M9規模地震 438年周期か 日本地震学会で発表

河北新報111014】東日本大震災の震源域では約37年周期の想定宮城県沖地震のほかに、四百数十年の長い周期(スーパーサイクル)でM9クラスの超巨大地震が発生しているとする分析結果を、東大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授(応用地震学)のグループが13日、静岡市で開かれている日本地震学会で発表した。纐纈教授は「今回の震災は1000年に一度といわれているが、もっと短い周期で起きていると考え、今後に備えるべきだ」としている。

 東日本大震災は日本海溝沿いの太平洋プレート(岩板)が、東北地方の下へ沈み込んでいる領域で発生した。グループは強震記録と衛星利用測位システム(GPS)のデータを解析し、宮城県沖の陸側と海溝側を合わせた領域で、断層が滑った地点の分布を再現。プレートが引き込まれて蓄積されるひずみの分布と、よく似ていることを突き止めた。
 このため今回の震災などで解放されたひずみの量を、プレートの沈下に伴い1年間で蓄えられるひずみの量で割り、超巨大地震が発生する周期を438年と算出した。
 東北各地の古文書には、1611年の慶長三陸地震の津波被害が記録されている。869年の貞観地震をスーパーサイクルの超巨大地震とすると、慶長三陸は、貞観と今回の震災との間に日本海溝周辺で発生した超巨大地震と推測。これまでM8.4クラスとされている貞観、慶長三陸地震は今回の震災並みに大きかった可能性も指摘する。
 纐纈教授は「東北地方では長い周期の超巨大地震と想定宮城県沖地震が、それぞれの地震を起こすプレート境界の性質の違いにより並行して起きてきた。GPSの観測データを監視すれば、超巨大地震の発生する場所と広がりも予見できるはずだ」としている。