宮城県 「(4)エコタウン/自然エネの活用推進」

(4)エコタウン/自然エネの活用推進

仮設住宅が並ぶ沿岸の被災地。自然エネルギーを活用したエコタウンの形成が模索されている=気仙沼市内
仮設住宅が並ぶ沿岸の被災地。自然エネルギーを活用したエコタウンの形成が模索されている=気仙沼市内

河北新報110731

<東松島から開始>
 電力の地産地消を目指すエコタウンの社会実験が8月中旬、被災地でスタートする。
 舞台は東松島市の仮設住宅周辺で、風力発電用のプロペラと太陽光パネルを導入、蓄電池を装備した発光ダイオード(LED)照明の街灯数基を設置する。
 事業主体は、研究者や中小企業でつくる「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」。副会長の内海康雄仙台高専副校長は「将来は住宅の電源を賄うことも可能。発電した電力を防災情報の発信に使えば、災害にも強いエコタウンになる」と意気込む。
 福島第1原発事故後、脱原発の機運が高まり、自然エネルギーに追い風が吹く。宮城県震災復興計画2次案に明記されたエコタウン構想では太陽光やバイオマス、地熱の活用を掲げ、環境先進地域づくりを打ち出した。

<地域全体で導入>
 構想のスケールは壮大だ。クリーンエネルギーの発電設備を設け、生み出した電気をスマートグリッド(次世代送電網)で域内に供給する。復興住宅での太陽光発電の全戸整備も明記した。
 「自然エネルギーは次世代のインフラ。地域全体で導入することが重要となる」。東北大大学院環境科学研究科長の田路和幸教授(環境共生機能学)は、エコタウンを時代の必然とみる。
 昨年整備した環境科学研究科の研究棟「エコハウス」で、電力の自給に取り組む。主に太陽光で発電し、リチウムイオン電池に蓄電、LED照明を使う。震災で大学が停電した際も蓄電機能が働き、自活を支えた。
 発電量の不安定さが弱点だが、田路教授は「蓄電池の技術革新を進め、各家庭に配備するような施策が必要だ」と語る。

<企業の参画必要>
 エコタウンに期待されるのは、エネルギーの有効活用だけではない。
 「万単位の太陽光パネルやリチウム電池を10年間継続発注することになれば、工場誘致も可能で、雇用にもつながる」。6月の県震災復興会議で、委員を務める会社会長の神蔵孝之氏は、独自の見解を披露した。環境への投資は経済効果を生むとみる。
 多くの関係者が企業の参画を重視するが、東北の金融機関幹部は「再生可能エネルギーを重視するという県の方針が企業に伝わっていない」と指摘。実現への工程表を示し、投資意欲を刺激すべきだと提案する。
 復興計画は復旧にとどまらず、先進的な地域づくりをうたう。東松島市を皮切りに、石巻市や名取市でも同様の社会実験を目指す。
 「現行法の規制が壁となり、このままでは前に進まない。特区などの環境整備を急ぐべきだ」。協議会の内海副会長は、復興の象徴となるエコタウン具現化に向けて、国の後押しに期待を掛ける。

◇主な事業と実施年度
・新エネルギー設備導入支援事業(2011~15)
・住宅用太陽光発電促進事業(2011~15)
・ソーラーハウス促進事業(2014~20)
・分散型エネルギー設備導入促進事業(2014~20)
・ガスコージェネレーション(熱電供給)・バイオマス利活用推進事業(2014~20)

印刷用ページ