応援宣言「宮城から日本再生」 宮城県震災復興会議

河北新報110823】宮城県震災復興会議が22日に発表した「復興応援宣言」には、「宮城から日本の再生を目指す」との理念の下、新産業育成や復興計画の実行組織に関する具体的な提言が盛り込まれた。県は復興計画に準じる提案として実現を目指す方針。
 宣言は目指すべき社会像として(1)世界を先導するエコロジー拠点(2)住み慣れた地域での雇用創出と、絆が根差したコミュニティー(3)幅広い市民や企業などの参加と連帯―を掲げ、3分野の具体的施策を示した。
 新産業育成の分野では、復興対象の全ての住宅と商業施設に太陽光発電設備や燃料電池の設置を提案。交付金の新設による関連産業の集積と雇用創出を求めた。バイオマスなどによる「自然エネルギー移出基地」も目指すとした。
 農水産業の再生では、大規模化などを通した競争力のある生産体制の構築と高付加価値化の必要性を唱えた。
 復興の推進組織の提案では、民間企業の提案と資金の活用を重視。新産業育成や地域企業の経営支援に当たる組織として、官民出資による「宮城県産業発展機構」の設立を求めた。全国から公募した若者が支援業務を担う「復興プロジェクト推進隊」も提案した。
 仙台港や仙台空港など交通インフラの復興・整備には、経済成長が著しいアジア地域の活力を取り込む視点が不可欠と強調。山形県との連携など広域構想の重要性を指摘した。
 宣言について三菱総研理事長の小宮山宏議長は「会議としては異例だが、メッセージ性の強いものを出したかった」と述べた。村井嘉浩知事は「行政計画の枠を超えた貴重な意見だ。県の復興計画と同じ位置付けで、実現に向けて努力していきたい」と話した。

<復興応援宣言で提唱された主なプロジェクト>
◇最先端エコロジー産業の育成と「グリーン産業育成交付金」の創設
◇農水産業の6次産業化推進と復興住宅需要を取り込む林業の育成
◇幅広い人材の参画を促す「地域再生プラットホーム」「復興プロジェクト推進隊」の創設
◇民間企業などの提案を受け入れ、取り組みを支援する「震災復興推進センター」の設置
◇官民の投資と経営支援機能を備えた「宮城県産業発展機構」の設立