
> から、建築技術者としての姿勢から判断した方が良いのではないでしょうか?
>
> ちなみに、私の事務所は、東京都耐震診断事務所に登録しています。
> 診断技術者は高本直司です。
> この間、町田市以外で、国立市、武蔵野市、東大和市等で耐震(精密)診断を行
> いました。
> 他の方々が登録してくださると、遠くまで出かけなくて済みますので、助かります。

(2011/06/14 15:48), wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2598] 木造耐震診断事務所についての情報(柳澤)

> 富塚さん 長谷部さん 村上さん 高本さん
>
> みなさんの実際に則した「木造耐震診断士」に関する情報ありがとうございました。
> 実際の様子がたいへんよくわかりました。
>
> 資格の有効期間についてわからないところがあったので、防災まちづくりセンターに再度確認
> しました。講習の後の考査に合格すると合格通知がその個人に郵送されるそうで、その後は三
> 年ごとの更新手続き(更新考査料:3,000円)が必要だそうです。
> そして「木造耐震診断事務所」の登録も三年更新だそうです。更新料8,000円
>
> なんかお金のことばかり言うのはちょっと気が引けますが、講習+考査料が10,000円と言うのは
> 納得しても、「木造耐震診断事務所」新規登録料が50,000円というのはねぇ~~
> かといって事務所登録しなければ実質的に有効な資格ではないようですし・・・
> 耐震コンサルタントの報酬は少ないようですし・・・
> 考査はむづかしいようですし・・・
>
> これから「木造耐震診断技術士」?(こういう名称も無いみたいですが)を取ろうという方は
> これらの内容を参考にしてください。
> 6月20日から申し込み開始です。
> 富塚さんのおっしゃるように自分の技術レベルの研鑽と割り切るのがよいのかもしれませんね。
> わたしはもうちょっと考えます。それでは(柳澤)

(2011/06/14 16:01), wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2599] Re: 木造耐震診断事務所についての情報(柳澤)

> 海老沼です。
>
> 柳澤さんの発信からはじまった「木造耐震診断士」のやりとりをずっとみてました。
>
> みなさんからお返事が来るたびに、なるほど…
> たいへん勉強になりました。
> (このMLすごいなぁ・笑)
>
> よくわからないながら興味を持って見ていましたが、なんだか役所(?)の収入源みたいでいやだなぁ…('-'*)
>
> 資格はおいといて、
> でも内容自体はわたしも勉強したいなぁと思います!
>
> 感想まで…でした。

(2011/06/15 12:26), Naoji Takamoto wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2603] Re: 木造耐震診断事務所についての情報(柳澤)

> 柳澤様
> みなさま
>
> 耐震診断の報酬についてのお話が出ていたので、私も少し触れてみます。
>
> 当事務所での通常の耐震精密診断の流れは、
> ①事前説明、見積書提出(1h×1人)
> ②契約、プレ調査(2h×2人)
> ③本調査(4h×2人)
> ④報告(2h×1人)
> という流れです。(①、②を同時に行う場合もあり)
> 報告書の作成は2.5~3日人かかっています。
>
> それで費用は基本18.9万円(税込)
> 面積が100平米を超える場合や既存図面がない場合は追加です。
> (補助が1/2、10万円まで出る行政庁ではすんなり進みますが、1/3補助や5万円
> までの行政庁ですと躊躇される方もいます)
>
> 2010年度は診断8件、補強設計につながったのはうち6件です。
> 細かいですが多少の仕事にはなります。
>
> また、登録耐震診断事務所が任意で加入する都耐協では東京都建築防災まちづく
> りセンター経由の耐震相談の受け皿になっていて、いくつか相談も受けたりしま
> した。(西東京市、小金井市)
>
> あと、この間の地震で耐震診断及び補強設計のニーズが増えているので、それに
> 対応できる人が少しでも増えるのはありがたいことだと思います。
>
> 講習及び考査は皆さんが触れている通り、実務上どうこうというものではありま
> せんが、マニュアルの作成など当事務所ではいいきっかけになったと思っています。
> 登録費用は高額ですが、、、

(2011/06/15 14:47), とも企画設計 村上久美子 wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2604] Re: 木造耐震診断事務所についての情報(柳澤)

>  渋谷区の耐震コンサル報酬については様々な経過と駆け引きがあるなかで、
>  渋谷区の関係者や、建築士事務所協会渋谷支部役員の皆さんの努力で
>  今年度から7万円/1件→10万円/1件に上がったばかりです。
>  この金額で充分でないことは区も事務所協会も認識しています。
>
>  他の区はわかりませんが渋谷区の耐震診断コンサルタント派遣のシステムは
>  事務所協会渋谷支部役員が面倒な調整役をやってくれているのでなんとか
>  回っている感じです。事務所協会会員以外のコンサルタントへの対応も
>  彼らがボランティアでやっています。
>  気の遠くなるような面倒なことがたくさんあり、見ていて頭が下がります。
>                                 
> 村上 

(2011/06/15 16:29), Naoji Takamoto wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2605] Re: 木造耐震診断事務所についての情報(柳澤)

> 村上様
>
> 耐震コンサルタントとは、実際に耐震診断はしないが、流れをアドバイスする立
> 場なのでしょうか?それとも耐震診断を実施する立場ですか?
>
> 制度運用の要となる組織がしっかりしていると、耐震診断、改修の助成の利用が
> 進むのですね。同じことを町田市でも実感しています。
>
> 町田市では
> 市と契約したNPOがアドバイザーを派遣し、
> ・希望者に対し無料で簡易診断(調査を簡易化した一般診断レベル)を実施
> ・簡易診断の結果、補強やよりくわしい診断の要望があれば精密診断に進む
> ・精密診断は町田市に登録した耐震診断士が実施
> ・アドバイザーは依頼者の立場に立ってアドバイスをする(報酬は町田市から)
> というアドバイザーと耐震診断士の二本立てになっていて、「簡易診断」によっ
> て、ある程度のスクリーニングがされるので精密診断以降の流れがスムーズです。
>
> また、耐震改修の設計が完了した段階で、市の委託を受けた「検査士」がチェッ
> クを行う「設計審査」や、「中間検査」「完了検査」もあり、補強工事の質を保
> つ工夫がされています。
>
> 以上、村上さんに触発されて書いてみました。

(2011/06/17 19:31), とも企画設計 村上久美子 wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2608] Re: 木造耐震診断事務所

> 高本 様
> 皆様
>
>  渋谷区の耐震診断コンサルタントの仕事は、木造住宅耐震診断と
>  補強計画の1例を依頼者に示すことです。
>  依頼者は自己負担0円。
>  コンサルタントは区から派遣されるし、費用も区が払ってくれます。
>  
>  補強に進む場合で、渋谷区の補助金を使う場合は
>  依頼者は耐震診断コンサルタントと直接契約することが条件になります。
>  1.0以上をめざす補強であれば
>  1軒あたり、費用の1/2かつ100万円までの補助、
>  高齢者や障がい者であれば、費用の2/3かつ150万円までの補助
>  を依頼者は工事完了後にもらえます。
>  
>  補助金をもらうには判定も必要です。
>  建築士事務所協会渋谷支部が判定機関に指定されていて
>  診断と補強計画、見積等が適切かどうかの判定をしてくれます。
>  費用は2万円/件。(判定をするという労力と責任に対してあまりに安いです
> よね。)
>  
>  診断時の調査は基本的には非破壊です。
>  具体的な調査方法は個々のコンサルタントに任されていますが
>  私たちは書類からの類推、目視、打診、点検口からの確認。
>  コンセントを外して壁材を確認する。軸組みの倒れを計る
>  程度を行っています。
>  確認できない筋違などはないものとして診断しています。
>  不利側で判断しますから余分に補強しているかも知れませんが、
>  調査に費用をかけるなら、その分を補強に使えばいいという話が
>  渋谷区と耐震診断コンサルタントの打合会でよく話に出ます。
>  家中を調査されることを嫌がる依頼者も多いので、
>  調査を簡易にすることは、より多くの人に診断を受けてもらう意味でも
>  効果を発揮していると感じています。
>
>                             村上