宮城県石巻市 「山仕事の技で復興推進」

山仕事の技で復興推進

【移動式製材機を使い、流木を材木に加工する「水守の郷・七ケ宿」の海藤理事長(右)ら=石巻市北上町相川】
【移動式製材機を使い、流木を材木に加工する「水守の郷・七ケ宿」の海藤理事長(右)ら=石巻市北上町相川】

三陸河北新報110825】七ケ宿町のNPO法人「水守の郷・七ケ宿」が、得意とする山仕事の技術を生かしたボランティア活動で、石巻市北上町十三浜相川地区の復興に一役買っている。17日には海藤節生理事長(53)ら4人が相川沢川沿いの山林近くに移動式の製材機を搬入し、流木や立ち枯れの木を木材として活用するための「試しびき」を行った。

 相川地区では膨大な量の流木がいまだに放置されたままで、津波による塩害で立ち枯れた杉も多い。

 「住民のみなさんから、生活の復旧に使う木材が足りず、買いに行くのも大変だと聞き、流木を製材して使えば片付けも兼ねて一石二鳥と思った」と海藤理事長。塩水に浸かった木は、家屋の建材としては使えないが、小屋の材料や補強材としては十分だという。

 製材機はレールの間に木を固定し、台車がついたチェーンソーを一定の高さで走らせる。4メートル前後の木まで製材が可能。

 数分で流木を「木材」に変える製材機の実力に、相川で漁業を営む小山清さん(62)は「仮設住宅に棚や物置が必要になってきている。雨の日に洗濯物を干せる物干し場も作りたい」と話し、「今後は製材機の使い方を教わり、みんなで集材と使用のルールを決めて、活用していきたい」と期待を込めた。

 「水守の郷・七ケ宿」は震災直後から、NPO法人日本エコツーリズムセンターが中心となり発足した「RQ市民災害支援センター」(登米市東和町)で支援物資の配送などを行っていた。

 より密着した活動の在り方を模索していた時、相川に住む知人から、がれきを片付けるためにチェーンソーを貸して欲しいと依頼された。

 「チェーンソーの扱いは難しい。いっそ山仕事に慣れている七ケ宿の有志で切ってあげようと思い、3月末に3人で相川に来たのが最初」と振り返る。

 以来、ほぼ毎週数人のチームで相川を訪問。いつ倒れるか分からない危険な立ち木や、住宅の玄関をふさぐ流木などを伐採し、処理した木は炊き出し用の薪にした。

 活動は一軒一軒の片付けや、津波が相川沢川を逆流して残した膨大ながれきの撤去へと広がっていった。ボランティアの窓口にもなって、七ケ宿町に隣接する山形県高畠町や東京の有志など、多くのスタッフを相川地区に案内。時には地区に滞在して汗を流し、晩酌の輪に入りながら、コニュニケーションを深めたという。

 「状況に応じて変わっていく被災地の細かなニーズは、続けて支援することで初めて見えてきた」と海藤理事長。「目指すのは一過性でない支援」と力を込めた。

 製材機を設置するとともに、「水守の郷」メンバーの支援で整地した畑「小指の郷」には七ケ宿特産のソバをまいた。「津波で冠水した土地なので、無事に収穫までたどりつけるかどうか分からない。でも、11月にちゃんと実ったら、七ケ宿のそば打ち名人を連れてきます」と笑顔で抱負を語った。