岩手県 「被災者支援金の申請期間延長を 住宅再建めど立たず」

被災者支援金の申請期間延長を 住宅再建めど立たず

岩手日報111030】東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市など沿岸部で、被災者生活再建支援金(加算支援金)の申請期間の延長を求める声が上がっている。規定では災害発生から3年1カ月以内だが、住宅再建のめどは立たず、延長しなければ支援が受けられない。「住宅再建に7年以上かかる」と訴える被災者もおり、柔軟な対応が求められている。

 被災者生活再建支援金は、住宅被害の程度で支給される基礎支援金最高100万円と、住宅再建時に支給される加算支援金最高200万円。陸前高田市の申請状況は26日現在、基礎支援金の3485件に対し、加算支援金は227件と約15分の1にとどまる。

 同市では、防潮堤整備や浸水地域のかさ上げにより、住宅再建まで5年程度かかる地域も想定されている。震災復興計画素案の地区説明会でも延長を求める声が出ている。

 市内の仮設住宅で暮らす男性(74)は、被災した自宅のある同市気仙町でかさ上げが計画され、整備に5年程度かかる見通し。「5年で造成が終わっても、市内で一斉に家を建てるのだから業者も手が回らないだろう。最低でも7~10年に延長してもらわなければ大変だ」と訴える。

 多くの被災者が自宅再建の資金繰りに悩み、支援金が頼みの綱。市民生部の菅野直人部長は「復興に合わせて制度を見直してもらえるように県へ要望したい」と語る。

 ほかの地域の被災者も願いは切実だ。釜石市箱崎町の自宅が流された会社員の男性(65)は「再び家を建てたい気持ちはあるが、37カ月なんてとても間に合わない。高台移転となれば、まず5年はかかるだろう。われわれにとって200万円はとても大きい額なのに」と延長を切望する。

 大船渡市大船渡町の永沢仮設団地で暮らすパート従業員の女性(52)は津波で自宅が全壊。「行政には復興に向けた対応のスピードを上げてほしい。浸水した土地の利用方法が見えてこないと、次への動きが取りづらい」と注文を付ける。

 被災者生活再建支援法は、都道府県の判断で申請期間は延長できるとし、2000年の東京都の三宅島噴火では延長された。県復興局生活再建課の小野寺正徳再建資金担当課長は「状況に応じて延長が可能なので、国と協議したい」と語る。

 

【写真=今もがれきの山が広がる陸前高田市気仙町。住宅再建の見通しは立たず、住民から生活再建支援金の申請期間延長を求める声が上がる】