NHKニュース深読み110507】『どこにどう建てる? 仮設住宅』

 集落内の民有地に仮設住宅、集会所(岩手県陸前高田市長洞地区)

 内陸自治体での行政を超えた集落単位の受け入れ(宮城県登米市-南三陸町、仮設住宅・交通・情報)

被災地仮設住宅居住改善ネットワーク】被災地の仮設住宅の居住性の改善を図る

仮設のトリセツ-仮設住宅を住みこなすための方-】新潟大学岩佐明彦研究室

建築家たちの提言集/アーカイブ】motherboard 2011「日本の道」

 

岩手県 応急仮設住宅の建設状況民間賃貸住宅を借上げて応急仮設住宅 
宮城県 応急仮設住宅の建設状況民間賃貸住宅の借り上げについて
福島県 応急仮設住宅の進捗状況借上げ住宅の特例措置について取扱いの一部変更について
茨城県,千葉県,栃木県,長野県(栄村)でも仮設住宅が建設されています。

厚労省110430通知「東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱について」
110430東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱につ
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仮設住宅の動向

2016年

10月

23日

炊き出し&なんでも相談会 【「熊本地震」被災者支援共同センター】

日時:2016年10月23日(日) 10:30~14:00

会場:熊本県上益城郡益城町 テクノ仮設(空港の近く、500戸)

主催:「熊本地震」被災者支援共同センター

2016年

7月

24日

炊き出し&なんでも相談会 【「熊本地震」被災者支援共同センター】

日時:2016年7月24日(日) 12:00~15:00

会場:熊本県上益城郡甲佐町白旗仮設住宅(甲佐町大字早川2100 白旗グラウンド敷地)

主催:「熊本地震」被災者支援共同センター

2016年

5月

22日

復興応援!新緑まつり (第45回 炊き出し&なんでも相談会) 【宮城災対連】

日時:2016年5月22日(日) 11:00~13:00

会場:女川町(石巻バイパス用地)仮設住宅 東集会所前(宮城県石巻市沢田字平形4-16)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

160520復興応援新緑まつり女川.pdf
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2016年

4月

17日

復興応援!春まつり (第44回 炊き出し&なんでも相談会) 【宮城災対連】

日時:2016年4月17日(日) 11:00~13:00

会場:東松島市 矢本運動公園仮設住宅 東集会所前(宮城県東松島市大曲字堺掘80)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

160417復興応援春まつり矢本.pdf
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2016年

3月

26日

第43回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2016年3月26日(土) 10:00~

会場:名取市 愛島東部団地仮設住宅 集会所前(名取市愛島笠島字西小泉68番地)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

2015年

9月

13日

第39回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2015年9月13日(日) 11:00~13:00

会場:石巻市松並公園(石巻市松並2丁目)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

150913炊き出し&何でも相談会.pdf
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150913松並・緑町結祭りチラシ.pdf
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2015年

7月

11日

第38回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2015年7月11日(土) 11:00~12:30

会場:石巻市大橋地区仮設住宅(東側集会所前)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

150711炊き出し&なんでも相談会チラシ_石巻大橋仮設.pdf
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2015年

6月

20日

第37回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2015年6月20日(土) 11:00~13:00

会場:名取市美田園第一応急仮設住宅(名取市美田園一丁目8-1)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

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2015年

5月

23日

第36回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2015年5月23日(土) 11:00~13:00

会場:東松島市ひびき工業団地仮設住宅(東松島市川下字内響)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

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2015年

3月

28日

第34回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2015年3月28日(土) 11:00~13:00

会場:会場:東松島市 矢本運動公園応急仮設住宅(東松島市大曲字境堀80)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

150328炊出しなんでも相談会チラシ.pdf
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2015年

1月

24日

第33回 炊き出し&なんでも相談会 【宮城災対連】

日時:2015年1月24日(土) 11:00~

会場:若林西復興公営住宅(仙台市若林区若林2丁目7)

主催:宮城災対連・東日本大震災共同支援センター

150124炊出しなんでも相談会チラシ【2015年1月24日】.pdf
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2012年

1月

25日

高知県 「2日で建てる 木造仮設住宅」

2日で建てる 木造仮設住宅

木造仮設住宅を組み立てるNPOのメンバーら(昨年10月、岩手県宮古市神林で)
木造仮設住宅を組み立てるNPOのメンバーら(昨年10月、岩手県宮古市神林で)

読売新聞120125】東日本大震災で仮設住宅が不足したのを受け、県建築設計監理協会が、組み立てが簡単な木造仮設住宅を開発した。日曜大工経験者が10人で作業すれば最短2日で完成でき、プレハブの数週間から大幅な工期短縮を実現。協会は「改良して実用化し、防災の一つとして加工ノウハウを提供したい」としている。(升田祥太朗)

 「土佐の木の家」と名付けた約30平方メートルの2DK(4畳半2間、台所、トイレ、風呂)で、一般的な仮設住宅とほぼ同じ。建材は最大でも21センチ×10・5センチ、長さ4メートルで、1棟分を4トントラック1台で運搬可能にしている。

 従来の鉄骨プレハブの仮設住宅は、建材の加工・成型に時間がかかり、組み立ての作業員を確保する必要があり、震災でも建設が思うように進まなかった。

 南海地震に備え、協会は森林面積が84%という県の特徴が生かせ、木材加工工場が無事なら調達が容易な木に着目。協会員15人が昨年4月から設計を進めてきた。

 協会は昨年10月、津波で活動拠点を失った岩手県宮古市のヨット愛好家らでつくるNPO法人「いわてマリンフィールド」(橋本久夫理事長)に、試作品1棟を寄贈。現地ではメンバーや高校生ら約20人が2日間で完成させ、現在はヨットハーバーの仮設クラブハウスとして利用されている。

 作業に加わった同県立宮古高3年小林竜成さん(18)は「大工作業は初めてだったが、けがの心配もなく思っていた以上に簡単だった」と話す。

 その後、「暖かい」という感謝の声がある一方、床が傷つきやすいなどの欠点も判明。協会は2月2日午後1時半から、高知市の県中小企業会館で報告会(定員40人。入場無料)を開き、改良点などを説明する。

 協会の大原泰輔理事は「南海地震が想定される地域は山林が多い。県外との交通網が寸断されても、県内で材料を調達できる。木のぬくもりで被災者のストレスも緩和されるのでは」と話している。

2012年

1月

18日

「町営」仮設法が足かせ

昨年末に畳が導入された「町営」仮設住宅で、住民と語らう自治会長の柳下さん(右から2人目)(7日、岩手県住田町で)
昨年末に畳が導入された「町営」仮設住宅で、住民と語らう自治会長の柳下さん(右から2人目)(7日、岩手県住田町で)

読売新聞120118】仮設住宅の窓越しに、北上山地の雪化粧が迫る。正月、柳下八七さん(61)は年の瀬にようやく入った4畳半の畳の上で足を伸ばした。

 岩手県住田町に、地元産気仙スギが新しい木造一戸建てが並ぶ。三陸海岸から30キロ離れ、津波被害を免れた町が、沿岸自治体の被災住民のために町予算で建設した「町営」仮設住宅だ。

 都道府県が被災自治体内にプレハブ式集合住宅を建設し、国費で負担する――。

 国が決めた「公認」仮設住宅のルールをことごとく破って、多田欣一町長(66)が建設を決めたのは東日本大震災3日後。「法や規則に従うと時間がかかり、被災者を救えない」。専決処分で93戸分の建設費約3億円を予算化。1か月半後の2011年4月25日に第1号が完成した。雪国仕様で断熱材を組み込んだ。

 一方、公認分は8月まで完成がずれ込み、入居後に断熱材を補強する後手に回った。スピードも住み心地も、町営には及ばなかった。

 「県が作ろうが、町が作ろうが、仮設に入るのは同じ被災者じゃないの」

 仮設の自治会長を務める柳下さんは9月、県の担当者に抗議した。厚生労働省が仮設に無償提供を認めた畳について、県が町営を対象外としたのだ。

 「災害救助法に基づく仮設ではない」が理由だった。

 結局、県は町営を公認として事後承認した。「要望にこたえるための異例の措置」と、県の担当者は言う。柳下さんは「被災者を縛るのが法律か」と首をかしげる。

 災害救助法と関連規定は、仮設住宅について1戸あたりの建設費約240万円、約30平方メートル以内と定める。法施行は、物資が困窮していた1947年。「平成の『最低限の生活』を保障できるのか。検証は必要だ」と、厚労省担当者は認める。

 法の足かせを嫌い、民間主導の住宅復興に取り組む動きもある。

 「仮設を壊して復興住宅を建てるのは時間がかかりすぎる」。工学院大(東京)の後藤治教授は、避難所から仮設を経ないで一気に復興住宅に入居する生活再建プロジェクトに取り組む。

 寄付を集め、宮城県石巻市の高台に10棟の木造一戸建てを建設している。1月中にも完成し、地元被災者に低家賃で賃貸する計画だ。

 後藤教授は「民間資金を活用した復興住宅モデルだ」と話す。避難所から仮設住宅、復興住宅へ。法が一律に定めた「復興の常識」が揺らぐ。

 法は災害に対応できているのか。硬直した制度が復興の足を止めていないか。

 震災半年後、総務省消防庁は被災自治体と全国都道府県にアンケートを行い、現行法制度の課題を探った。

 「復興に関する国と自治体の役割分担が明確でない」「大災害の応援体制に関する法規定を設けるべきだ」。自治体から国に109項目の宿題が突き付けられた。

 「法制度を見直せるのは今しかない。課題を出し尽くしたい」と、内閣府防災担当の幹部は言う。内閣府が震災後に設けた研究会が、法改正に向けた論点整理を急ぐ。

 研究会座長で京都大防災研究所の林春男教授は「どの課題も、見直しが小手先だけで終わった阪神大震災の積み残しだ」と話す。

 「今回こそ、聖域のない見直しに切り込む」

仙台市社会福祉協議会が始めたみなし仮設入居者向けの相談事業。昨年12月の開始以来、利用者はまばらだ(昨年12月2日、仙台市宮城野区で)
仙台市社会福祉協議会が始めたみなし仮設入居者向けの相談事業。昨年12月の開始以来、利用者はまばらだ(昨年12月2日、仙台市宮城野区で)

被災者支援の網から漏れた、もう一つの「仮設」がある。みなし仮設住宅だ。

 「独り暮らしで寂しい」。仙台市宮城野区の住宅街にある木造アパート6畳間で昨年12月上旬、古沢和子さん(69)が、被災者支援NPO法人「POSSE」の地元スタッフ、渡辺寛人さん(23)に漏らした。避難所からの引っ越しを手伝ってもらって以来、半年ぶりの再会だ。

 アパート一室は、仮設住宅の代わりに、国庫負担で県が借り上げたみなし仮設。

 阪神大震災当時は高齢者や障害者に限定された特例で139世帯にとどまった。東日本大震災では、プレハブ仮設の供給が追いつかず、厚生労働省は被災者が自力で民間賃貸住宅に入居した場合でも仮設扱いとした。

 プレハブ建設を待つ必要がないうえ、格段に暮らしやすい。一気に広がった。

 被災地で人口最大の同市では、プレハブ仮設1500世帯に対し、みなし仮設は5倍以上の8500世帯。全体でも仮設住民13万5000世帯の半分近くがみなし仮設の民間賃貸住宅で暮らす。被災者にとって生活再建の選択肢が広がった。

 盲点があった。「見えない被災者」が生まれたのだ。

 集まって建つプレハブ仮設と違い、点在するみなし仮設には救援物資や見守りといった支援が十分に届かない。行政は個人情報保護を理由に所在地を明らかにできないため、ボランティア団体は「支援しようにも、どこに被災者がいるのか見えない」と困惑する。

 古沢さんは周囲に知人がおらず、隣人の顔もわからない。余震のたびに体がすくむ。こらえ切れず、市役所に手紙を書いた。〈このままでは、だれにも気付かれずに、孤独死してしまいます〉

 見えない被災者について、厚労省は「居住環境は確保できている。自治体の福祉施策で対応してほしい」との立場だ。

 市社会福祉協議会は昨年12月からみなし仮設を対象にした生活相談会を始めたが、参加者は1日平均2人。戸別訪問を続ける市は「目を行き渡らせるのは難しい」(市震災復興室)という。

 みなし仮設を巡り、もう一つの盲点が浮かび上がる。

 「家賃はどうなってるのか」。賃貸住宅2万5000戸を借り上げた宮城県。仮設住宅担当の電話回線は昨秋、家主や入居者の苦情でふさがった。

 職員がふだん扱わない賃貸契約の事務処理に手間取り、ピーク時に約2万世帯分の家賃を滞納する一方で、昨年末には処理ミスによる5億円の家賃過払いが発覚した。県の担当者は「『想定外』は津波だけじゃなかった」とこぼす。

 こうした混乱を踏まえ、民間賃貸住宅オーナーでつくる全国賃貸住宅経営協会(東京)は、災害時のみなし仮設の供給について、関係各省に協議を持ちかけた。

 稲本昭二事務局長は「民間賃貸物件の2割は空室。プレハブより低コストで、すぐに被災者に住宅を提供できる。プレハブありきではなく、民間賃貸を活用した供給ルールや入居者対策を考えたい」と言う。

 街に埋もれる見えない被災者をどう支え、次の大災害に何を生かすのか。

 関西学院大の室崎益輝教授は指摘する。「生活復興まで見通した法律がないから、災害の度に想定外の『見えない被災者』を生み出してしまう。既存制度に縛られない被災者支援に向けた意識改革が必要だ」

2012年

1月

18日

宮城県石巻市 「「再生の空間を」日仏連帯 被災者集会所を石巻に建設へ」

「再生の空間を」日仏連帯 被災者集会所を石巻に建設へ

集会所の完成予想図
集会所の完成予想図

河北新報120118】フランスと日本に拠点を置き、両国の国際交流を支援する財団法人「フェール城桜協会」(千玄室理事長)が、宮城県石巻市鹿妻南地区に、東日本大震災で被災した住民が集まれるコミュニティーハウス(集会所)を建設する。

 集会所は平屋建て約280平方メートル。登米市の登米町森林組合が提供する地場産の木材を使って造る。光熱費を抑えるために太陽光発電設備を備え、建設費は約6300万円。ことし3月末に完成予定で、財団から寄贈を受けて市が管理運営を行う。
 集会所の建設は、財団副理事長を務める日本在住の建築家リシャール・ブリア氏が発案。フランス国内で寄付を募ったほか、日本の企業などから資材提供の協力を得た。震災で集会施設が使えなくなった鹿妻南地区を建設場所に選んだ。
 財団や地元住民、フランス大使館関係者ら約30人が11日、建設場所近くの神社で安全祈願祭を行った。
 ブリア氏は「コミュニティー再生のための空間を造りたかった。多くのフランス人が日本人との連帯意識を持っている。完成後もイベント開催などを通し復興を応援したい」と語った。

2012年

1月

14日

宮城県石巻市 「仮設住宅 安眠できない」

仮設住宅 安眠できない

【三浦さん方の寝室天井に発生している結露=石巻市鹿又、役場前地区応急仮設住宅団地】
【三浦さん方の寝室天井に発生している結露=石巻市鹿又、役場前地区応急仮設住宅団地】

三陸河北新報】石巻市鹿又の役場前地区応急仮設住宅団地(35世帯)の一部で連日、天井や壁の表面の結露がひどく、住民を悩ませている。結露は5棟あるうちの複数の棟で発生、ひどい世帯では寝室の天井からしずくが落ちてくるため、布団の上にビニールシートを掛けて就寝しているほど。管理者の市から連絡を受けた施工業者は換気などの対策を呼び掛けているが、同じ棟でもほとんど結露がない世帯もある。天井の断熱材設置が不十分だったケースもあり、住民は根本的な対策を求めている。

 結露は12月に入ったころからひどくなり、天井からしずくが垂れるなどしていた4世帯について施工業者が同月、点検・改善措置を行った。しかし、完全には収まっていない世帯があるほか、湿気で畳などにカビが発生した世帯もある。台所の配電盤近くの壁が結露する世帯では漏電を心配する。

 これとは別に、今でも寝室の天井からしずくが垂れるほどの結露に悩まされている世帯もある。妻と2人で8月から住んでいる無職三浦忠夫さん(81)は、「換気には気を使い、毎晩就寝前には寝室の天井を2回入念にふき取っているが、しずくが垂れてくる。しょうがないのでビニールシートをかぶって寝ている」と訴える。

 一方、業者の改善措置で以前よりは良くなったものの、今も若干の結露がある男性(63)は「昨年12月、3回ほど業者に来てもらった。天井の断熱材がずれているとして棒のようなもので引っ張っていた。それでもまた結露し、業者が屋根をはがして上から見たら、断熱材がない部分があった」と、工事の不備を証言する。

 住民たちは10日、施工業者に結露のある部屋をあらためて見てもらい、改善措置を要望。天井からしずくが垂れるなど結露が著しい世帯については、天井裏を住民代表立ち合いで点検、改善することを求め、業者側も対応を約束したという。

 仮設住宅は県がプレハブ建築協会に発注、協会加盟の業者が建設工事を行ってきた。管理は県の委託で市が行っている。

 市仮設住宅運営管理室は「昨年12月からほかにも同様のクレームが毎日1件はあり、その都度、プレハブ建築協会を通じて、業者に対応してもらっている」と話している。

2011年

11月

21日

岩手県 「山田、大槌にエコハウス 盛岡市が12月完成へ」

山田、大槌にエコハウス 盛岡市が12月完成へ

【写真=建設が進む盛岡市の「エコハウス」。ボランティアや地元住民の交流の場としての活用が期待される=21日、山田町船越】
【写真=建設が進む盛岡市の「エコハウス」。ボランティアや地元住民の交流の場としての活用が期待される=21日、山田町船越】

111123岩手日報】盛岡市は独自の被災地支援策として山田、大槌の両町に地元産材を活用し、太陽光発電装置を備える「エコハウス」の建設を進めている。2カ所とも12月中旬までに完成し、ボランティアの活動拠点や仮設住宅で暮らす住民の交流施設として活用される。

 市は岩手大、東海大、県森林組合連合会、市町内会連合会と「被災地支援施設建設プロジェクトもりおか実行委」(委員長・谷藤裕明市長)をつくり準備を進めてきた。総事業費約1100万円のうち約250万円は企業や団体、個人からの協賛金を充てた。

 エコハウスは東海大が「3・11生活復興支援プロジェクト」で開発した応急木造住宅をヒントにした延べ床面積約30平方メートルの平屋建て。地元産材の角材を組み合わせる工法で、床と屋根のパネルには震災廃材を再利用した「復興ボード」が使われる。

 ソーラー発電で自動車用のバッテリーに蓄電し、生活に必要な電力はほぼ自給できる。仮設住宅と同じく設置は2年間だが、恒久建築物としての転用や移築もできる。

2011年

11月

11日

被災地支援 建築家の提案

完成直前の3階建て仮設住宅。色が塗られた部分がコンテナ(10月27日、宮城県女川町)
完成直前の3階建て仮設住宅。色が塗られた部分がコンテナ(10月27日、宮城県女川町)

読売新聞111111】被災地に建築家が設計した集会施設や、仮設住宅の完成が相次いでいる。被災者の立場を考えた造り、質の高いデザインは、今後の災害支援で求められる建築のモデルとなりそうだ。三つの事例を紹介する。(文化部 高野清見)

 

海上輸送コンテナ活用

坂(ばん)茂氏「多層コンテナ仮設住宅」

宮城県女川町の町民野球場で6日、3階建てコンテナ仮設住宅の入居が始まった。避難所の間仕切りや、紙管による建築で国内外の災害救援を行う坂茂氏が、平地が少なく用地が足りない同町に提案した。坂氏の仮設住宅案が、日本で実現したのは初めてだ。

 海上輸送用コンテナ(長さ6メートル、幅2・5メートル)を重ねた2階建て3棟45戸、3階建て6棟144戸を設計。前もって製造工場で窓などを開けたコンテナと、フレームを互い違いに積み、フレーム部分も部屋にするなど、合理化を図った。

 10月中旬から2階建てコンテナ仮設住宅に住む被災者は「住み心地は快適。鉄骨も見えないし、音も気にならない。普通のアパートみたい」。坂氏は「仮設住宅はあまりにも質が悪い。もっと質を上げる必要がある」と語り、これを一つのモデルとしたい考えだ。

「KAMAISHIの箱」。左後方のプレハブ店舗と好対照を見せる。仮設住宅に暮らす母子連れが立ち寄った(3日、釜石市の大只越公園)
「KAMAISHIの箱」。左後方のプレハブ店舗と好対照を見せる。仮設住宅に暮らす母子連れが立ち寄った(3日、釜石市の大只越公園)

組み立て簡単 量産可能

難波和彦氏「KAMAISHIの箱」

岩手県釜石市の鈴子公園と大只越(おおただごえ)公園に、難波和彦氏(東大名誉教授)が設計した2棟がほぼ完成した。箱のように単純な形。表面を焼き、ブラシでこすった杉材の外壁は簡素な美を備える。中は一室だけの空間で、カフェやイベント会場などに使えそうだ。

 「箱の家」と呼ばれるシンプルな住宅設計で知られるが、今回は木造の在来工法を用いながら、規格化したパネルに分解して設計。工場で加工して現地に運び、簡単に組み立てられる。プレハブと同じく量産可能な建物となった。

 災害時に復興支援の建物を手がけるのはプレハブメーカーやハウスメーカー、ゼネコン、工務店など。難波氏はたまたま建築関係者との個人的つながりから、設計を頼まれたという。

 「生産現場のシステムから建築家は疎外されてきた。お呼びじゃないのは当然です。でも僕は、依頼があれば全力を挙げてやろうと思った。良い建築と思ってもらえ、自分の所にも、となればいい」と語る。

伊東豊雄氏(左から4人目)らが共同設計した「みんなの家」。右奥のプレハブ集会所と、縁側を兼ねた廊下でつなげた(10月26日、仙台市宮城野区)
伊東豊雄氏(左から4人目)らが共同設計した「みんなの家」。右奥のプレハブ集会所と、縁側を兼ねた廊下でつなげた(10月26日、仙台市宮城野区)

住民希望で縁側設置

伊東豊雄氏「みんなの家」

 仙台市宮城野区の仮設住宅地に10月26日、伊東豊雄氏が中心になって設計した集会施設が完成した。被災者が安らぎ、復興を語り合う「みんなの家」を各地に建てよう、という伊東氏の提案に熊本県が協力。約1000万円をかけ、熊本県産の木材で建設した。

 現代建築をリードする人とは思えない、素朴なまでの木造家屋。住民から「仮設にはないひさしが欲しい」「縁側があれば将棋も指せる」といった希望を聞いて設計した。「表現者として、今まで造ってきたものと、無名性に近い今回の建築との間をどう埋めるのか葛藤はあった。でも、多くの人が関わって造るプロセスは楽しかった」と伊東氏は振り返る。

 本当に必要とされる建築とは何なのか、建築家それぞれに自問自答が続く。

2011年

11月

06日

宮城県女川町 「宮城県最後の仮設住宅、入居始まる=土地少なく初の3階建て」

宮城県最後の仮設住宅、入居始まる=土地少なく初の3階建て

朝日新聞111106】宮城県女川町で6日、県内最後となる仮設住宅への入居が始まった。リアス式海岸が続き、平らな土地が少ないことから、同住宅としては日本初の3階建て。貨物用コンテナを組み合わせたもので、計144世帯、356人が避難所や親戚宅から生活の拠点を移す。

 同町女川浜の総合運動公園野球場には既に、コンテナ製2階建て仮設住宅が完成し、45世帯が入居済み。3階建てと合わせると全部で9棟に計189世帯、464人が暮らすことになる。

 震災以降、避難所などを転々としてきたという阿部敏子さん(54)は、最後の抽選で3階の部屋に当選。「仮設の3階は耐震性などに不安があったが、入居してみると造りも頑丈で快適。見晴らしも良いし、やっと気を使わずにゆっくり眠れます」と笑顔を見せた。

 設計した建築家の坂茂さんは、ニューヨークや東京でコンテナを使った美術館を建設した経験があり、「土地を有効活用できる上、中国で組み立てたコンテナを輸入したので工期も短く、価格も安く済んだ」とコメント。防音上の観点から上下の階で居間の位置もずらしたという。

2011年

10月

25日

宮城県仙台市 「仙台に仮設住宅「みんなの家」完成 被災者の共有スペースに」

仙台に仮設住宅「みんなの家」完成 被災者の共有スペースに

関係者に公開された「みんなの家」=仙台市宮城野区
関係者に公開された「みんなの家」=仙台市宮城野区

河北新報111026】仙台市宮城野区の福田町南1丁目公園仮設住宅の共有スペース「みんなの家」が25日完成し、関係者向けの内覧会が開かれた。26日には住民も参加して落成式を行う。
 建物は熊本県産スギなどを使った切り妻の木造平屋約40平方メートルで、せんだいメディアテーク(青葉区)を手掛けた建築家伊東豊雄さんが設計。縁側を兼ねた渡り廊下で仮設住宅の集会場と行き来できる。まきストーブが置ける土間付きで、畳敷きの小上がりも設けた。
 伊東さんがコミッショナーを務める熊本県の建設・文化事業「くまもとアートポリス」の一環で建設。伊東さんは「住民や熊本の方々の協力で良いものができた」と満足そうに話した。
 仮設住宅に住む無職瀬戸昭三さん(66)は「花壇の設置や内装に住民の意見を採り入れてくれた。素晴らしい建物を提供してもらった」と喜んでいた。
 内覧会に合わせ、宮城野区のサンフェスタでは伊東さんら建築家5人でつくる「帰心の会」によるトークセッションも開かれた。伊東さんは約220人の参加者を前に「現代建築を手掛けてきたので、切り妻の家作りには悩んだ。縁側などを望む住民の声を直接聞き、みんなで造ろうという気持ちになれた」と打ち明けた。

2011年

10月

12日

宮城県女川町 「2階建て仮設に入居 3階建ても月内に」

2階建て仮設に入居 3階建ても月内に

宮城県女川町で2、3階建て仮設住宅の整備が進む総合運動公園町民野球場
宮城県女川町で2、3階建て仮設住宅の整備が進む総合運動公園町民野球場

河北新報111013】宮城県女川町が建設を進める2、3階建て仮設住宅のうち、2階建て45戸が完成し、12日までに入居が始まった。
 次男(45)と2階への入居が決まった木村トク子さん(72)は「隣部屋との間にちゃんとドアが付いていて、今まで見た仮設住宅の中では一番住みやすそう」と話し、待望の「新居」に満足そうだった。
 県内で2階建て以上の仮設住宅が整備されるのは女川町だけ。平地が少なく、適地が見つからなかったため、町が総合運動公園町民野球場への整備を決めた。
 2階建て、3階建てともに海外製の輸送用コンテナを複数組み合わせる工法で、間取りは1DK~3K。計12億4200万円かけ、合わせて189戸の建設を進める。10月初旬に全189戸の入居が完了する予定だったが、県の建築許可に時間が掛り、完成がずれ込んだ。
 3階建ては今月末に完成予定。階段の上り下りや階下への騒音対策のため、体が不自由な人や子どものいる家族が優先して1階に入居できるよう配慮するという。

2011年

10月

05日

「都会みたいな仮設住宅」・・・進まぬ災害弱者把握

仮設住宅の防火訓練で車いすを押して避難する夫婦(2日、岩手県宮古市田老で)
仮設住宅の防火訓練で車いすを押して避難する夫婦(2日、岩手県宮古市田老で)

読売新聞111005】東日本大震災の被災地では火事が多発する冬を控えて、地元消防団などが仮設住宅に暮らす高齢者らの把握に手間取っている。

 避難時の手助けが必要にもかかわらず、住民間のつながりが希薄で、公的機関からの情報提供が少ないためだ。

 「震災前は家族構成はもちろん、台所や寝室の場所まで知っていた。今は誰がどこに入居しているのかさえわからない」。岩手県宮古市田老地区の仮設住宅に住む消防団員、田中和七さん(57)は話す。仮設住宅約400戸には複数の地区から移り住んだ住民が入り交じって暮らし、ご近所と離ればなれになった高齢者は「自分がすぐ避難できないことを知っている人がいない」と不安を訴える。

 独り暮らしの山本能子さん(80)は、ひざが悪く、外出時にはカートが手放せない。「仮設は、どこに誰がいるか分からず都会みたい」。

 災害弱者とされる人々については、「災害時要援護者」として各自治体の福祉部門が把握することになっている。

 宮古市では、震災後の仮設入居者について全戸訪問して調べるなど情報収集中。必要があれば情報は消防団にも提供する方針だが、「個人情報の取り扱いについて協議できていない」として、現状では未提供のままだ。

 そのため、避難訓練を通じて災害弱者を独自に把握しようとするなどの動きもある。今月2日、宮古市田老地区の約240世帯を対象に防火訓練が行われ、消防署員と消防団員が避難誘導をしながら、高齢者ら要援護者の人数や所在の把握に努めた。

 岩手県大船渡市大船渡町の地ノ森仮設住宅では、全71戸190人が加入する自主防災組織が9月に発足。各棟の班長を中心に要援護者の把握に乗り出した。自主防災組織の副会長、西山謙一さん(74)は「密集した仮設では火事が一番怖い。津波で助かったのだから、これ以上犠牲を出さないためにも災害弱者の把握は重要」と話す。

 仙台市では、保健師らが仮設住宅を訪ねて要援護者に関する情報も収集。民生委員にも伝えているが、個人情報保護の観点から自治会などとの情報共有は認められていないといい、緊急時への不安が残る。

 ◆災害時要援護者=災害時に一人で安全な場所に避難するのが難しく、支援が必要な高齢者、障害者、乳幼児、妊婦など。優先的に支援するため、政府は2005年にまとめた指針に基づき、全国市区町村に対し、対象者を把握して支援方針を定めるよう求めている。

2011年

9月

28日

岩手県 「東日本大震災:県営住宅の被災者、入居1年後から家賃 仮設は2年間免除」

東日本大震災:県営住宅の被災者、入居1年後から家賃 仮設は2年間免除

毎日新聞110928

◇不公平との声も 県「他住民と平等大事」

 東日本大震災で自宅を失い県営住宅で暮らす被災者に対して、県は入居後1年が経過してからは、収入に応じて家賃を支払うよう求めている。仮設住宅や雇用促進住宅、借り上げの賃貸住宅では2年間家賃が免除されるため、震災直後の混乱期に入居先を決めた被災者からは「不公平ではないか」との声が上がる。【宮崎隆】

 釜石市郊外の県営住宅で、両親と暮らす30歳代の会社員女性は今月初旬、「1年経過後も継続して入居を希望する場合、収入などの基準を満たしていれば有料で入居できる」と記された県の通知書を受け取った。

 津波で市中心部にあった自宅が全壊した女性は、ホテルの待合室で避難生活を送った。当初は「地域の人たちと同じ場所で暮らしたい」と、仮設住宅への入居を希望したが、両親共に70歳代と高齢で父親は高血圧でもある。同時に申し込んだ仮設住宅や雇用促進住宅に先駆け4月下旬に県営住宅に当選し、「とにかく早く落ち着きたい」と入居を決めた。

 県建築住宅課によると震災で自宅を失い県営住宅に入居する被災者は21日現在で83世帯。入居後1年間の家賃は免除されるが、その後は通常の県営住宅の運用規定を適用。控除後の世帯月収が15万8000円以下の場合は入居を認め、収入に応じて最高で3万数千円の家賃を徴収する。免除を1年間に限る理由について県担当者は「低所得で困っている方に提供するという県営住宅本来の使い方に戻す必要があり、震災前から入居している人と平等を図ることも大事」と説明する。

 一方、仮設住宅では2年間家賃は無料となり、入居を延長する場合も免除される。また、被災者向けに借り上げた民間賃貸住宅でも2年間は県が家賃を支払う。厚生労働省も当初、6カ月としていた雇用促進住宅の家賃免除期間を最大2年までに延長した。また宮城、福島の県営住宅では、仮設住宅と同等の待遇とし、原則2年間は家賃が免除される。

 自身の月収12万円と父親の国民年金で生活する女性にとって、仮に月1万円であっても家賃の負担は大きい。いずれは元の場所近くへの自宅再建を望んでいるが、県営住宅を出ざるをえなくなった場合は仮設住宅への転居も考えている。しかし県は「仮設住宅は本来住居がない人のための施設。家賃を払っても恒久的に住める県営住宅に入居できるメリットは大きい」と仮設住宅への転居は認めない方針だ。

 市内の別の県営住宅で、長男家族と暮らす60歳代の女性は震災後、小学校で避難生活を送った。生後間もない孫娘は夜泣きもあり、発熱がなかなか治まらないこともあった。県営住宅が1年で有料になることは入居前から知っていたが、「孫の健康や、他の避難者に迷惑をかけないかが気に掛かって、先のことまで気が回らなかった。同じ被災者なのに入居先によって条件が違うのは不公平だと思う」と首をかしげる。

2011年

9月

26日

宮城県 「焦点/借り上げ仮設家賃/宮城県の「滞納」深刻化」

焦点/借り上げ仮設家賃/宮城県の「滞納」深刻化

河北新報110926】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を仮設住宅として借り上げ、公費で家賃を負担する制度で、借り主となる宮城県の家賃「滞納」が深刻化している。支払い済みの件数は全体の1割未満。入居した被災者らは長期の立て替えを余儀なくされており、「このままでは貯金が底を突く」と悲鳴を上げている。

◎被災者、立て替え限界/家主、収入途絶え悲鳴

 「立て替えが半年も続き、家計は限界。いつまで自己負担が続くのか」
 仙台市内の自宅が津波で流され、宮城野区鶴ケ谷の借家に移り住んだ女性(53)は、いら立ちと不安を募らせる。家族5人で4月に入居して以来、月4万5000円の家賃を払い続ける。負担額は敷金と礼金を含め約50万円に上るという。
 豆腐店を営んでいたが再建の見通しは立たず、失業状態にある。「これ以上の出費は厳しい。蓄えもなくなりそう」と頭を抱える。
 宮城県の借り上げ仮設の入居決定件数は、16日現在で2万3360件。このうち家賃の支払いを終えたのは2172件と9.3%にとどまる。
 貸主が県に直接家賃を請求する場合、県の「未納」は即減収につながる。仙台市内の不動産業者は「家主側から『行政に協力して貸したのに、いつになったら入金するのか』との苦情が殺到している」と明かす。
 「大家から退去を迫られた」。借り上げ仮設に住む被災者から14日、仙台市に深刻な相談が寄せられた。家賃が滞り、貸主が資金難に陥ったためとみられる。同市震災復興室は「本当に退去させられるようなことがあってはならない」と重大視し、県に対応を催促したという。
 大幅な支払いの遅れについて、県は手続きの煩雑さや件数の急増を原因に挙げるが、2万1860件(20日現在)を扱った福島県では「ほぼ100%終了した」(建築住宅課)。岩手県でも3898件(15日現在)の大半で支払いが終わり、宮城の遅れが際立つ。
 ある不動産業者は「宮城は他県に比べ書類審査が厳しすぎるなど、しゃくし定規な対応が遅れに拍車を掛けている」との見方を示す。
 宮城県は支払いの迅速化を図るため、12日に手続きの一部民間委託に着手した。「スピードアップを図り、10月中旬にかけて集中的に振り込みを進めたい」(震災援護室)としている。

2011年

9月

11日

宮城県石巻市 「石巻の仮設 60歳男性自殺」

石巻の仮設 60歳男性自殺

読売新聞110917】石巻市の仮設住宅「開成団地」で9月11日、入居者の男性(60)が死後1週間程経過したとみられる遺体で発見されていたことがわかった。遺体の状況から自殺とみられる。

 石巻署などによると、11日午後、仮設住宅を訪れた男性の親族が、室内で倒れている男性を発見。腹部に自分で刃物を刺したような傷があったことなどから、自殺の可能性が高いという。

 市によると、この仮設住宅団地は、6月に入居が始まり、男性は8月頃に1人で入居した。

 隣の部屋に住む女性会社員(21)は、「隣に入居者がいたことも知らなかった。すごい臭いがしていたが、まさか人が死んでいるとは思わなかった」と驚いていた。

 別の棟に住む無職男性(62)によると、死亡した男性は震災以前、漁業関係の仕事をしていたが、最近はがれきの撤去作業に従事していたという。無職男性は「顔を見ると、明るく声をかけてくれていたので、自殺するようには見えなかった」と話していた。

 同団地には現在、約1100世帯が入居しているが、住民の自治組織などはないという。同市仮設住宅運営管理室の金子敬室長は「自治組織を作るよう促しており、入居者のケアについてさまざまな対策を取っている。同じ事が起きないよう予防策を考えたい」と話した。

2011年

9月

11日

大震災半年:仮設暮らし、積もる課題 ほころび始めた共同体

平田総合公園仮設住宅内のサポートセンターで開かれた住民同士の交流会=岩手県釜石市平田で2011年8月27日、池田撮影
平田総合公園仮設住宅内のサポートセンターで開かれた住民同士の交流会=岩手県釜石市平田で2011年8月27日、池田撮影

毎日新聞110911】離れた中心部の病院へ往復で約3000円かかるタクシー代だ。2カ月に1度の障害者年金約10万円のうち、5万円以上を占める。「こんなギリギリの生活が続くのだろうか……」

 36歳の時に遭った交通事故の後遺症に苦しみ通院が欠かせない。震災前に住んでいた同市新富町のアパートは病院も近く、3万5000円の家賃は月約4万円の生活保護と障害者年金で賄えた。だがアパートは被災。中心部で家賃が同程度の物件はなく、仮設住宅に入るしかなかったが、入居に伴い生活保護は打ち切られた。障害者や介護が必要な高齢者向けにタクシー代の一部補助制度があるが、仮設入居だけでは対象にならず、市長寿社会課は「助成拡大は財政的に難しい」。タクシーの領収書を保管する女性は「どうにか補助してほしい」と話す。

 一方、岩手県釜石市は東京大と連携し、高齢者ケアや医療体制を充実させ、商業施設も設置する先進的な仮設住宅を同市平田の平田総合公園に設置した。玄関が全て同じ方向を向いている一般的な仮設住宅と異なり、玄関を向かい合わせにするなどコミュニティーづくりを促す工夫もされている。

 高齢者が入る「ケアゾーン」60戸▽子連れ世帯が入る「子育てゾーン」10戸▽「一般ゾーン」170戸--の大型仮設住宅。中心には高齢者の通所施設があり、民間介護事業者が24時間の見守り態勢をとる。診療所も月内には開設予定だ。

 3人の子供と子育てゾーンに入居した上野里恵さん(30)は「通所施設が始まったら職員として働きたい」と話す。ただ、9月の予定だったスーパーの開店は11月にずれ込んだ。妻と入居した柏木功好(かつよし)さん(68)は「生活にはスーパーが欠かせない。買い物に行く足が無く、車を買った」と少し不満そうだ。

 東大高齢社会総合研究機構の小泉秀樹准教授は「仮設住宅にもある種の『豊かさ』が必要。医・職・住がある『仮設の街』として、まちづくり協議会があるとよい」と自治組織設立を提案。9月中にはブロックごとにリーダーを選ぶという。【宇多川はるか、池田知広】

 ◇入居率87%--被災42市町村・本紙調査

 岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村と原発事故で避難措置がとられた5市町村の計42自治体に対する毎日新聞の調査では、予定の93%にあたる計4万6627戸の仮設住宅が完成した。ただ、入居戸数は4万467戸で入居率は87%にとどまる。完成率、入居率とも福島県が最も低く、古里から離れた地域での整備や入居の困難さを表している。

 今回の震災では、被災者が入居した民間賃貸住宅の家賃が一定以下の場合、仮設住宅として扱い、行政が費用を負担する制度が実施された。

 42市町村のみなし仮設住宅は計3万9346戸に上る。宮城、福島では「みなし仮設住宅」入居者が、通常の仮設住宅入居者よりも多くなった。

 仮設住宅の設置は原則2年3カ月まで。それまでに自宅再建が難しい被災者のために、恒久的な災害公営住宅(復興住宅)の建設が必要になる。だが、現時点で42市町村で建設の計画があるのは2205戸にとどまっている。【北村和巳】

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 ◇仮設住宅の完成・入居状況と復興住宅の建設予定戸数

       完成戸数  完成率  入居戸数  入居率 みなし仮設入居戸数     復興住宅

 ◇岩手

洋野町       5 100%     5 100%         5        0

久慈市      15 100%    15 100%        69        0

野田村     213 100%   189  89%        84       未定

普代村       0    -     0    -         0        0

田野畑村    182 100%   173  95%        24      100

岩泉町     143 100%   121  85%        17       未定

宮古市    2010 100%  1680  84%        70       未定

山田町    1940 100%  1882  97%       301      120

大槌町    2106 100%  2011  95%       126       未定

釜石市    3164 100%  2693  85%       432       未定

大船渡市   1801 100%  1725  96%       721      270

陸前高田市  2197 100%  2132  97%       無回答      無回答

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小計    13776 100% 12626  92%      1849      490

 ◇宮城

気仙沼市   2776  80%  2574  93%      1412      無回答

南三陸町   2195 100%  2105  96%         0       未定

石巻市    6113  84%  4447  73%      5720      調査中

女川町     959  75%   941  98%       393      調査中

東松島市   1727 100%  1585  92%      1219      800

松島町       0    -     0    -        51        0

塩釜市     206 100%   200  97%       220      300

利府町       0    -     0    -        53 整備基準満たさず

七ケ浜町    421 100%   409  97%       149       未定

多賀城市    373 100%   351  94%      1154       未定

仙台市    1505 100%  1237  82%      8200      600

名取市    1104 100%   969  88%      1037      検討中

岩沼市     384 100%   380  99%       318       未定

亘理町    1126 100%  1072  95%       652        0

山元町    1030 100%  1001  97%       697      調査中

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小計    19919  95% 17271  87%     21275     1700

 ◇福島

新地町     573 100%   573 100%        59       未定

相馬市    1500 100%  1190  79%       275       未定

南相馬市   2000  66%  2000 100%      3618      調査中

浪江町    2847 100%  1950  68%      3269      未精査

双葉町     755 100%   204  27%       無回答        0

大熊町     612  48%   545  89%      2168       未定

富岡町    1248  67%   969  78%      2848       未定

楢葉町     817  68%   767  94%      1377       未定

広野町     375  54%   365  97%       781       15

いわき市    189 100%   152  80%      1267       未定

飯舘村     665 100%   575  86%        未定       未定

川俣町     230 100%   194  84%         0        0

葛尾村     440 100%   405  92%       190        0

田村市     360 100%   360 100%       240        0

川内村     321 100%   321 100%       130        0

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小計    12932  87% 10570  82%     16222       15

合計    46627  93% 40467  87%     39346     2205

 ※みなし仮設住宅は、仮設住宅として行政が借り上げた民間賃貸住宅

2011年

9月

07日

宮城県 「借り上げ仮設住宅2万3359件 プレハブ着工戸数上回る」

借り上げ仮設住宅2万3359件 プレハブ着工戸数上回る

河北新報110908】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度で、宮城県内の入居決定件数が2万3359件(2日現在)に上り、プレハブ仮設の着工戸数(2万2042戸)を上回ったことが7日、分かった。
 県震災援護室は「立地条件を優先し、都市部のアパートを選ぶ例が増えている」とみている。プレハブ仮設は、用地確保の問題から市街地から遠い地域に建設されることもあり、敬遠する被災者も少なくないという。
 借り上げ仮設の入居は仙台市(7886件)と石巻市(6170件)が突出して多く、両市で全体の6割を占める。次いで気仙沼市1457件、東松島市1250件、多賀城市1195件、名取市1039件など、市部に集中している。
 県が4月上旬、一定の条件を満たせば、既存の民間賃貸住宅を仮設住宅扱いとする方針を示したのを機に、入居希望者が急増。入居決定は6月中旬で9359件だったが、7月中旬には2万257件に倍増した。
 借り上げ仮設の需要拡大に伴い、プレハブ仮設住宅に余剰が出る事態が生じている。
 既に完成したプレハブ仮設住宅は2万764戸。実際の入居は1万7137戸にとどまり、2割近い3627戸が空き室になっている。
 借り上げ仮設をめぐっては、件数の急増に県の事務が追い付かず、契約手続きが停滞。入居決定件数のうち、契約に至ったのは7333件(31.4%)、家賃の支払いを終えたのは1605件(6.9%)にとどまっている。

2011年

9月

05日

福島県郡山市 「郡山の仮設に初拠点 配食や介護、高齢者サポート」

郡山の仮設初拠点 配食や介護、高齢者サポート

看板を設置する遠藤村長(右)と三瓶副町長
看板を設置する遠藤村長(右)と三瓶副町長

福島民友110906】川内村と富岡町の住民320戸が暮らす郡山市のビッグパレットふくしま北側の仮設住宅群に5日、仮設住宅高齢者サポート拠点の「あさかの杜(もり)ゆふね」が開所した。県が設置を進める仮設住宅群の高齢者サポート拠点として初の開設。
 同日、同施設を運営する川内村社会福祉協議会長の遠藤雄幸村長と、同仮設住宅群に多くの町民が住む富岡町の三瓶博文副町長が看板を設置した。
 同施設は、同村社協が18人態勢で運営。日常生活の総合相談、高齢者世帯への配食サービスや巡回、居宅介護、訪問介護、デイサービスなどの介護保険事業、住民交流の場の提供などを行う。利用時間は午前8時30分~午後5時30分。総合相談は土・日・祝日も対応する。
 同社協によると、広い交流スペースや畳の間を用意し、住民が集いやすいようぬくもりと安らぎのある家を基本理念に建設したという。県は、同サポート拠点を約200戸以上の仮設住宅群を中心に会津若松市、いわき市など県内計16カ所に整備する。

2011年

9月

02日

宮城県石巻市 「石巻の避難所生活1900人、仮設空き室1200戸」

石巻の避難所生活1900人、仮設空き室1200戸

石巻市旧河北町内の仮設住宅。夜になっても明かりがともらず、空き室と思われる部屋が並ぶ=1日
石巻市旧河北町内の仮設住宅。夜になっても明かりがともらず、空き室と思われる部屋が並ぶ=1日

河北新報110902】東日本大震災の被災者約1900人が市立小中学校などの避難所60カ所に身を寄せる石巻市で、河北、河南、桃生地区など市内陸部の仮設住宅約1200戸が空き室となっている。避難者の間で通勤や通学に便利な市中心部の仮設住宅の人気が高く、震災前の生活圏から離れた土地への転居には強い抵抗感があるためとみられる。
 市によると、完成した仮設住宅5314戸(8月12日現在)のうち入居したのは4075戸。市が必要戸数とした7300戸が今月中旬にも完成予定だが「市中心部の仮設住宅の当選を待っている人が多く、今のペースでは全戸完成後も空き室が出る可能性が高い」(市建築課)という。
 合併前の旧市から数十キロ離れた河北、河南、桃生地区では、計720戸が空き室となっている。門脇中で妻と同校に通う孫娘の3人で身を寄せる無職男性(73)は河北地区の仮設住宅への入居を勧められたが辞退した。
 男性は「孫が部活や勉強、友人関係を大切にしたい多感な時期を迎えている。孫の生活を変えてまで入りたいとは思わない」と話す。
 一方、市中心部から内陸へ車で10分ほどの同市南境の仮設住宅は、旧市内にもかかわらず、交通事情が悪いことなどから避難者が入居を断るケースが少なくない。
 門脇中で生活する無職女性(54)は同地区の仮設住宅に2度当選したが、入居を見合わせた。
 女性は「市中心部の会社に勤める息子は車を持たず、勤務時間はまちまち。バスなど限られた交通機関の時間に合わせて仕事を切り上げるわけにもいかない」と話す。
 市は今後、合併前の旧町地区に巡回バスを配備するなどして入居を促す考えだ。市は「震災前の生活圏から離れた地域に抵抗感があるのは分かるが、仮設住宅を立地できる場所は限られている。現状を何とか理解してほしい」と話している。

2011年

9月

01日

宮城県亘理町 「名簿作りで知り合いづくり、仮設での孤独死防ごう」

名簿作りで知り合いづくり、仮設での孤独死防ごう

住まいるカードの作成に携わる富沢理事長(右)と仮設住宅の担当職員=亘理町の宮前仮設住宅
住まいるカードの作成に携わる富沢理事長(右)と仮設住宅の担当職員=亘理町の宮前仮設住宅

河北新報110901】宮城県亘理町は、町内の仮設住宅団地で、阪神大震災の経験を生かした独自のコミュニティーづくりに乗り出した。阪神大震災で支援にかかわった専門家の協力を仰ぎ、自治組織づくりや居住環境の向上を目指す。手始めとして、個人情報保護の観点から行政が公表できない名簿カードを住民に手作りしてもらっている。
 作成を進めるのが「住まいるカード」と名付けた名簿カード。棟ごとに世帯主と連絡先が分かる様式で、棟ごとに配る。カードの記入は強制ではないが、既に大半が集まり、近く配布予定という。
 町内の仮設住宅は7カ所1126戸で、200戸を超す団地もあるが、地区単位の入居にはなっていない。町総務課の森忠則課長は「居住者名簿は個人情報のため公表できないが、顔見知りになることはコミュニティーづくりに不可欠。カードを住民が自分たちの手で作ることで、その第一歩にしたい」と話す。
 住民からも「同じ棟の人でも両隣しか知らない。名前が分かれば声を掛けやすい」(宮前団地の無職男性・69歳)とカードに期待する声もある。
 最初は棟単位で、次に3~4棟で班を作り、班内カードを共有できるようにした後、団地全体に広げる。これに合わせ、班長や自治会長も決め、自治組織の活動を活発にしてもらいたい考えだ。
 阪神大震災の被災者支援に取り組み、今回のカードの導入を促した神戸市の都市プランナー石東直子さんは「阪神での反省を踏まえ、住民の最小限の関係づくりに役立つものとして提案した」と話す。
 町は、震災後から町内で支援物資の支給などをしてきた仙台市のNPO「生活習慣改善センター」(富沢伊勢雄理事長)を介し、石東さんら5人に仮設生活のアドバイザーを依頼している。
 兵庫県内の仮設住宅では、4年半で約250人が孤独死した。石東さんは「町やボランティア任せでなく、住民が自分たちで生活を快適にしようと思う自治を育むことが大事。名前を呼べる関係は孤独死の防止につながる」と強調する。
 生活習慣改善センターの富沢理事長は「カード作りから始め、亘理方式の仮設のまちづくりを手伝いたい」と意欲的。石東さんらと共に、住民の特技を生かし団地内で大工仕事をする「とんかち隊」や、仮設ブランドの加工品づくりといったプログラムも提案している。

2011年

9月

01日

岩手県大槌町 「高齢者の孤独死防げ 生活支援の施設開所」

高齢者の孤独死防げ 生活支援の施設開所

開所した「サポートセンター和野っこ」でくつろぐ高齢者=1日、岩手県大槌町
開所した「サポートセンター和野っこ」でくつろぐ高齢者=1日、岩手県大槌町

河北新報110906】東日本大震災で被災し、仮設住宅や自宅で一人暮らしを送る高齢者の日常生活を支援する「サポートセンター和野っこハウス」が1日、岩手県大槌町に開所した。
 センターは、鉄骨プレハブ平屋で面積約300平方メートル。入浴サービスや生活相談、お茶のみ会などの交流イベントを実施する。県が設置し大槌町が管理、町社会福祉協議会がボランティアの協力を得て運営する。
 町によると、仮設住宅に入居する一人暮らしの65歳以上の高齢者は257人。震災後も自宅で暮らす高齢者を含めて日常生活をサポートし、交流の場を提供することで、孤独死の防止を図る。年中無休で、利用は無料。
 初日は近くの仮設住宅に住む高齢者がセンターを訪れ、おしゃべりやレクリエーションを楽しんだ。町社協の徳田信也会長は「閉じこもりがちな高齢者が、気軽に集える場にしたい」と話した。

2011年

8月

31日

埼玉県飯能市 「低コスト・大量生産 飯能市 西川材生かした仮設住宅提唱へ」

低コスト・大量生産 飯能市 西川材生かした仮設住宅提唱へ

飯能市が災害時に建設促進を提唱する地域の木材を使った仮設住宅=同市で
飯能市が災害時に建設促進を提唱する地域の木材を使った仮設住宅=同市で

東京新聞110831】江戸時代から「西川材」という材木の産地として知られる飯能市は、東日本大震災の被災者の住宅確保を加速させるため、森林資源を生かした低コストの木造仮設住宅の建設を国や県、被災自治体などに提唱する方針を明らかにした。来月一日に川口市で開かれる「九都県市合同防災訓練」の会場に西川材の仮設住宅を展示、アピールする。

 市によると、飯能地域は江戸時代から入間川を通じて江戸にスギやヒノキの材木を運搬しており、江戸大火後には大量の材木を復興住宅用に提供。入間川が江戸西方にあるため「西川材」と呼ばれてきたという。

 震災後、沢辺瀞壱市長らが国や県などの災害復旧を担う担当部局に、仮設住宅の建設を打診。木のぬくもりを感じることができて被災者の心の安らぎにつながり、解体後の再利用も可能な利点を訴えた。だが大量生産や建設コスト面に難があり、交渉は思うように進まなかった。

 このため市ではコストを練り直し、床面積約三十平方メートルの住宅を、プレハブ住宅とほぼ同じ一棟四百四十八万円で建設できる仕様書を作成した。2DKのバス、トイレ付きで建設期間は約三週間程度。沢辺市長によると、被災地への輸送費を除けば建設業者も黒字を確保できるという。

 大量生産については、森林資源を売り物にしている全国の自治体と住宅の仕様書を共有し、震災発生時に一斉に建設に取り掛かる構想を描く。まずは県内の各自治体との連携交渉を行うという。

2011年

8月

23日

岩手県陸前高田市 「あわや孤独死、派遣警察官が防ぐ 陸前高田の仮設」

あわや孤独死、派遣警察官が防ぐ 陸前高田の仮設

【写真=仮設住宅を巡回し、住民と懇談する二本木秀行警部補(右)と武田憲巡査】
【写真=仮設住宅を巡回し、住民と懇談する二本木秀行警部補(右)と武田憲巡査】

岩手日報110827】陸前高田市に派遣されている神奈川県警大和署の二本木秀行警部補(29)と武田憲巡査(27)のきめ細かな巡回と的確な判断で、仮設住宅で「孤独死」しかねなかった男性(74)の命が救われた。

 同市小友町のキャンプ場モビリアの仮設住宅群。1軒ずつ巡回していた武田巡査が23日正午ごろ、男性宅に立ち寄ると、男性は「数日前から左腕にしびれがある。血圧が200を超える」と訴えてきた。

 報告を受けた二本木警部補は「脳梗塞かもしれない」と直感。男性は後日通院しようと思っていたというが、二人は「もしものことがあったら大変なことになる」とその場で救急車を手配した。

 搬送先の医師の診断では「脳梗塞を発症しており、放置すれば生命の危険があった」という。

 男性は1人暮らしで電話は設置準備中。同キャンプ場の仮設住宅は1戸ずつ点在するタイプで、隣同士の連絡も取りにくい構造になっている。

 男性の家族は「本人はずっと元気で、まさかという感じだった。警察の見守りのおかげで助かった」と感謝した。

 武田巡査は「仮設住宅で独りで暮らさざるを得なかったり、体調に不安を持つ人には通信手段を整えるべき」と警鐘を鳴らす。

 二人には28日、岩手県警生活安全部長賞が贈られる。

2011年

8月

22日

宮城県 「宮城県の借り上げ仮設 契約成立23%止まり」

宮城県の借り上げ仮設 契約成立23%止まり

河北新報110823】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度をめぐり、宮城県内の2万1537件(16日現在)の入居決定件数に対し、契約に至ったのは5011件(23%)にとどまることが22日、分かった。このうち家賃の支払い手続きを終えたのは1206件で、3805件が未納状態になっている。

 入居が決まっても県と家主の契約が完了するまで、被災者は原則として入居できない。制度開始前に既に入居した被災者もいるが、県との契約に切り替えが済むまで自己負担を強いられる。両者は合わせて1万7000件近くに上っている。
 県によると、1件の契約を成立させるには家主との契約に加え、生活必需品として支給されるエアコンや照明など物品の納入業者、火災保険を扱う損保業者との契約も必要。借り上げ契約1件当たり、4件程度の契約を伴うケースもあるという。
 県の人員体制の問題もあり、事務処理が追い付かない状態が続いている。県震災援護室は「契約書に不備がある例も多く、手続きは滞りがちになる」と説明する。
 県は今月8日、応援職員を含む約60人態勢に増強し、事務処理に全力を挙げている。今後は事務手続きの民間委託も検討する方針。
 民間借り上げ仮設住宅の入居決定件数は、県が整備するプレハブ仮設住宅の戸数(約2万2000戸)とほぼ同数となっている。

2011年

8月

18日

岩手県 「仮設 障害者泣かせ 車いす、段差 個別対応できず」

仮設 障害者泣かせ 車いす、段差 個別対応できず

視覚障害があるため、仮設住宅の入り口で転倒する不安がある志田さん(中央)(10日、大船渡市で)
視覚障害があるため、仮設住宅の入り口で転倒する不安がある志田さん(中央)(10日、大船渡市で)

読売新聞110818】東日本大震災で被災した身体障害者が入居した仮設住宅を巡り、車いすで玄関から出入りできなかったり、段差で転倒したりするなどのトラブルが起きている。障害者や高齢者など「災害弱者」に配慮した仮設住宅の必要性は1995年の阪神大震災から指摘されているが、教訓は生かされていない。国もこうした状況を把握し、仮設住宅で障害者らがどのような問題を抱えているか実態調査に乗りだした。

(石坂麻子、坂田元司)

 低酸素脳症で重度の障害があり、車いす生活を送る宮城県石巻市の新田綾女さん(12)は、外出する際、母の理恵さん(41)に抱えられて縁側から出入りしている。7月に入居した仮設住宅は、入り口に段差解消のスロープが設置されているが、玄関の幅が狭く、幅が約60センチの車いすでは家の中に入れないからだ。

 津波で全壊した自宅は、車いす生活のために、広い間口や介助できる風呂を備えていた。仮設住宅応募の際、車いす使用を伝えていたが、スロープ以外は健常者と同じ設備。市に頼み、縁側にスロープが新設されることになったが「なぜ車いすを考慮しなかったのか」と語る。

 ダウン症の影響で視覚障害がある大船渡市の志田名津紀さん(27)は今月上旬、玄関の段差で転倒し、脳しんとうを起こした。一人で入浴できないため、母の由紀さん(48)の介助を受けているが、浴室が狭く、無理な体勢で由紀さんがバランスを崩して足をひねったことも。2人は「毎日が不安」と訴える。

 厚生省(当時)の97年の指針では、都道府県に対し、災害弱者に配慮して「多様なタイプの住宅を提供すること」とした。日本赤十字社が2008年に発行した仮設住宅の運用指針でも、障害者や高齢者への配慮を求めている。

 しかし、今回の震災では、菅首相が、被災者の仮設住宅入居を「遅くともお盆の頃までに」と指示したこともあり、建設は“スピード重視”。宮城、福島両県では仮設住宅の約1割にスロープを設置したが、室内での車いすの利用は想定していないケースがほとんどだ。被災3県の担当者は「短時間で大量に供給する必要があり、個別ニーズに応じる余裕はなかった」と語る。

 このため、「玄関前が砂利敷きで車いすで外出できない」などの指摘が出るたびに、各自治体が敷地内を舗装したり、スロープ、手すりを追加するなど対応に追われている。厚生労働省社会・援護局は「自治体に具体的な指導をしていなかった」と認め、仮設住宅の実態把握に乗り出した。

 障害者を支援するNPO法人「ゆめ風基金」理事、八幡隆司さん(53)は、「技術的に可能なはずで、事前に想定すべきことだった」と指摘している。

2011年

8月

17日

介護施設は満杯 仮設で世話困難、家族の心折れ

産経新聞110817】東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城両県の被災地で、介護保険施設の定員オーバーが続いている。仮設住宅での高齢者の介護が困難になったり、家族の被災で引き取り手がいなくなるなどの理由で施設への入所者が増加しているためだ。こうした事態を受けて厚生労働省は仮設の特別養護老人ホームや老人保健施設の建設を容認したが、定員オーバー問題に歯止めがかかるかは不透明だ。(渡辺陽子)

 厚労省によると、応急仮設施設は平屋建てで、耐火基準をクリアしていることが条件。スプリンクラーの設置も義務づけるが、入所者に差し障りのない範囲で廊下の幅などの基準は緩和した。それでも、社会的弱者の置かれた現実は厳しい。

 宮城県多賀城市の特別養護老人ホーム「多賀城苑」では震災直後、別の施設などから一時的に利用者が避難。短期・長期入所の定員70人に対し、ピーク時には85人に達した。内陸施設への転所や家族の引き取りなどで人数は一時的に減ったものの、家族の被災や心労で老老介護が困難になるなど、引き取り手がいなくなる事態が相次ぎ、いまでも約80人が入所している。1人部屋を2人で、4人部屋を5人で分け合っている。

 デイサービスや短期入所の利用者らが長期入所に切り替えるケースも。岩手県陸前高田市の医療法人「勝久会」では震災で利用者20人以上が死亡。仮設入居や自宅損壊などで在宅介護の需要は半分以下にまで激減したが、逆に長期入所移行者が約40人になった。

介護を続けてきた家族が震災のショックで心が折れてしまったり、経済的に在宅サービスが受けられなくなった利用者も多いとみられ、同会は「在宅を希望する入所者の心の問題も無視できない」と指摘する。

 厚労省によると、利用者負担の「免除証明書」により、入所料や食費などが免除されるのは来年2月まで。受け入れ側も現在は災害救助法で定員オーバーが認められているが、ある施設の担当者は「定員に戻せといわれたときに、入所者の行き場が確保できるのか」と不安そうに話す。

2011年

8月

12日

宮城県仙台市 「自治会続々、交流着々 仙台・プレハブ仮設住宅団地」

自治会続々、交流着々 仙台・プレハブ仮設住宅団地

七夕会の打ち合わせをする岡田西町公園仮設住宅の自治会役員ら=7月31日、仙台市宮城野区
七夕会の打ち合わせをする岡田西町公園仮設住宅の自治会役員ら=7月31日、仙台市宮城野区

河北新報110812】仙台市内18カ所のプレハブ仮設住宅団地で、八つの自治組織が相次いで発足した。今のところ被災前の地域のつながりが存続する仮設団地が中心だが、自治組織が誕生した団地では外部の支援も入りやすくなり、住民活動が活発になっている。

◎震災前の縁生かす/外部支援の窓口機能も

 宮城野区の岡田西町公園の仮設団地(82戸)には7月末、「岡田西町仮設住宅自治会」が誕生した。住宅棟ごとに1カ月交代の班長を置き、支援物資の配布やイベント予定を知らせる文書の配布などを担っている。
 仮設住宅の自治組織も普通の町内会と同様に、住民の親睦を図るのが主な目的。芳賀正副会長(61)は「多くの住民が役割を持つことで、顔が見える関係を築いていきたい」と説明する。
 6日には団地内で七夕会を開催した。もともとは主婦たちが竹飾りを出したり、ゲームをしたりして楽しもうと企画した催しだったが、直前にできた自治会がボランティアなどとの調整や竹の搬入、会場設営などを担ったことで、プログラムも充実し、一大イベントになった。
 若林区内最大の177戸が入居する若林区の「荒井小建設用地」の仮設住宅は規模が大きい上に、市内で最も早く7月に自治会が結成されたこともあって、阿波おどりやお笑いのイベントなどが頻繁に開かれている。自治会が活動を希望するNPOやボランティアの窓口になっている効果が大きいという。
 これまでのところ、自治組織の設立が進んでいるのは、被災前に同じ地域に住んでいた住民が、まとまって入居している仮設団地が中心だ。
 入居戸数が少なすぎたり、多くの地域から見ず知らずの住民が集まったりした仮設住宅では設立が遅れがち。自治組織がまだない仮設住宅の住民からは「自治会がある団地の方が外部からの支援が多く、被災住民の生活環境にも差が出てきているように感じる」との声も聞かれる。

仮設住宅の自治会長になった大久保さんのカレンダーには、予定がぎっしり書き込まれている=仙台市若林区のJR東日本南小泉社宅
仮設住宅の自治会長になった大久保さんのカレンダーには、予定がぎっしり書き込まれている=仙台市若林区のJR東日本南小泉社宅

◎町内会役員、光る存在感/「培った経験、役に立てば」

 仮設住宅で自治組織を発足させる上で鍵になるのが人材だ。仙台市内で発足した仮設住宅の自治組織では、被災前にも町内会役員を務めていた経験者が会長に就くケースが多い。経験者ならではの運営ノウハウや行政とのパイプが頼りにされているようだ。
 JR東日本が仮設住宅に開放した同社南小泉社宅(若林区)で7日、「JR南小泉アパート自治会」が発足した。若林区荒浜地区の住民が中心だが、他地域からの入居者もいるため、新たに自治会を作ることにした。
 会長に就任したのは、荒浜東町内会の大久保勝彦会長(70)。荒浜復興まちづくり実行委員、交通安全協会荒浜支部長も務めている。
 8月第2週は、アパート自治会総会(7日)、七郷市民まつり打ち合わせと懇親会(9日)、荒浜復興まちづくり実行委の住民アンケート集計(13日)と会合がめじろ押し。28日投票の市議選では荒浜地区の投票所で立会人も務める。
 「今日は何の会合なのか混乱することもしばしば」と大久保さん。今後はアパート自治会会長としての仕事も加わる。
 このほか、若林日辺グラウンド仮設住宅(若林区)の自治会では二木町内会(同)の阿部東悦会長(64)が、福田町南1丁目公園仮設住宅(宮城野区)の自治会でも新浜町内会(同)の平山一男副会長(63)が、それぞれ会長に選ばれた。2人は「これまでのつながりがあるから、役所に行っても話が早い。役に立つのであれば仮設住宅でも経験を生かしたい」と話している。

2011年

8月

10日

宮城県石巻市 「仮設住宅に自治会発足 東松島・大曲10地区から208世帯 訪問活動に力 孤独死を防止」

仮設住宅に自治会発足 東松島・大曲10地区から208世帯 訪問活動に力 孤独死を防止

三陸河北新報110812】大規模仮設住宅が一つの地域を形成する中で、東松島市大曲地区の仮設住宅で10日夜、自治会となる「矢本運動公園仮設住宅西コミュニティー」が発足した。東日本大震災で石巻地方に設置された仮設住宅では初の組織。自治意識を高め入居者間の絆を強めるだけでなく、高齢者世帯の訪問活動にも力を入れ、懸念される孤独死の未然防止にもつなげたい考えだ。

 仮設住宅では、違う被災地から来た入居者間の連携が課題の一つ。西コミュニティーでも地元の大曲浜をはじめ、鳴瀬の野蒜など計10地区から208世帯、約500人が入居。新たな自治会の創設に向けて7月から準備を進めていた。

 今月下旬までに、隣接する同公園仮設住宅東棟(184世帯)でも自治会を設立する予定だ。

 同公園の西集会所であった設立総会には入居者や市関係者ら50人が出席。会長に遠藤克己・下浜二区行政区長を選出。役員をはじめ、住宅を11班に分けて各班長や運営委員も決めた。

 入院中の遠藤会長に代わり、大江貞徳副会長が「さまざまな地域から入居し不安があるのも事実だが、現実を見据えて課題や問題に話し合いを重ねて、より良い仮設住宅にしたい」とあいさつ。阿部秀保市長も「仮設住宅については12日に全1753世帯が確定する。各家庭で今後の計画もあるだろうが、仮設住宅では隣近所を大切にしながら過ごしてほしい」と期待した。

 会費は徴収せず、活動費は市の助成金などを充てる方針。生活環境整備、防災・防犯、住民の触れ合い?を柱に活動する。

 阪神大震災など過去の災害では仮設住宅で孤独死が相次いだことを踏まえ、独り暮らし世帯や高齢者宅の訪問を強化。各種行事を積極的に企画し、安否確認や交流を促す。

 各家庭から出されるごみの管理や、指定場所への駐車の徹底といった生活マナーの向上も呼び掛けていく。

 仮設住宅の自治組織化について、担当する市の市民協働課の小山修課長は「自主的な組織運営は、被災者の自立に向けた一歩にもなる。市としてもバックアップしていく」としている。

2011年

8月

06日

岩手県釜石市 「店舗や福祉機能持つ仮設団地 釜石・平田に完成」

店舗や福祉機能持つ仮設団地 釜石・平田に完成

【写真=ウッドデッキで住戸間をつなぐなど工夫を凝らしたコミュニティーケア型仮設住宅=釜石市平田】
【写真=ウッドデッキで住戸間をつなぐなど工夫を凝らしたコミュニティーケア型仮設住宅=釜石市平田】

岩手日報110807】釜石市平田の平田総合公園の仮設住宅240戸が完成し、6日、入居者に鍵が引き渡された。市内最大のこの住宅団地は医療福祉のサポートセンターや仮設店舗を併設。「コミュニティーケア型仮設住宅」と銘打ち、さまざまな工夫を凝らした。これで同市の仮設住宅は約3100戸全てが完成した。

 居住者が顔を合わせる機会が増えるよう、戸口を向かい合わせにした。ケアゾーンの住戸間は屋根付きのウッドデッキでつなぎ「通路であり、たまり場でもある仕掛け」(市都市計画課)。子育てゾーンは公園の遊具空間に面して配置した。

 平屋のサポートセンター(330平方メートル)では、介護事業者がデイサービスを展開。9月には民間診療所も開設される。仮設店舗は早ければ9月末に出来上がり、商店や美容室、事務所など約20業者が入居する。

2011年

8月

04日

岩手県 「盛岡市が大槌町に集会所建設へ 東海大学生グループ協力、木造ハウスを」

盛岡市が大槌町に集会所建設へ 東海大学生グループ協力、木造ハウスを

盛岡市が大槌町に建設予定のエコハウスのモデルとなる東海大の「どんぐりハウス」を紹介する下田さん、山内さん(左から)
盛岡市が大槌町に建設予定のエコハウスのモデルとなる東海大の「どんぐりハウス」を紹介する下田さん、山内さん(左から)

盛岡タイムス110804】盛岡市は、震災被災者の孤立化を防ぐ集会所機能などを備えた木造のエコハウス建設を沿岸に計画している。大船渡市や石巻市に整備実績のある東海大学の学生グループから技術指導・支援を受け、太陽光発電などは企業団体に協賛を呼びかける。第1弾として大槌町で今月中旬をめどに仮設住宅地域に着工。9月中旬には町へ引き渡したい考え。

  同大のエコハウス「どんぐりハウス」は素人でも簡単に作りやすい施設として被災地に建設されている。原料はヒノキで幅40㌢、高さ80㌢、長さ2・7㍍のウッドブロック約240個を組み合わせた5・1㍍四方、高さ4・7㍍の建物。

  同大は高いソーラー開発技術を持っており、これを採用したソーラーパネル、バイオマストイレなどを導入。ソーラーパネルは基本電力を賄うことができ、トイレは1日20人利用可能な「自立型応急仮設住宅」と位置付け。第1号は大船渡市の公民館として4月28日に着工、5月8日に完成した。

  以前から地域貢献などを目的に設置された同大チャレンジセンター内に、震災後立ち上げられた3・11生活復興支援プロジェクトが取り組んでいる。主体は杉本洋文工学部建築学科教授研究室の学生約20人。設計書などは既に公式ホームページ上で公開中だ。

  盛岡市は被災地支援の一環で盛岡版エコハウスを建設する。ノウハウを持つ同大から技術指導を受ける。集会所または宮古市川井の「かわいキャンプ」と同様の機能を持つボランティア現地基地、その複合的施設とするか今後内容を詰める。

  7月31日に同市内で開かれたエコライフ2011に同大の学生リーダー下田奈祐さん(22)と広報担当の山内昇さん(21)の4年生2人が来県。発表、ブース展示をした。

  プロジェクトはキャンパスのある神奈川県平塚市のビーチハウス建設の取り組みが出発点。地域とのワークショップなども含めたノウハウを被災地に生かそうと始めた。

  事業費は資材の輸送、人件費、太陽光発電の企業協賛などを含めて約500万円。重機の使用を視野に入れると、現行の工期10日間をさらに短縮可能という。建材は地元産材の活用も可能だ。

  下田さんは「震災前からの取り組みを少し改良し、ビスを打ち込むだけで組み立て、建設できるようにした。今後は普及版についても進める」と説明。「建てて終わりではなく、長い目で一緒に取り組んでいければ」などと話していた。

  谷藤裕明市長は2日の会見で「被災者が孤立しない、お茶飲みに来れる場所を市として建設し、活用してもらう。ほかにも要望があり、建設場所が確保できれば、被災地にエコハウスを建て、支援個所を増やしていきたい」と話していた。

2011年

8月

01日

仮設住宅 平均372万円

朝日新聞110802】県が提供する仮設住宅1戸あたりの平均建設価格が372万8千円に上ることが分かった。法定基準額の1・5倍超で、付帯工事分を合わせると500万円前後になる見込みだ。建設費が徐々に割高になっている傾向も明らかになった。

 朝日新聞記者が県に情報公開請求し、震災後から6月22日までに締結された1万7510戸分の契約書が1日、開示された。

 県は仮設住宅建設を社団法人プレハブ建築協会(東京)に要請。リース会社などで構成する協会の「規格建築部会」の11社や、ハウスメーカーなどでつくる「住宅部会」の24社と計約653億円の契約を結んだ。県内に本店・本社を置く会社は4社だった。

 仮設住宅は基本的に1DKと2DK、3Kの間取りがあり、1戸あたり平均価格は災害救助法で定める基準額238万7千円(29・7平方メートル)の1・56倍だった。契約額には水道関連工事などは含まれず、県関係者は「計500万円前後になるのは確実」と明かす。

 規格部会では、震災後すぐ着工が決まった仮設住宅は1戸あたり288万円だったが、徐々に高騰し、6月中旬に結ばれた10次着工分では345万円だった。住宅部会では485万~491万円で推移している。

 協会は「リース会社は手持ちのプレハブを再利用して単価が安いが、ハウスメーカーは一般住宅で使う建材を使い、単価が高くなる」という。東京のハウスメーカー担当者も「震災バブルで資材が高騰し、職人も日当を上げないと集まらない。契約額が上がるのはやむを得ない」と言う。

 一方、1戸平均340万円以上で契約していた東京のリース会社関係者は「必要以上に値上げしたつもりはないが、それなりに利益はいただいた」と話す。

 県保健福祉総務課は「実際は国の基準内に収まらない可能性が高いが、被災者への迅速な住まい提供のためにはやむを得ない」としている。(中村信義)

2011年

7月

28日

岩手県大槌町 「「まごころの里」仮設暮らしの孤独ケア」

「まごころの里」仮設暮らしの孤独ケア

畑では既にナスやスイカなどが栽培されている=岩手県大槌町
畑では既にナスやスイカなどが栽培されている=岩手県大槌町

河北新報110728】東日本大震災で被災した岩手県大槌町の住民が、仮設住宅暮らしの孤独を和らげる取り組みを始めた。「まごころの里」と名付け、仮設住宅の隣接地に雑談ができるプレハブ小屋を設置するほか、野菜を栽培する畑を造り、被災者同士が交流する場を設ける。

 まごころの里は、大槌町臼沢地区の仮設住宅で整備が進められている。畑では既にナス、スイカ、カボチャなどを栽培。今後プレハブ小屋を設置した上で、9月の開設を目指す。
 同町でも避難所から仮設住宅に移り住む被災者が増加。プライバシーは確保されるようになったが、心のケアが課題として残っている。
 整備計画の旗振り役を務める元釜石市職員の臼沢良一さん(62)=大槌町=は「家族や家、仕事を失った被災者は不安の中にいる。お茶を飲んだり雑談をしたりして、少しでも気分を晴らす場が必要」と強調する。
 整備は、被災地へのボランティア派遣を担う遠野市の「遠野まごころネット」の支援を受ける。
 まごころネットから派遣されているボランティア西岡公明さん(43)=大分県宇佐市=は「野菜栽培はやりがいにつながるし、会話のきっかけにもなる」と期待する。
 臼沢さんは震災時、家ごと津波に流されたが、九死に一生を得た。避難所で暮らすうちに、ふさぎ込む被災者の姿を目にし、人と人が寄り添う必要性を痛感したという。
 臼沢さんとまごころネットは共同で、町内に5月、避難所の住民を対象に炊き出しやイベントを行う交流スペースを開設した。今回は、その仮設住宅版となる。
 臼沢地区以外にも、まごころの里を整備する計画もある。臼沢さんは「被災者同士が手を取り合い、孤独死が起きない環境を整えたい」と話す。

2011年

7月

28日

宮城県仙台市 「商工団地の仮設 不人気 4カ所中2カ所入居ゼロ」

商工団地の仮設 不人気 4カ所中2カ所入居ゼロ

まだ入居者がいない扇町4丁目公園の仮設住宅=仙台市宮城野区
まだ入居者がいない扇町4丁目公園の仮設住宅=仙台市宮城野区

河北新報110728】仙台市が被災者向けに建設したプレハブ仮設住宅の人気が、場所によって偏っている。18カ所中14カ所がほぼ満杯になったが、若林区卸町など商工業団地内の公園に整備した4カ所は入居決定が3割に満たない。入居ゼロも2カ所ある。買い物などが不便な立地条件が影響したようだ。

 80戸が建つ宮城野区の扇町4丁目公園の仮設住宅。入居はゼロで人影はない。周囲には配送センターが多く、エンジンをかけたまま停車するトラックが目立つ。
 

ここは卸町5丁目公園(若林区)の仮設住宅とともに、2次募集まで希望者がなかった。市によると、19日に締め切った3次募集で10件余りの申し込みがあったといい、調整が進んでいる。
 扇町1丁目公園(宮城野区)、卸町東2丁目公園(若林区)も応募者が少ない。入居決定はそれぞれ38戸と9戸で、3次募集での申し込みも10件前後という。

4カ所に共通するのは土地を確保しやすい場所だが、買い物が不便で被災地から遠いことだ。扇町4丁目公園の場合、最寄りスーパーまで1キロほどで海岸部から遠い。被災地の自宅と行き来したい人も多く、宮城野区内の別の仮設住宅に入居した男性(72)は「最初から選択肢になかった」と話す。
 市内部には「入居者が少ないと、情報が入りづらかったり、外部団体から支援が受けづらかったりする不便が生じる。できれば一定の規模の場所に集約した方がいい」(宮城野区役所)との意見もある。ただ集約すれば、そっくり必要なくなる場所も出てくる。
 市内18カ所に建設したプレハブ仮設住宅は計1505戸。26日現在の入居決定は1056戸で、市は最終的に8割は埋まると見込む。
 市仮設住宅調整室は「希望が2、3世帯だけなら別の仮設への集約も考えるが、入居ゼロの場所でも10件前後の申請があり、申込者の意向に沿いたい。余った場合の活用策は現段階ではまだ考えていない」としている。

2011年

7月

21日

宮城県 「借り上げ仮設2万件超 プレハブ相当数の余剰も」

借り上げ仮設2万件超 プレハブ相当数の余剰も

河北新報110722】宮城県は21日、東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度について、14日現在の入居決定件数が2万257件に上ったと発表した。1カ月前の6月13日時点では9359件で、1カ月で2.2倍に急増した。同日の県議会保健福祉常任委員会で説明した。

 市町村別では仙台市が7886件と最多で、全体の39%を占めた。次いで石巻市4600件、気仙沼市1223件、多賀城市1087件、東松島市974件の順だった。
 また、今回の制度が始まった5月1日付以前に入居した被災者が3~4月分の家賃を自己負担している問題で、県は賃貸借契約日までさかのぼって制度を適用する救済措置を、国が容認したと報告した。
 国の方針を受け、県は被災者が自己負担した額を該当者に給付する。県内では数千件程度が対象になるとみられる。
 委員会では、民間借り上げが大幅に増えた分、プレハブの仮設住宅が余剰となる可能性を指摘する意見が出た。
 岡部敦保健福祉部長は「(福島第1原発事故による)福島県からの避難者が入居を望めば、受け入れを考えたい」と答弁。福島県と相談の上、状況に応じ、受け入れを検討する考えを示した。

2011年

7月

20日

宮城県 「仮設、2万2516戸整備へ 9月以降完成の見通し」

仮設、2万2516戸整備へ 9月以降の完成の見通し

河北新報110721】宮城県は20日、東日本大震災の被災者向け仮設住宅の第15次着工分を発表し、被災市町が要望した全2万2516戸の建設にめどが立ったことを明らかにした。全戸完成は9月以降になる見通し。
 用地選定が難航していた気仙沼市は市内の民有地に加え、一関市千厩町、同市室根町の旧学校グラウンドに計310戸分の用地を確保し、全戸分の建設場所が決まった。
 県外に仮設住宅を建設するのは気仙沼市が初めて。石巻市は新たに4カ所で96戸分の建設用地を決めた。
 第15次分として公表したのは、第14次分で着工時期を「調整中」とした分を含む2722戸。気仙沼市の10カ所503戸は今月22~26日に着工する予定。残る2219戸の着工時期は未定。
 20日までに完成したのは1万6495戸。必要戸数に対する完成率は73.3%。
 第14次分で公表した石巻市の「追波川河川運動公園グラウンド」(136戸)、南三陸町の「荒砥地区(3)」(17戸)と「廻舘地区(2)」(8戸)は、地元からの要望で建設を中止した。
 着工日が公表された気仙沼市分の建設場所、戸数は次の通り。
 条南中グラウンド(田中前4丁目)70戸▽赤岩老松地区(赤岩老松)11戸▽大峠山地区(2)(大峠山)14戸▽小泉小駐車場(本吉町平貝)10戸▽田中前2丁目地区(田中前2丁目)7戸▽田中前2丁目地区(2)(同)11戸▽気仙沼西高グラウンド(赤岩牧沢)30戸▽市営テニスコート(同)40戸▽旧折壁小(一関市室根町)90戸▽旧千厩中(一関市千厩町)220戸

2011年

7月

16日

気仙沼市、一関に仮設住宅300戸 閉校跡地に

岩手日報110717】気仙沼市が、東日本大震災の被災者向けの応急仮設住宅約300戸分の用地として、一関市室根町の旧折壁小と同市千厩町の旧千厩中の跡地を計画していることが16日、分かった。平場が少なく、市内だけでは用地確保が難しい気仙沼市に対し、震災当初から支援活動を展開する一関市が用地を無償提供する方向だ。

 気仙沼市によると、仮設住宅の必要戸数は3279戸で、7月6日時点の着工戸数(予定含む)はグループホームを除き2561戸。新規の申し込みもあり、約800戸不足していた。市街地が浸水した市内では、平場が少なく用地確保が難航。必要戸数を確保するために宮城県内の他市町村に建設する案もあったが距離的な問題もあり、一関市内が候補となった。

 一関市も震災当初から気仙沼市に対し、仮設住宅の用地確保の協力を申し出ていた。両市は19日に地元説明会を開催する。旧折壁小は約100戸、旧千厩中は約200戸の建設が可能で、最終的な着工戸数は調整している。

2011年

7月

16日

焦点/“仮設孤独死”宮城で2人/きめ細やかなケア必要

額田勲氏
額田勲氏

河北新報110716】仮設住宅で、誰にもみとられず「孤独死」した一人暮らしの被災者が、宮城県内で2人相次いでいたことが確認された。仮設住宅への入居が進む中で、被災者の健康管理や孤立を防ぐコミュニティーづくりが、緊急の課題となっている。

◎住民交流の場設置/見守り活動を強化

 塩釜市伊保石の仮設住宅で6月29日、男性(79)が亡くなっているのが見つかった。市によると、男性と連絡が取れないことを心配した親族が29日午後6時ごろ、住宅を訪れ、部屋の布団の上に倒れている男性を発見した。病死とみられる。
 塩釜市にある自宅は震災で半壊。男性は3カ月間、避難生活を送った後、6月13日に仮設住宅へ入居した。週1回デイサービスに通い、市の高齢者訪問指導の対象にもなっていた。28日夕も市職員が電話で話をしたという。
 仮設住宅には近隣自治体も含め、135戸が暮らす。市は仮設住宅での孤独死を防ぐため、保健師が巡回しているほか、管理人も常駐させて目配りしている。市生活福祉課は「高齢者や障害者の巡回を強化したい」としている。
 名取市愛島笠島の仮設住宅「愛島東部団地」(182戸)では6月11日、女性(81)が倒れているのを、訪ねてきた親族が発見した。女性は死亡が確認された。
 市によると、女性の死因は不明だが、高血圧の既往症があったという。団地は5月末に入居開始し、同市閖上3、4丁目の住民を中心に、174戸に152世帯約400人が居住する。
 名取市仮設住宅管理室は「入居から2週間もたっておらず、自治会もなかった。声掛けや巡回訪問など、きめ細かなケアを考えたい」と話す。
 1995年の阪神大震災では、仮設住宅での孤独死が問題視された。兵庫県警によると、仮設住宅が存続した99年までに、誰にもみとられず亡くなった一人暮らしの被災者は233人に上った。この教訓から、自治会などによる見守り活動や、住民が交流できる場の重要性が指摘されてきた。
 宮城県は「一人暮らしの高齢者、高齢者のみの世帯が地域から孤立し、意思や状況が周囲に理解されないまま結果として死に至った状況で発見される」ケースを「孤立死」と定義。2006年から実態調査している。
 県長寿社会政策課は「市町村には民生委員などにお願いし、しっかり被災者の状況を確認するよう呼び掛けたい」としている。

◎仮設住宅孤独死問題・額田勲医師に聞く/防止へ自治会設置有効

 仮設住宅での「孤独死」をどう防ぐか。阪神大震災後、神戸市内の仮設住宅に診療所を開き、災害時の孤独死の問題と向き合ってきた医療法人倫生会神戸みどり病院理事長の額田勲医師(71)に聞いた。

 ―阪神大震災で向き合った孤独死の実態は。
 「発生から7カ月後の1995年8月、1700戸が建つ神戸市最大の仮設住宅に仮設診療所『クリニック希望』を開設し、内科中心の診療を行った。患者を待つだけでなく、全戸訪問して健康状態をチェックするなど、被災者と向き合うことを心掛けてきた」
 「健康を損ねていながら、経済的な事情や、生きることへの無気力感などから通院が遅れ、死亡する被災者は少なくなかった。『独居死』とは異なる『孤独死』という概念を打ち出すきっかけとなった」
 ―東日本大震災の被災地と阪神大震災との相違点、今後の課題は何か。
 「4月中旬から4回、東日本大震災の被災地に入り、調査した。仮設住宅の大半が100戸程度と小規模で、神戸より細かな目配りは可能だと感じる。大都市部の神戸と三陸沿岸部とでは人間関係の文化も異なる」
 「ただ、16年間での社会の変化も大きい。高齢化が進展し、一人暮らしも増えた。『孤独死』のリスクは高まっていると言える」
 ―被災者を孤立させないために、必要なことは何か。
 「被災者の孤立を防ぐ方法に、王道はない。こまめに誰かが足を運ぶしかない。だが、その『誰が』という部分が難しい。神戸では、仮設住宅を訪問するボランティアを煩わしいと受け止め、『ボランティアお断り』と張り紙を出した被災者もいた。自分の経験から健康管理を通じて被災者とかかわると、プライバシーの問題も含め心の壁は低くなると感じる。仮設住宅で自治会を作ることも有効な手段の一つだ」
 「避難所は衆人環視の環境で全体像が見えやすいが、仮設に移ると一気に『見えない』生活になる。医療によるカバー体制の構築を含めて被災者の生活をどう支えるか、これからが本番だろう」

<ぬかだ・いさお氏>1940年、神戸市出身。京都大薬学部、鹿児島大医学部卒。80年、神戸みどり病院院長。2003年から現職。神戸生命倫理研究会代表。著書に「孤独死~被災地神戸で考える人間の復興」など。

2011年

7月

15日

宮城県石巻市 「内陸の仮設を敬遠 買い物や通勤通学が不便 河南・桃生5カ所平均入居率は21%」

内陸の仮設を敬遠 買い物や通勤通学が不便 河南・桃生5カ所平均入居率21%

【内陸部の仮設住宅は入居率が低調=石巻市広渕の押切沼運動公園】
【内陸部の仮設住宅は入居率が低調=石巻市広渕の押切沼運動公園】

三陸河北新報110715】石巻市中心部から離れた場所に設置された仮設住宅が敬遠されている。8日現在、桃生・河南地区の5カ所の平均入居率は21・2%。5戸に4戸が空き家状態だ。買い物や通学、通勤が不便なことが要因とみられる。ただ、仮設住宅を建てられる安全で便利な用地は限られ、市側は「PRに努め、被災者の理解を得ながら入居率を高めたい」としている。

 6日から8日まで入居を募集した桃生・河南地区5カ所の仮設住宅は計457戸あるが、入居が済んだのは97戸にとどまっている。

 場所別の入居率は、河南地区の押切沼運動公園(124戸)が19・4%、柏木ふれあいセンター(28戸)が39・2%。

 河南地区よりさらに市中心部から離れた桃生地区では、せんだんの杜ものう隣地(122戸)が26・2%、桃生総合センター多目的グラウンド(132戸)が22・7%、永井いきいき交流センター(51戸)はまだ入居がない。

 以上5カ所の入居率が低い点について、市側は「震災前に暮らしていた場所から離れていることもあり、抽選時から申し込みが少なかった」と説明。6日から8日までの追加募集で71戸の入居希望があったが、その分が入居しても入居率は36・8%。半分にも満たない。

 同市新館の自宅が津波で全壊し、押切沼運動公園の仮設住宅で生活する阿部ふじ子さん(50)は「生活が便利な市中心部に近い場所に入りたかった。夫の送り迎えや買い物など、生活の足は車1台。これがないと暮らしていけない」と語る。

 幼い孫を含めて家族6人が2戸で暮らしているが、「6人でも1世帯とみなされ、使用する冷蔵庫は1台と制限されている。食料品の保管が大変」と困惑。「居住スペースが狭く、空いている部屋を使わせてほしい。もったいない」と語る。

 一方、震災前の居住地から離れて暮らす世帯の中には、子どもの通学に苦心する人も。市側に「スクールバスを運行してもらえないか」との問い合わせもあるという。

 しかし、最終的に仮設住宅は129カ所に設置され、全ての地区をカバーするのは困難。市教委は「住んでいる場所から近い学校への転校、家族による送迎が現実的な対応」と話している。

 市によると、仮設住宅の申し込みは7832戸で、県は7900戸の設置を計画。7日までに計画戸数の76%に当たる6012戸(建設中を含む)を設置した。入居が完了したのは抽選が終わった2893戸のうち2400戸程度。多くの被災者が避難所や親類宅などで生活している。

2011年

7月

15日

岩手県遠野市 「東大の提言反映した交流型仮設住宅 遠野に40戸完成」

東大の提言反映した交流型貸せ通住宅 遠野に40戸完成

岩手日報110716】沿岸部から遠野市に避難している住民を対象にした仮設住宅40戸が完成し、15日に同市穀町の現地で見学会が開かれた。東京大などの助言を基に高齢者や子育て世帯へのケアを重視した設計で、地元産材を活用。今後、菜園やサポートセンターも整備し、住民の交流促進と生活再建を図る。39世帯79人が16日から入居する。

 市職員、近隣住民らが仮設住宅を見学した。愛称は「希望の郷『絆』」。同市市街地に位置し、駅や市役所、小中学校、商店街も近い。住宅は地元産材と集成材を使った木造平屋で、地元業者が建設。広さは7・5、9、12坪の3種類。テレビや冷蔵庫、洗濯機など家電製品を完備している。

【写真=完成した遠野市の仮設住宅。高齢者や子育て世帯へのケアサポートを重視している】

2011年

7月

13日

宮城県 「仮設住宅敬遠 5400戸空家」

仮設住宅敬遠 5400戸空家

入居者がおらず、洗濯物も全く干されていない仮設住宅(8日、仙台市若林区卸町で)
入居者がおらず、洗濯物も全く干されていない仮設住宅(8日、仙台市若林区卸町で)

【読売新聞110713】東日本大震災から4か月が過ぎたが、本県でも一部自治体で仮設住宅への入居が進まず、空き家が目立っている。完成した仮設への入居率(6日現在)は全県で63・4%にとどまり、石巻市は38・2%と低さが際立つ。交通の不便さなどに加え、民間賃貸住宅への流出、行政事務の滞りなど原因は様々。仙台市の奥山恵美子市長は12日の記者会見で大家族に複数戸を提供する検討案を示した。(二俣友香)

 県によると、入居率が低い自治体は石巻のほか、東松島市(48・8%)、仙台市(54・0%)、塩釜市(59・2%)、女川町(64・7%)。いまだに1万3500人近くが避難所で劣悪な暮らしをしている一方で、約5400戸の仮設が空いている計算だ。

 仮設が敬遠される原因には交通の便の悪さやプライバシーへの不安などがあるとされるが、仙台市などでは民間住宅借り上げ制度がそれに拍車をかけている。

 県が民間賃貸住宅を借り上げ、仮設扱いで被災者に提供する。被災者自身が契約した物件も一定の条件を満たせば認められ、県が家賃を支給する。建設が追いつかない仮設の補完的役割として打ち出されたが、4日現在で県内の利用件数は想定を大きく上回る約1万1936件に上る。

 石巻市で自宅が津波で流された会社員女性(32)は、この制度を使って東松島市のアパートに両親と暮らす。「仮設はプライバシーが守られるのか不安だった。高齢者や障害者が優先で私たちには回ってこないとも思った」と話す。

 賃貸物件の多い仙台市では、同制度の申請が市の想定の8倍の約8000件(6月末時点)で、「仮設が埋まらない最大の理由は民間賃貸」と担当者も話す。

 同市は19日まで仮設入居者の最終募集を行っているが、空き屋がどれだけ埋まるか不透明だ。奥山市長は12日の会見で、空き家を「(入居者のうち)部屋数が足りない大家族世帯に使ってもらったらどうか」と、1世帯に複数戸を提供する案を示した。今後、実務担当者と協議するという。

 一方、石巻市では仮設は決して不人気ではない。

 「複雑な思いです」。同市の蛇田公民館で暮らす中西稚武さん(38)は、すぐ近くに建った仮設を見ながらつぶやいた。この避難所には今も約40人が暮らし、ほぼ全員が仮設への入居を希望しているが、入居者抽選で当選したのは1世帯だけ。同市の抽選は、いったん応募すると、その後に辞退したり民間賃貸に入ったりしてもリストから除外されないため、競争率が高止まりしているという。市が震災関連の膨大な業務を抱えるため、改善が進まないらしい。避難所は扇風機でしのげない暑さで、中西さんは「精神的にも体力的にも限界」と話す。

2011年

7月

12日

宮城県名取市 「仮設住宅で「孤独死や自殺者出さない」

仮設住宅で「孤独死や自殺者出さない」

「桜大通り」では、子どもたちがお年寄りに見守られ、車を気にせずに遊べるようになった=宮城県名取市の箱塚桜仮設住宅で2011年7月9日午後4時58分、中村好見撮影
「桜大通り」では、子どもたちがお年寄りに見守られ、車を気にせずに遊べるようになった=宮城県名取市の箱塚桜仮設住宅で2011年7月9日午後4時58分、中村好見撮影

毎日新聞110712】宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区などの被災者148人、102世帯が暮らす同市箱塚の「箱塚桜仮設住宅」。ひきこもりがちなお年寄りや、学校や遊び場を失った子どもたちの元気を取り戻そうと、住民自身が手探りで取り組みを始めている。「決して孤独死や自殺者を出さない」が合言葉だ。

 敷地内を約100メートルにわたって続く舗装通路。子どもが自転車で走り回りボール遊びを始めると、涼みに出てきたお年寄りがほほ笑みながら声をかけた。名付けて「桜大通り」。午前11時から午後5時までは車の通行は禁止。「子どもやお年寄りの笑顔は、みんなの勇気や希望の源。だから大切にするのです」。この仮設住宅の自治会長、大脇兵七さん(72)が説明する。

 仮設住宅は5月初旬から入居が始まった。多くが同じ集落の被災者だったが、他の集落から来た人など、お互い面識のない人たちもいた。まず自治会がつくられ、会長になった大脇さんの頭をよぎったのは、阪神大震災で問題になった孤独死や自殺だった。そうしたことを防ごうと、住民と話し合いを重ねた。

 敷地内に建設された集会所では、NPOやボランティアの協力を得て、未就学児を集めてお年寄りらと遊ぶ「チャイルドパーク」を始めた。来月にはみこしを手作りし、夏祭りを開催する予定だ。

 荒木保子さん(69)は集まりを通して、友人ができた。「暑くてこもってられないし、頭がだめにならないように参加するんだ」と笑う。近くの別の仮設住宅からは、ここに遊びに来るために1カ月ぶりに外に出たという人もいた。

 17の棟ごとに班長を決めて、見守り合う。家に閉じこもりがちの人もいたが、自治会メンバーが一戸一戸を訪ね歩いた結果、ほぼなくなったという。

 名取市仮設住宅管理室の佐竹悦子・技術主幹は「仮設住宅のコミュニティー形成の一つのモデルケース」と話す。だが、仮設住宅暮らしはこれからが長い。大脇さんは「今はまとまっているが、置かれた状況はそれぞれ違う。生活が整い出ていく人たちが増えた時、残された人がどうなるのか。それが心配」と課題を指摘した。

2011年

6月

26日

宮城県石巻市 「相川地区に集会所完成 仮設入居者に交流の場 東海大生 教職員が協力」

相川地区に集会所完成 仮設入居者に交流の場 東海大生 教職員が協力

【完成を祝い、テープカットを行う関係者=石巻市北上町十三浜崎山】
【完成を祝い、テープカットを行う関係者=石巻市北上町十三浜崎山】

三陸河北新報110626】石巻市北上町十三浜の相川運動公園内にある仮設住宅隣に、集会所が完成した。仮設住宅ではコミュニケーション不足による孤独死などが懸念され、東海大の学生や教職員らが入居者同士の交流の場として活用してもらおうと建てた。
 集会所は学生が設計し、木造平屋平方㍍。ヒノキの間伐材を利用した木材ブロックを組み上げ、学生8人とボランティアの大工、住民らが1週間で造った。太陽光発電パネルと蓄電池を設置し、照明の電力をまかなう。総工費約500万円は東海大が負担した。
 学生たちは、山火事に遭っても芽を出し、森を再生させるドングリにあやかって「どんぐりハウス」と名付けた。
 完成式で、相川地区自治会長の鈴木学さん(66)は「大いに利用して孤独死をなくしたい」、小指契約会長の佐々木文彦さん(54)は「共同体のシンボルとして生かしていく」と感謝した。内覧した住民たちは「ロフトがあり広く使える」「ヒノキの香りが心地良い」と満足げだった。
 集会所の建設は、同大チャレンジセンターの「3・11生活復興支援プロジェクト」の一環で、大船渡市に続いて2カ所目。プロジェクトリーダーを務める工学部建築学科4年下田奈祐さん(22)は「建てて終わりではなく、イベントを開くなどして、継続して支援していく」と話した。
 アドバイザーを務めた同学科の杉本洋文教授は「国産の間伐材を使用する上、ユニット化しているので、学生レベルでも1週間程度で完成させられる。応急建築物のモデルとして普及してほしい」と話していた。
 相川、小指地区は136世帯中95世帯が被災し、41戸の仮設住宅が建設された。公共の場が不足し、情報交換や交流に支障をきたしていた。

2011年

6月

25日

宮城県 「仮設福祉ハウス開設 被災障害者の自立支援」

仮設福祉ハウス開設 被災障害者の自立支援

「仮設福祉ハウス」を見て回る入所者たち=石巻市須江
「仮設福祉ハウス」を見て回る入所者たち=石巻市須江

河北新報110625】東日本大震災で被災した障害者とその家族が暮らせる仮設福祉ハウス「日本財団ホーム 小国の郷(さと)」が24日、宮城県石巻市に開所した。スタッフが24時間常駐し、通常の仮設住宅での生活が困難な人々の自立に向けた支援を行う。
 同市の社会福祉法人「石巻祥心会」の依頼を受け、日本財団が全国から寄せられた支援金で建設した。東日本大震災の津波で亡くなった祥心会理事の遺族から提供された約6600平方メートルの土地を活用した。
 障害者とその家族3~4人が暮らせる世帯向けを40戸、単身の障害者向けグループホーム(定員7人)を2棟整備した。
 入り口にスロープや手すりを設けるなどバリアフリーの設計で、併設した事務所につながるコールボタンを全戸に設置。事務所には祥心会のスタッフが常駐し、買い物や通院支援を行うほか、生活相談にも応じる。
 津波で家を流され、家族3人で避難所から移る無職舛野恵美さん(46)=大街道東=は「いつでも相談できる人がいるし、一つの部屋で家族で暮らせる環境はありがたい」と話していた。

 

公式ホームページ:日本財団

 

2011年

6月

18日

東海大学 3.11生活復興支援プロジェクト どんぐりハウス建設計画(宮城県石巻市北上町十三浜 6/18~25)

>      ----- Original Message -----
>      From: KUMASAKI Takahiro
>      To: 小野誠一様
>      Sent: Tuesday, June 07, 2011 12:57 PM
>      Subject: どんぐりハウス石巻建設に関して
>
>      一級建築士事務所 小野建築設計室
>      代表 小野誠一様
>
>      東海大学杉本研究室4年の熊﨑雄大です。
>      今回十三浜に建設させていただく「どんぐりハウス」の件なのですが、
>      現時点で学生参加者は9名の予定です。
>
>      また、日程なのですが、6/17(金)に神奈川を出発し、
>      6/18(土)~6/25(土)が施工期間という予定です。
>      ただ、上記日程は石巻の大工さんが土日も作業して頂けるということが
>      前提になってしまっているため、現在確認中です。
>
>      詳細が決まり次第、追ってご連絡します。
>      よろしくお願いいたします。
>
>      -----
>      熊 﨑 雄 大
>      KUMASAKI Takahiro
>       東海大学 工学部 建築学科4年 杉本洋文研究室
>       3.11生活復興支援プロジェクト
>       http://deka.challe.u-tokai.ac.jp/3.11lcp/
>       http://www.facebook.com/lifecare3.11

2011年

6月

17日

東日本大震災:弱者に優しい家に 宮城・石巻の社会福祉法人 ケア付き施設で「安心」

毎日新聞110617】東日本大震災の被災地・宮城県石巻市で知的障害者の入所施設「ひたかみ園」を運営する社会福祉法人が、障害者と家族のためのケア付き仮設住宅を建設している。家族や自宅を津波で失った知的障害者も多いが、一般の避難所での集団生活は困難が伴う。ケア付き仮設住宅で生活基盤を支える狙いだ。入居予定者は「ケア付きなら安心」と今月中の完成を心待ちにしている。【細川貴代】

 同園は震災直後に避難所となり、入所していなかった人も含め知的障害者と家族らが身を寄せ、今は約70人が暮らす。大半がケア付き仮設に入居予定だ。

 佐藤紀久子さん(70)もその一人。夫忠義さん(73)や長男智哉さん(30)と避難生活を送る。智哉さんは重度障害があり、忠義さんも手足が不自由。女川町の自宅は津波で流され避難所に入ったが、智哉さんがストレスで大きな発作を繰り返したため同園に移った。一般の仮設住宅での暮らしも困難と考え、ケア付き仮設住宅への入居を決めた。紀久子さんは「何かあっても安心だと思った」と話す。

 ケア付き仮設住宅は、同園を運営する社会福祉法人「石巻祥心(しょうしん)会」が同市須江小国の法人敷地内に建設中。23日ごろに完成予定だ。

 生活相談を受けるスタッフが24時間常駐し、相談支援や緊急時対応のほか家事や通院を支援する。障害者単身用14室と世帯用40室の2種類があり、単身用は共用部分に台所と居間があるグループホーム形式。日本財団から建設費用約1億7000万円の助成を受けた。入居期間は2年間、水道光熱費は実費負担となる。

 同法人の宍戸義光理事長は「家や介護を担ってきた家族が亡くなるなど障害者を取り巻く環境は厳しい。ずっと仮設にとどまるのではなく、本人や家族が仮設を出た後にも地域生活ができるような支援をしていきたい」と話している。

2011年

6月

16日

宮城県 「焦点/住宅借り上げ制度/民間貸賃、支援格差」

焦点/住宅借り上げ制度/民間貸賃、支援格差

2部屋に5人が暮らす堀内さん方。荷物などで部屋一つが埋まっている=登米市
2部屋に5人が暮らす堀内さん方。荷物などで部屋一つが埋まっている=登米市

河北新報110618】東日本大震災の被災者向けに自治体が民間賃貸住宅を借り上げる制度をめぐり、宮城県内で申請時期により格差が生じている。エアコンなどの付帯設備では、県と国との認識のずれから方針が二転三転したためだ。家賃負担では、岩手、福島両県と比べ対応に違いも出ている。(村上俊)

◎設備・家賃、申請時期で明暗

 仮設住宅をめぐっては、「生活に不便」「いつ入れるのか分からない」などの理由で、民間の賃貸住宅に希望を切り替える被災者が続出している。宮城県によると、民間賃貸住宅借り上げ制度の申請件数は16日現在、約1万1500件に上っている。
 借り上げ住宅には、仮設住宅と同様、生活必需品が事前に準備されるが、県内では申請時期によって設備に差が出る事態となった。
 県は4月22日、ガスコンロ、照明器具、カーテン、冷暖房機、給湯器を付帯設備として準備するよう市町村に伝えた。その直後には厚生労働省から指導を受けたとして方針を転換、冷暖房機と給湯器を対象から外した。
 ところが、厚労省は5月30日、付帯設備を仮設住宅に標準的に設置されているものと同じにするよう通知。県は同日以降、二つの設備も加えるように改めた。
 国は通知について「方針は変えていない。被災地の意向もあり、明確化した」と説明する。県は「4月の時点では、エアコンなどの公費負担は難しいと聞いた」とし、見解は食い違う。
 被災者名義で契約した後、仮設住宅として県名義に切り替えた場合の家賃負担でも、国と県の認識にずれがある。
 厚労省は4月30日付で名義を替えた物件も対象にすると通知した。県はこれを受け、震災当日の3月11日から4月30日までに被災者名義で契約した分を、5月1日付で県名義にしており、3月と4月分は被災者が支払うことになった。
 厚労省は「契約が個人から県に切り替わった時点で、災害救助法の適用対象となる。その時期は自治体の判断」とし、さかのぼっての契約変更は可能との考えを示す。
 岩手県は、賃貸借契約日の遡及(そきゅう)適用を実施。福島県は国の動きを待たず、入居日にさかのぼって家賃を公費負担とする独自の特例措置を設けた。
 これに対して宮城県は「財政的措置が担保されないと難しい」として、あくまで国に救済措置を求める考えだ。

◎不動産業者、困惑/重い初期負担、手数料は半額

 賃貸住宅の借り上げ制度では、自治体や物件所有者と被災者との間に立つ不動産業界も困惑している。
 全国賃貸住宅経営協会宮城県支部によると、震災以降、仙台圏の賃貸物件は不足気味。仙台市などは借り上げ申請受け付けを締め切ったが、支部の専用窓口には連日40件程度の電話が寄せられ、対応に追われている。
 今野幸輝支部長は「制度の人気に加え、復旧工事の関係者らの需要もあり、物件は枯渇しつつある。希望が多いファミリー向けは9割以上が埋まった」と話す。
 県宅地建物取引業協会は「震災前の自宅近くへの希望が多い中、被災地域に入居可能な物件は少なく、ミスマッチを招いている」としている。
 借り上げ制度は、貸主の了解を得られることが前提となる。貸主が20万円を上限に費用を立て替えて付帯設備を準備することに加え、業者の仲介手数料は通常の半額に設定されている。
 仙台市の不動産業者は、被災者の生活再建に協力は惜しまない意向だが「借り上げ制度の物件を扱えば扱うほど初期の費用負担が増えるのに、収入は少ない。被災した物件も多く、経営は厳しい」と打ち明ける。

◎急いで…多額出費/生活再建、制度後手に/初期家賃や家財、自腹

 東日本大震災の被災者支援で導入された「民間賃貸住宅借り上げ制度」は、被災者が制度の支援を十分に活用できなかったり、前提となる不動産業者の承諾を得にくかったりする問題が表面化している。スムーズに制度を利用できなかった被災者は、不公平感を抱きながら、生活再建の第一歩を踏み出さざるを得なくなっている。

 「家も仕事も失い、困っているのは皆同じ。家を借りた時期で支援に差が出るのはおかしい」
 宮城県南三陸町から避難した堀内裕美さん(45)は不公平感を訴える。
 震災前は町役場近くで飲食店を経営。店舗兼住宅を津波で流され、登米市内の借家に一家5人が暮らす。
 20年近く空き家だったため、貯金をはたいて改装し、家電をそろえた。
 テレビアンテナやガスメーターなどの工事や補修に約20万円。冷蔵庫や電子レンジなど最低限必要な家電とガスコンロ、カーテンなどは約20万円で買いそろえた。
 仮設住宅は申し込まなかった。「本当は地元を離れたくなかった。でも、どこにいつ建つのかも分からず、待っていられない」。震災当時中学2年の長女は4月から受験生、長男は小学校入学を控えていた。3月下旬に登米市に引っ越した。
 県の借り上げ制度を知人から教えられ、手続きをしようと、登米市の総合支所を訪ねたのは5月上旬。洗濯機、冷蔵庫など生活家電6点が支給される日本赤十字社の寄贈事業や、さまざまな支援策も説明された。
 「初めて聞いた話ばかりだった」。すでに引っ越して1カ月以上。必要な物はあらかた自力でそろえてしまった。しかも借り上げ扱いになるのは5月1日以降で、それ以前の家賃は自己負担になるという。
 せめて費用補助はないものかと懇願したが、「そんな制度はない」と、つれない返事。収入が激減する中、堀内さんは避けることができた多額の出費を悔やんだ。
 仙台市青葉区の自営業男性(48)は、住んでいたマンションが大規模半壊で立ち入り禁止となり、県外に一時避難した。
 仙台に通い、転居先を探していた4月下旬、借り上げ制度を新聞で知り、意中の物件が対象となるか確かめようと市役所を訪ねた。
 妻と2人暮らしで3LDK、家賃約7万円。「間取りは県の示した目安を超えているが、家賃は範囲内なので、申請してみては」と市職員。物件を管理する不動産業者と家主に自分で承諾を得てほしい、と説明された。
 対応した業者は「国などから詳しい説明がないまま制度が始まった。困っている」と苦渋の表情を浮かべた。所有者は県外在住とも伝えられ、「手続きに時間がかかる」と難色を示された。借り上げ制度にこだわっていると、入居を断られかねないと判断し、全て自己負担で借りることにした。
 男性は「やっと見つけた物件だったし、早く生活を立て直したかった。でも、借り上げ制度がこれほど使いにくいとは思いもしなかった」と話している。

[民間賃貸住宅借り上げ制度]被災者が入居する民間賃貸住宅を県が借り上げ、仮設住宅扱いで提供する。被災者が自ら契約した住宅も一定の条件を満たせば認める。災害救助法に基づく制度で、入居期間は2年間。

 

2011年

6月

10日

避難の現場から:東日本大震災 早く仮設住宅を/入居者、平穏遠く

買い物困った 仮設の配給打ち切り--岩手・陸前高田

毎日新聞110610】岩手県陸前高田市は10日、仮設住宅入居者への食料などの支給を打ち切った。この日は各仮設住宅に自衛隊のトラックが最後の物資を搬入。配給された10キロ入りのコメなどを大事そうに抱える被災者の姿が見られた。

 「誰かに車に乗せてもらわないと(買い物に)行かれないよ」。市立米崎小学校の仮設住宅で1人暮らしをする佐藤京子さん(71)は支給打ち切りを嘆く。配給されたレトルトカレーや缶詰などを衣装ケース2箱分と小さなかごいっぱいにためた。「(仮設の退去期限とされる)2年かけて、ゆっくり食べるつもりさ」

 持病や震災後のけがで10種類以上の薬を服用している。42年前に建てた自宅は津波で壊れ、取り壊すが、毎日通い、近所の人と話したり庭の手入れをする。「家がなくなったら、おかしくなるかもね」

 仮設住宅に知人は少ない。心を癒やしてくれるのは自宅から持ってきた鳥の人形。話しかけると2度オウム返しする仕掛けだ。「『よーぐ生き残ったね、おらと同じだな』って話してたの」

 自治会長を務める佐藤一男さん(45)は5月初旬、両親や妻、子ら一家7人で入居。6畳1間と4畳半2間にキッチン、バス、トイレ。「収納がなく狭い」。夜は4畳半2間に布団を敷き詰め、子どもを抱いて眠る。9人で暮らす家庭もある。

 佐藤さんはカキ養殖をしていたが、津波に施設を流された。事業再開へ向け、毎日漁港でがれきを撤去する。一方、米崎小の仮設住宅に入居する60世帯のうち18世帯は1人暮らしの高齢者。見回りもしており「仕事をしながらでは負担が重い」。高齢者の孤立を防ぐため集会所が必要と感じているが、市の担当者に「学校敷地内の仮設には建てられない」と言われた。最近は高血圧で病院に通う。

 「何かしようとすると、いつもいつも壁が立ちはだかるんだ」【中川聡子】

寝られない 周囲の音、気になる--宮城・南三陸

「悪いことばかりが頭に浮かぶ。薬(睡眠導入剤)がないと寝られない」

 宮城県南三陸町で魚の行商をしていた後藤久男さん(61)は、大津波でローンの残る自宅や船、トラックをすべて流された。震災のストレスで持病の手足のしびれがひどくなり、避難所生活で悪化。同町の「志津川自然の家」内の仮設住宅に当選し、妻(58)、次男(30)と5月10日に入居したが、安堵(あんど)する場所にはほど遠い。

 間取りは4畳半2部屋と台所。風呂も沸かせる。プライバシーのない避難所よりも格段に良くなった。だが、どうしても、2階建ての自宅と比べてしまう。「文句は言えないけど、想像以上に狭い」。1部屋を夫婦で使い、生活用品を置くもう1部屋の隅で次男が眠る。

 81世帯分の仮設住宅が建設され、今は約75世帯が暮らす。だが、隣と仕切る壁は薄いので「せきをするのにも周囲に気を使う」。

 同町の水道復旧率は2%と低く、自然の家周辺も復旧していない。敷地内に給水タンクが置かれ、町が毎日補給するが、朝晩のピーク時に水が止まることもしばしば。後藤さんは「よその家と競い合うように風呂の水をためるんだ」と話し、疲れた表情を浮かべる。

 入居した被災者には食料の支給がなく、車で15分かかるスーパーなどでの買い出しが欠かせない。家が無事だった人が避難所で支援物資を支給されていると聞くと、どうしても不公平と感じる。一方、仮設住宅に当選して鍵をもらいながら避難所にとどまる人もいる。「その気持ちも分かるなあ」とも思う。

 入居者が集まって仮設住宅の運営方法やリーダーを決める会合が5日に開かれた。出身地区はばらばらで、顔見知りは数えるほど。「これから2年はご近所さん。気持ちを合わせていかないと」。後藤さんは前を向こうとするが、今は不安の方が大きい。

2011年

6月

09日

宮城県山元町 「独自に仮設住宅260戸 希望者の声反映」

独自に仮設住宅260戸 希望者の声反映

朝日新聞110609宮城県山元町が、町独自に仮設住宅260戸を発注する。8日の町議会で契約案が全会一致で可決された。町は希望者の多い1DKや3Kタイプの仮設住宅を増やしたいとしている。

 町によると、これまで県が約670戸を町内で発注していたが、定型の2DKタイプが多く、小人数や大家族向けに独自発注することにした。浅生原、中山の2地区に130戸ずつ建設し、このうち1Kが125戸、3Kが56戸で、2DKは79戸におさえた。

 県に登録している77の建設業者のうち、同町の基準に合う5社を指名し、提案方式の入札をした。7月中旬までに引き渡しを受け、同下旬には入居できる見込みだ。

 県住宅課によると、山元町のほか、石巻、女川、南三陸の3市町で、自治体独自の仮設住宅の発注に向けて準備をしている。自治体が自ら発注することで、地元の業者を選定でき、雇用の創出や経済の波及効果も期待しているという。

2011年

6月

02日

discussion 建築家たちの提言集/アーカイブ(丸谷)

(2011/06/02 20:55), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [nuae_tokyo_m:2567]

 

> 丸谷よりお知らせします。
>
> ■NPO法人日本の道では、建築家や工務店が提案している仮設住宅、復興住宅をブログ
> に掲載しアーカイブを形成しています。
> 皆さん、あるいは知人の関係者にもお知らせくださり、資料を送って下さるようご紹
> 介ください。
> http://japanroad.exblog.jp/i6/

2011年

6月

01日

首都圏防災へ専門家ら提言

討論会第2部で語る(左から)佐土原聡さん、山本理顕さん、長谷部勇一さん、小林直貴記者
討論会第2部で語る(左から)佐土原聡さん、山本理顕さん、長谷部勇一さん、小林直貴記者

読売新聞110602】横浜国立大学と読売新聞横浜支局は1日、東日本大震災の被災地を調査や取材で訪れた大学人や記者による緊急報告会を、神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町の横浜ビジネスパーク(YBP)で開いた。

 「津波対策に避難ビル建設を急ぐべきだ」「今の仮設住宅の建て方だと地域社会が崩れる」など、現場を踏まえた具体的な提言が出され、集まった同大の学生や研究者、消防関係者ら約200人からも、報告者に質問が相次いだ。

 報告会の冒頭、鈴木邦雄学長が「研究成果を社会に還元するのが大学の責務。報告会を従来のエネルギーの使い方やこれまでの価値観を変える機会としたい」と開催趣旨を説明。

 続いて講演した古尾谷光男副知事は、「高度成長期に水田などを埋め立てた住宅地で液状化現象が起きた」などと、県内の被害状況を報告した。

 「東北のその時、今は」と題したパネル討論第1部には、現地で被害調査を行った研究者3人が登場。

 海洋研究開発機構の小平秀一上席研究員は、今回の巨大地震について「日本列島ののる北米プレートに太平洋プレートがもぐり込んで起きた」と説明し、震源域の南側で今後、大地震が起きることを「十分警戒すべきだ」と指摘した。

 横国大大学院都市イノベーション研究院の佐々木淳教授(水環境)は「防波堤や防潮堤で津波被害を軽くできた。津波に耐えうる鉄筋コンクリート造りの高い建物を新たに建てる避難ビル整備も急務だ」と訴えた。

 同研究院の田才晃教授(コンクリート構造物)は「まず耐震、免震性のある建物を建てる必要がある。沿岸部の建物は鉄筋コンクリート造り、津波の到達しない内陸部には木造家屋を建てるなど、津波に強い町づくりを考える必要がある」と述べた。

 「復旧・復興へ向けて」をテーマとしたパネル討論第2部では、研究者や新聞記者4人が報告。

 同研究院の佐土原聡教授(防災環境エネルギー)は「津波の破壊力を軽くするのに、森林を活用した対策を行うべきだ」と提言。また、「横浜市鶴見区の清掃工場で出る排熱をみなとみらい地区で熱源として使う仕組みなら、災害時でも近隣地区でエネルギーを自給できる」と指摘した。

 同研究院の山本理顕客員教授(建築学)は阪神大震災の仮設住宅の事例を踏まえ、「東北でも仮設住宅の北側に玄関、南側に採光窓という建物ばかり建てられている。住民同士の交流が減り、地域社会が崩れる」と指摘。「飲食店や自転車店だった被災者に仮設住宅で開業してもらうなど街づくりが必要」と訴えた。

 横国大大学院国際社会科学研究科の長谷部勇一教授(経済学)は「原発汚染による被害額や原発の廃炉にかかる核燃料の処分費など、コスト分析をすることが必要」と述べた。

 福島県内で被災地を取材した読売新聞横浜支局の小林直貴記者は「岩手、宮城県と原発事故のあった福島県では状況が全く違う。福島ではいつ家に戻れるかメドがたたない。これがニュースを把握するための大前提」と語った。

2011年

5月

31日

宮城県 「仮設1000戸分 民有地借り上げへ 気仙沼市」

仮設1000戸分 民有地借り上げへ 気仙沼市

河北新報110601】仮設住宅の建設用地確保に向け、宮城県気仙沼市は民有地15万平方メートル(1000戸分)の敷地を借り上げる。借り上げ料1億円を含む2011年度一般会計補正予算案が31日、市議会臨時会で可決された。
 同市はこれまで、32団地(1880戸)の大半を市有地でまかなってきた。必要戸数の3164戸まで、あと1200戸以上あり、民有地活用に重心を移した。
 地権者との交渉について、佐藤清孝都市計画課長は答弁で「基本的には無償提供をお願いする」と述べた。農地活用にも触れ「調査では地盤の弱さなど技術的課題があった。造成で宅地利用に適した場所と判断されれば活用したい」と語った。
 菅原茂市長は「6月中に用地を確定し、8月中の完成、入居を確実にしたい」と強調した。
 補正では、震災で職を失った人を対象にした災害雇用対策費6億8200万円も柱。内訳は避難所運営事業、震災被災地環境保全等業務など計25件で、581人の雇用(半年~1年間)を確保する。臨時職員としての直接雇用と民間団体への事業委託を見込む。

2011年

5月

30日

新潟県 「にいがた人模様:仮設住宅の環境改善サイトを開設 岩佐明彦さん」

にいがた人模様:仮設住宅の環境改善サイトを開設 岩佐明彦さん

毎日新聞110529】東日本大震災で仮設住宅の建設が進められている中、研究室の学生と協力し、仮設の住環境を改善する方法をまとめたウェブサイト「仮設のトリセツ」を開設した。柱が鉄製であることや壁が薄いことから、夏は暑く冬は寒い上、音も響きやすいという難点をもつ仮設。「住みこなせるコツを伝えられないか考えた」とその意義を語る。

 サイトでは、すだれや植物で室温の上昇を防いだり、段ボールを壁に張り付けて音が響くのを防止する工夫などを紹介。波板やビニールハウスの骨組みで風除室や物置を作ったり、屋外の空き地を利用して休憩所や家庭菜園を設ける方法も盛り込んだ。「もし自分が住むことになったらどんな情報がほしいか」を念頭に置いた。

 こうした知恵は、04年の中越地震で実際に仮設へ入居した被災者から聞いたもの。研究と支援を兼ね、05年から2年間、研究室の学生らとともに、仮設住宅を回って「オープンカフェ」を実施。仮設の駐車場にテントを張り、入居者から仮設の改善で工夫した話を聞いたり、他の仮設の改善事例を伝えたりした際にまとめた資料を活用した。

 ウェブサイトにしたのは、新潟から距離のある東北の被災地でも被災者が情報を得られるようにとの狙いからで、現在のアクセス数は3万5000件に上っている。サイトからカード状に印刷できるような仕組みにし、他地域にいる家族やボランティアが被災地入りする際に持っていきやすいように工夫した。一連の作業は、学生が中心となって進めてくれたという。

 95年の阪神大震災で被災した兵庫県明石市出身。住んでいたのは幼少期だけだが、発生時には建築を専攻する大学院生として住宅の損壊度を調査するボランティアに駆けつけており、今日の活動の礎にもなっている。「落ち着いた段階で被災地入りし、サイトの情報がどう生かされたか検証したい」と話す。

2011年

5月

28日

宮城県石巻市 「障害者向け仮設住宅 石巻祥心会が着工 単身、世帯用計54室」

障害者向け仮設住宅 石巻祥心会が着工 単身、世帯用計54室

障害者向け仮設住宅の完成を目指し工事が進められている敷地内∥石巻市須江小国地区
障害者向け仮設住宅の完成を目指し工事が進められている敷地内∥石巻市須江小国地区

三陸河北新報110528】社会福祉法人石巻祥心会(宍戸義光理事長)は、石巻市須江小国地区に障害者やその家族が暮らせるケア付き仮設住宅「小国の郷(さと)」の建設に乗り出した。東日本大震災で生活の場を失った障害者や家族に住まいと各種サービスを提供する。今後の生活基盤の安定などに役立ててもらうのが狙い。現在、入居者を募集している。

 敷地は約6600平方メートル。祥心会が所有していた土地を活用するほか、震災で亡くなった故山内瀧子理事が隣に所有していた土地を遺族が提供した。

 仮設住宅は単身用の14個室(約4畳半)と、バス、トイレ、キッチンが付いた世帯用の40室(約9畳)の2種類。単身用には共同で使用できる食堂やバス、トイレなども完備する。

 5人のスタッフも常駐し、各種生活相談や緊急時の対応、家事援助などに当たる。通院や買い物などの送迎サービスも検討中という。

 事業費の約1億7000万円は日本財団ROADプロジェクトによる支援を活用。今月11日から着工しており、完成は6月20日。翌21日から入居ができる。入居期間は最長2年間。家賃は無料。ただし電気、上下水道、プロパンガスなどの使用料は入居者負担となる。

 入居対象は被災時に石巻市、東松島市、女川町に住居があり、障害者のいる世帯が条件。

 宍戸理事長は「家屋が被災しただけでなく、介護者となる両親が亡くなるケースもあり、障害者を取り巻く環境は厳しさを増している」と説明。障害者を抱える家族は、避難所生活でも一般の被災者に迷惑をかけまいとして精神的疲労やストレスが大きいという。

 こうした背景から、障害者や家族が安心して暮らせるケア付き仮設住宅を建設することにした。

 祥心会は「石巻地方の障害者福祉の復興とまちの再生を目指したい。生活の拠点を見つけることで家族は就労への確保につながる。障害者にとっても各種サービスを受けることで、グループホームでの生活を目指すための場にもなる」と話している。

2011年

5月

27日

政府 「仮設住宅の入居期間を延長 震災受け政令改正」

仮設住宅の入居期間を延長 震災受け政令改正

東京新聞110527政府は27日、東日本大震災の被災地に建設された仮設住宅の入居期間の延長を可能とする措置などを盛り込んだ政令改正を決定した。今回の震災は、行政上の特別措置を認める「特定非常災害」に指定されており、期間延長を対象項目に加えた。

 建築基準法では、仮設住宅は建設から最大2年3カ月以内に退去することになっているが、政令改正により、自治体が必要と認めれば1年間の期間延長ができ、さらに1年ごとに再延長もできる。同様の措置は阪神大震災や新潟県中越地震でも適用された。

 政令改正では、津波被害に遭った地域などで土地の境界線をめぐる民事調停が必要になった場合の手数料についても2014年2月末まで免除する措置を盛り込んでいる。


2011年

5月

25日

岩手県 「県が介護拠点を本格着工へ 「通所」「入居」の2種類」

県が介護拠点を本格着工へ 「通所」「入居」の2種類

岩手日報110525】県は、東日本大震災の仮設住宅団地に整備する介護拠点施設の建設に着手する。施設はデイサービス型を想定した「高齢者等サポート拠点」と「グループホーム型仮設住宅」の2種類で、市町村のニーズに応え必要な数だけ建設する方針。仮設住宅の建設に合わせ7月上旬までに一定数の完成を目指す。建設が決まった大槌町の施設については今月中にも着工する見通しだ。

 施設はいずれも1棟300平方メートルの平屋を標準タイプとする。高齢者等サポート拠点には、交流の場となるデイルームや、体操などの活動を楽しむ多目的ルームなどを整備。リハビリコーナーも設置する。

 グループホーム型仮設住宅は、約10平方メートルの個室を備え10人が入居できる。両施設ともに3方向からの介助が可能な浴室やオストメイト対応設備を備える。

 県は市町村と協議し必要な施設数の把握を進め、各仮設団地の敷地内への建設の可否を含めて調整している。施設数の目標は定めず、市町村のニーズに合わせ必要な数だけ整備する方針だ。

 24日現在、高齢者等サポート拠点は県内11カ所14棟、グループホーム型仮設住宅は7カ所8棟の設置を計画。今後市町村との協議が進み、建設数は増える見通しだ。

 建設が決まった大槌町内の5カ所6棟については、早ければ月内にも着工する予定。仮設住宅の必要戸数約1万4千戸の建設に合わせ、7月上旬の完成を目指して整備を進める。

 運営主体は各市町村が公営や民間公募を含めて検討し決定。利用者の募集も市町村で行う。

 県建築住宅課の大水敏弘総括課長は「高齢者に配慮した施設づくりが大切になる。市町村と相談し、設計面でも専門家のアドバイスを受けながら建設を進めたい」としている。

 

2011年

5月

24日

宮城県仙台市 「仙台市、仮設住宅2次募集 申し込み、半数の953世帯」

仙台市、仮設住宅2次募集 申し込み、半数の953世帯

河北新報110524】仙台市が9~18日に実施した東日本大震災の被災者向け仮設住宅の2次募集で、 入居を申し込んだのは953世帯で用意した1937戸の半数にとどまった。民間賃貸住宅への入居が進んだためで、市は県に要望するプレハブの必要戸数を当 初計画していた2500戸から1600戸に下方修正している。

 市によると、団体申し込みから世帯単独でも申し込みができるようになった太白区のあすと長町(プレハブ住宅208戸)への応募は、約150世帯だった。
 コミュニティー単位で申し込む他のプレハブ住宅(1270戸)も、団体申し込みの要件を10世帯から5世帯に引き下げたが、ほとんどで募集戸数を下回った。
 プレハブ以外の公務員宿舎や社宅、市営住宅計459戸への申し込みは約140世帯だった。
 一方、民間賃貸住宅の申し込みは21日現在、3402世帯に上った。市の担当者は「新たなプレハブの建設は様子を見なければならない」と話し、縮減した要望数を県に伝えた。
 4月中旬に行った1次募集では、入居が決まったのは180世帯余りで、提供された1520戸の約1割にとどまった。このため市は応募要件を大幅に見直して2次募集を実施した。
 各避難所には、仮設住宅への入居申し込みをしていない被災者もいるという。市は近くニーズ把握に乗りだす。

2011年05月24日火曜日

2011年

5月

24日

岩手県遠野市 「高齢者など配慮仮設住宅40戸建設」

高齢者など配慮仮設住宅40戸建設

読売新聞110525】復興までの住居確保を後方支援しようと、遠野市は40戸の仮設住宅の整備に着手する。24日の議員全員協議会で、本田敏秋市長が明らかにした。

 建設地は同市穀町の市有地約5000平方メートル。JR遠野駅から約500メートルで、買い物、病院、小学校などへの便が良い地域という。広さは約25平方メートルから約40平方メートルまで3タイプで、地元産木材を使う。地元業者が建設し、ほかにサポートセンター棟も作る。総事業費は2億370万円。

 東大高齢社会総合研究機構が提案する「コミュニティケア型仮設住宅地」で、サポートセンターを中心に高齢者や妊婦、子育て世帯を配置する。各住宅をデッキでつなぐほか菜園を設け、集落から離れた高齢者の孤立を防ぐ工夫もされている。

 入居申し込みは6月1日からの予定だが、市内には親類や知人を頼って沿岸から避難している人が435人(18日現在)おり、市では「市内に避難している人を優先する」という。

 機構の大月敏雄准教授は「仮設として使用後に地域で福祉目的に転用するなど、将来計画も考慮した」と説明する。本田市長は「遠野で安心して生活し、元気になって復興した地元に帰ってほしい」と話している。

 

2011年

5月

23日

埼玉県 「県が民間住宅借り上げ提供 福島県の依頼受け」

東日本大震災:県が民間住宅借り上げ提供 福島県の依頼受け /埼玉

毎日新聞110524】福島県からの避難者に対し、上田清司知事は23日、民間住宅を県が借り上げて提供すると発表した。16日に福島県から依頼文書が届き、準備を始めたという。入居開始時期は未定だが、上田知事は「できるだけ速やかにやりたい」と話した。

 住宅は、県宅地建物取引業協会などから紹介を受け、県が契約して入居者を募る。期間は原則1年で、最長2年まで延長が可能。上限6万円の家賃のほかに、敷金や礼金などの入居にかかる費用を一時的に県が負担。災害救助法に基づき、負担した費用は国から福島県経由で支払われる。

 福島県から避難してきている約1200世帯が対象だが、実際の入居戸数は未定。福島第1原発事故により避難指示が出ている地域や住宅が全壊するなどした世帯が優先されるという。


2011年

5月

23日

岩手県 「一関市が被災者窓口一本化 沿岸から千人以上転入」

一関市が被災者窓口一本化 沿岸から千人以上転入

岩手日報110519】一関市は23日から東日本大震災の被災者を対象とした相談総合窓口を開き、1カ所で罹災(りさい)証明や支援金などの手続きができるワンストップサービスを開始する。沿岸部から千人以上が移り住み、市内でも家屋が損壊した住民は多い。被災者情報をまとめる「カルテ」や避難世帯台帳も作り、迅速な支 援に役立てる。

 窓口は一関市役所本庁舎1階ロビーに開設。新たに配置する非常勤特別職の支援相談員9人と市職員3人が、各種制度の相談や申請を一括して受け付ける。

 対応する業務は▽罹災証明▽義援金▽被災者生活再建支援金▽災害援護資金貸し付け▽雇用促進住宅や仮設住宅(民間賃貸住宅などを含む)―の相談、申請。

 これまで被災者は、窓口が異なると、複数部署に出向かなければならなかった。市は、住所や必要な支援などを把握する世帯ごとのカルテも作成。被災者が制度を知らないことによる「支援漏れ」がないよう対応する。

 市によると、陸前高田市や気仙沼市など沿岸から一関市内に移り住んだ人は1千人を超えたが、転入届けを提出していない世帯は多い。市はこれらの世帯が市民と同様に行政サービスを受けられるように各世帯の家族構成などを情報収集し、台帳を作成する。

 市企画振興部の佐藤善仁次長は「支援メニューの一覧表も作り、被災者が早く的確な支援が受けられる体制整備を急ぐ」としている。

(2011.5.19)

2011年

5月

22日

宮城県南三陸町 「仮設用地、住民が確保 「地域守りたい」」

東日本大震災:仮設用地、住民が確保 「地域守りたい」

自分たちの手で仮設住宅用地の確保をした佐藤徳郎さん=宮城県登米市東和町で、中尾卓英撮影
自分たちの手で仮設住宅用地の確保をした佐藤徳郎さん=宮城県登米市東和町で、中尾卓英撮影

毎日新聞110522

 東日本大震災の津波で壊滅的被害を受けた宮城県南三陸町は、地元住民が確保した用地に建設する仮設住宅790戸について、地元住民優先で入居してもらうことを決めた。「すべてを奪われたあの町で、やり直したい」。コミュニティー崩壊を食い止めようと奔走した住民らが、行政を動かした。

 南三陸町は震災発生から約1カ月後、73人の行政区長らに「仮設住宅は1900戸余り必要だが、公有地は1000戸分しかない。残りの住民は隣の登米市に移ってもらうしかない」と説明した。

 しかし、中瀬町行政区長の佐藤徳郎さん(59)は「それではいけない」と思った。長男和徳さん(30)の「地域の人がバラバラになれば阪神大震災の孤独死の二の舞いになってしまうべ」という言葉にも突き動かされ、「自分たちで仮設住宅用地を確保しよう」と行動を始めた。

 佐藤さんたちが住む南三陸町志津川中瀬町には、197世帯603人が暮らしていたが、震災で30人余りが死亡・行方不明となり、住民たちは七つの避難所に分散。現在は42世帯110人が登米市の旧小学校校舎に2次避難しているが、他は県外の親類宅などで散り散りに生活している。

 「町に戻りたい」という住民の思いは強い。旧校舎暮らしの約10世帯は志津川地区の仮設住宅に当選したが、中瀬町からは離れるため全員辞退したほどだ。

 佐藤さんは他の区長らと仮設住宅用地探しを始めた。「土地さ使わせてくれねえべか」。中には「先祖も喜ぶ」と仮設住宅38戸分の農地約60アールを無償提供した人もいた。

 「民有地活用については国も県も駄目だと言っている」の一点張りだった南三陸町も、佐藤さんらの情熱にほだされ、次第に軟化。父親を震災で亡くした西条彰・建設課長は「町民の願いに応えるのが役所の務め。生活していた場所に戻ってこそ暮らしも仕事も再建できる」と語る。県も民有地活用を認可した。

 佐藤さんは町全体の復興に思いを巡らせる。「これからが本番。子どもや孫に誇れる安全な町を残していがねば」【中尾卓英】

 

朝日放送 2011/04/20Wednesday放送「仮設住宅の理想と現実

 

2011年

5月

22日

福島県相馬市 「仮設住宅街に商業施設 相馬市が独自整備へ」

仮設住宅街に商業施設 相馬市が独自整備へ

福島民友110523】相馬市は22日までに、約1000戸の応急仮設住宅の建設が進んでいる同市大野台地区にプレハブ建物による仮設商業施設を整備する方針を固めた。東日本 大震災の復旧に伴い、新たに生まれる人口集積地の「生活圏」を創造するもので、市独自の対応として注目される。同日開かれた市災害対策本部会議で立谷秀清 市長が明らかにした。
 同市によると、相馬中核工業団地西地区内にある仮設住宅は今月末から6月上旬にかけて入居が始まり、3000人超の入居が見込まれる。また、同工業団地 にはIHIの従業員約1700人などが通勤しており、小規模自治体に相当する5000人規模の商圏を形成することになる。
 出店業者は地震や津波で店舗が損壊、流されるなどした業者を優先して出店させる方針。出店する場所や時期は未定で、今後調整する。
 設置費用については、プレハブ建物による施設整備を助成する経済産業省の仮設施設整備事業の活用を視野に準備を進める。

(2011年5月23日 福島民友ニュース)

2011年

5月

20日

宮城県 「震災対応に不満続出 宮城県議会特別委」

震災対応に不満続出 宮城県議会特別委

河北新報110521】宮城県議会は20日、全議員による大震災対策調査特別委員会を開いた。仮設住宅の建設、がれき処理などの課題をめぐり、県側の答弁は歯切れが悪く、議員 は気色ばんだ。支援制度の創設が後手に回る政府への批判も痛烈で、県幹部が答弁に窮する場面も。議場にはいら立ちが充満した。

 公明党県議団の石橋信勝氏は民間賃貸住宅の仮設住宅への活用に関し、被災市町が提案した物件を県が却下するケースが多いと指摘。「仙台と違い、物件自体が少なく苦労している。なぜ、認めないのか」と強い調子で迫った。
 岡部敦保健福祉部長は「市町の判断を無視するつもりはない。しゃくし定規にはねつけないようにしたい」と釈明したが、石橋氏は「県の強硬な姿勢は問題。そんなことではいつまでも避難者は減らない」と批判した。
 共産党県議団の遠藤いく子氏は、県が公募した仮設住宅建設業者のリスト公表を迫った。橋下潔土木部長が「業者名は個人情報に当たる。一切公表しない前提で応募してもらった」と説明すると、多くの議員が首をかしげた。
 がれきに含まれる危険物の一覧を求めたのは、社民党県議団の熊谷義彦氏。「警察や自衛隊はどんな危険があるか知らされず、捜索活動を続けている」と強調し、資料の提出が遅れている理由を追及した。
 小泉保環境生活部長は「危険物リスト提出の件は今、初めて聞いた。早急に対応する」と答弁。熊谷氏は「県の二次災害対策はどうなっているんだ」と憤り、議場は怒号と失笑が交錯した。
 批判の矛先は政府にも向いた。最大会派の自民党・県民会議に所属する畠山和純議長は、2日成立した震災特例法が原状復旧を前提としたままだとして「被災した沿岸の学校の移転ができない。こんな法律は全く役に立たない」と切り捨てた。
 三浦秀一副知事は「イライラしているだろうが、国に重ねて改善を要請している。被災者の視点で何が必要かを考え、制度がないことを理由にしない」と理解を求めた。
 答弁に納得しない畠山議長は「県は被災者中心でなく、机上でしか物事を考えてない。国の動きを待たず、財源などを県債発行で工面し、国に先行した『宮城方式』の取り組みをすべきだ」と強く求めた。

 

2011年

5月

19日

discussion 宮城県の 「仮設住宅の応募」 について(丸谷)

(2011/05/19 5:00), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0293] さらに丸谷です。

> 宮城県の仮設住宅の応募について。大変問題だと思います。
> 次回の県知事選では落選してほしいですね。
>
> ------ Forwarded Message
> From: Igarashi
> Date: Wed, 18 May 2011 20:33:47 +0900
> Subject: ライフ五十嵐
>
> 宮城県応急仮設住宅について。
> 今回の福永先生提案、仮設住宅でしたが、
> 採択なりませんでした。
> 結論からいいますと、採択された地元建設業でも
> 自治体からは、依頼しないとのことでした。
> 初めから、ストーリーが出来上がっているそうで、
> あくまでも、プレハブ協会・木住協に、発注しているので、
> それを覆すことは出来ない、ということでした。
> では、何故一般公募したのか?という質問に対して、
> 地場の工務店、地場の建材店から反感をかってしまうから、
> 一般公募というかたちをとったのだろうということでした。
> 採択された、地場の建築屋さんたちは、必死に各自治体へPR
> に行ったのにと・・・。
> 宮城県の体制に疑問を感じ、むしろ、被災地で頑張ろうとする
> 地場工務店を、馬鹿にしたようにも思える対応のようでした。
> 年間100棟近く建設している地場建築屋の話。

 

宮城県>土木部>住宅課

輸入住宅資材を用いた応急仮設住宅及び宮城県における応急仮設住宅の供給事業者に関する公募結果について
20110510koubokettka.pdf
PDFファイル 33.1 KB

(2011/05/19 12:25), 谷守正康 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0295] Re: さらに丸谷です。

> 丸谷様
>
> 谷守です
>
> いつも情報、有難うございます
> たいそうなご活躍で、感服しています
> 今回の下記の情報について以下の通り思いました
>
> ・宮城県が地元建設業界に発注しないのはなぜでしょう?
> ・宮城県がプレファブ協会・木住協に発注したのはなぜでしょう?
> ・発注した宮城県とは知事の事でしょうか?
> ・知事は独自の判断で発注できるのでしょうか?
> ・このような件では、県議会での可決は不要なのでしょうか?
> ・議会が地元建設業界に発注する決議をする事は出来ないのでしょうか?
>
> 議会が頑張らないといけない、こういう時こそ議会が条例を作るなり、予算措置をす
> るなり、行政の「監理」をしなければならない、と思いましたので
>
> 宜しくお願い致します

(2011/05/19 14:51), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0297] 丸谷です。

> 谷守さん
>
> チェック機構がないようですね。
> 議会の役割が、非常時に見えませんね。
> このことは一貫しています。何をしているのでしょうね。

(2011/05/19 15:39), 谷守正康 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0298] Re: 丸谷です。

> 丸谷さん
>
> 谷守です
>
> お忙しい中、お返事、有難うございます
>
> この件についてはいろんな方に聞いてもわからないようでした
> 当方は、有権者が、議員に「法律を作れ」と注文する必要があると思います
> 現状は議員が業務怠慢状態であると言えます
>
> 原発事故については、国会が、行政にデータを出すように指示し、出さなければ注意
> し、それでも出さなければ国会で行政がデータを出さない事を国民に公表すべきです
>
> それと同時に、国会が、日本の原子力関係者全員を集めて対策を立てるべきだと思い
> ます
>
> 大震災に対しては、行政の長として菅首相が野党に協働を申し入れましたが、実現し
> ませんでした

震災対応に不満続出 宮城県議会特別委【河北新報110521

地元業者へ発注わずか 仮設住宅建設、雇用につながらず【河北新聞110608

 

2011年

5月

19日

県外避難者 進まぬ「住宅借り上げ」

しんぶん赤旗110519埼玉県に見る 自治体間に調整遅れ

東日本大震災や福島第1原発事故で被災した岩手、宮城、福島各県で民間賃貸住宅を借り上げる制度が実施されています。被災県から他県に避難する人にも提 供されますが、自治体間の調整が遅れ、なかなか進んでいません。福島県から多くの被災者が身を寄せる埼玉県では―。(海老名広信)

(写真)民間賃貸住宅の借り上げ制度の実施状況を埼玉県担当者(手前)から聞く塩川衆院議員(奥左)と村岡正嗣県議=18日、埼玉県庁
(写真)民間賃貸住宅の借り上げ制度の実施状況を埼玉県担当者(手前)から聞く塩川衆院議員(奥左)と村岡正嗣県議=18日、埼玉県庁

家賃は国負担、2年間使える制度

 埼玉県に集団避難してきた福島県のある自治体の職員は「県外避難者の生活支援として民間賃貸住宅借り上げ制度は大きな役割を発揮する」といいま す。この自治体では3月から福島県に同制度の県外適用を求めていますが、5月半ばになっても「県が実施の形を示さない」ことに困惑しています。 

厚生労働省が被災3県にだした通知では、民間賃貸住宅について、各県(市町村)が家主と契約し家賃(上限あり)や敷金など諸費用を負担することで、被災者が入居できます。すでに個人で契約し入居している人も、この制度に切り替えることが可能です。

 被災県以外への避難者も適用されます。その場合、避難先の県が契約者として家賃を負担し、かかった費用を被災県に請求します。最終的に費用は国庫負担となります。

 岩手県で約150件、宮城県で1562件、福島県で5370件の入居・申請がありますが、いずれも県内のみ。県外からの報告はゼロで、制度利用の進捗(しんちょく)状況は見えません。(5月16日現在)

 

制度を知らず

 埼玉県八潮市は独自施策として4月15日から避難者に対して、民間アパートを借り上げて提供しています。家賃6万2千円まで、契約期間3カ月の条件で物件を紹介。現在、13世帯が入居し、すべて福島県民です。

 同市は、借り上げ住宅30戸分の予算を約750万円計上しています。八潮市は、国の借り上げ制度について本紙が問い合わせるまで知りませんでした。

 

早急に対応を

 福島県は8日、宮城県は11日、都道府県に民間賃貸住宅の借り上げを依頼しています。埼玉県には4月中旬にも要請していました。

 ところが、事態は進んでいません。その理由を、日本共産党の塩川鉄也衆院議員が聞いたところ、県担当者は「家賃負担の上限枠など具体的な実施要領 が被災県から示されないと動けない」と回答。被災県の出方を待っている状態で、県内に周知されていません。県の動きを待たず八潮市のように、民間住宅を借り上げて被災者に提供する独自施策を実施している自治体がいくつもあります。

 日本共産党の八潮市議団に避難者から住居確保について相談が寄せられています。市議団は「市の施策は評価できますが、2年間利用できる国の制度のほうが被災者には安心でしょう」といいます。

 塩川衆院議員は「被災者の生活を真剣に応援する立場で、国も関係自治体も早急に賃貸住宅を借り上げるよう全力をあげるべきです」と語ります。

 

110430厚労省 東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱について
110430東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱につ
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2011年

5月

18日

国交省 仮設から仮設へ転居OK 国 「地元に戻れるように」

仮設から仮設へ転居OK 国「地元に戻れるように」

朝日新聞110519】東日本大震災での岩手、宮城、福島の3県の被災者に、県外の仮設住宅に入居した後に地元の仮設住宅に入り直すことを認める方針を国が決めた。国土交通省が18日、明らかにした。これまでは認められていなかった。

 福島県では東京電力福島第一原発事故の影響で、岩手、宮城両県は津波で被害を受け、地元を離れて県外の仮設住宅に入った人が多い。地元に仮設住宅ができるのを待って避難所暮らしをする被災者もいる。国はこうした状況の打開を狙っており、今回の方針を3県に伝えた。

 厚生労働省によると、仮設住宅について定める災害救助法は「現に救助を必要とする者」を入居者として規定。仮設住宅に一度入れば、別の場所の仮設に移ることは事実上認めていなかった。被災者が地元以外の仮設住宅に入ることを想定できなかったからだ。

 同省の担当者は「住み慣れた場所にいられなくなった人は大勢いる。被害の実態を踏まえ、地元を離れた人でも地元に戻れるようにしたかった」と話す。

 菅直人首相は「お盆までに希望者全員が仮設住宅に入居できるようにする」という目標を掲げ、生活環境の厳しい避難所の解消を急いでいる。

 県外の仮設住宅には、自治体が借り上げた民間賃貸住宅や公営住宅も含まれる。入居後、地元に新設された仮設への転居を望めば、国は原則認める方針だ。

 国はまた、福島第一原発から20~30キロ圏内の「緊急時避難準備区域」について、成人の単身世帯など自力で避難できる世帯を対象に、自治体が仮設住宅がわりに借り上げた民間賃貸住宅で暮らすことを認めることも決めた。(坂田達郎)

 

被災者、近隣仮設へ転居可能に 厚労省が方針転換

共同通信110519】厚生労働省は、東日本大震災で建設された仮設住宅の入居者が 別の仮設住宅へ転居することを認める方針を決めた。抽選で入居者が決められ、地域の住民がばらばらの仮設住宅に入居するケースが多い。コミュニティーの維 持を重視し、可能な場合は同じ地区の人が同じ仮設住宅群に住めるよう転居を実施する。

 仮設住宅は原則、転居を認めてこなかったが、厚労省は18日の政府検討会議で県外などの仮設住宅に入居した人が地元に建設された仮設住宅に再入居する方針は打ち出した。さらに同じ市町村内でも転居を容認する。

 災害救助法は、住宅が全半壊などした被災者に仮設住宅を提供すると規定している。これまでの自然災害では、いったん仮設住宅に入居すると救助が完了したとみなし、別の仮設住宅への転居は原則として認めていなかった。

 しかし、1995年の阪神大震災では、仮設住宅に移った後に地域のつながりが薄れたことなどから、高齢者を中心に250人以上が孤独死した。東日本大震災の被災地も高齢者が多く、阪神の教訓を生かした配慮が必要と判断した。

 被災者が職場への通勤や、子どもの通学に便利な場所に転居することも可能となる。

 具体的な手続きとしては、避難所に身を寄せる人全員の仮設住宅入居を優先。その後、各市町村が入居者のニーズを把握しながら調整して転居を進め、無秩序な転居は防ぐ。

 岩手県釜石市の幹部は「内陸部の仮設住宅に入った漁業者などから転居の問い合わせが多い。コミュニティーの再生も見据え、調整したうえで転居を実施したい」としている。

 厚労省は被災県にまだ正式に通知しておらず、現状では入居者に対し「仮設住宅間の転居はできない」と従来通りの説明をしている自治体も多いという。

 

県外避難者の地元仮設転居容認 厚労省が方針転換

茨城新聞110520】東日本大震災で県外の仮設住宅に入居した被災者が地元の仮設住宅に入り直すことを厚生労働省が認めていなかった問題で、同省は方針を転換し、仮設住宅間の転居を認めることを決めた。国と本県は、福島県の避難者向けにつくば市内の国家公務員宿舎501戸を仮設住宅として用意しているが、「故郷に帰れなくなる」と入居に二の足を踏む避難者が出て、福島県など被災自治体が弾力運用を国に再三訴えていた。
 福島県避難者の対応に当たっている県危機管理室は「国や福島県からまだ正式に通知がなく、報道で知ったばかり。避難者には朗報で、確認が取れ次第、避難者に情報を提供したい」としている。
 県によると当初、第1陣21世帯が公務員宿舎への入居を希望したが、故郷の仮設住宅へ転居できないとの国の方針が伝わると、10世帯に半減した。
 災害救助法は、住宅が全半壊した被災者に仮設住宅を提供すると定めているが、仮設住宅間の転居を想定していなかった。転居を認めると必要戸数の積算が増えるとの事情も背景にあった。
 しかし、今震災では県外避難者が多く、福島県などは「故郷に帰りたい被災者の気持ちを酌んで」と早くから国に要望。ようやく厚労省は18日の政府検討会議 で、県外など遠隔地の仮設住宅や公営住宅などにいったん入居した被災者が、地元の仮設住宅に再入居することを認める方針を打ち出した。
 県によると、18日現在で309人の福島県避難者が避難所(ホテル・旅館含む)で生活し、親戚宅などに身を寄せる人も相当数に上るとみられている。

 

2011年

5月

18日

宮城県仙台市 「仮設暮らしサポート 仙台市 「見守り事業」 開始へ」

仮設暮らしサポート 仙台市「見守り事業」開始へ

見守り協働事業の一環として、コーヒーを飲みながら困り事を聞いたふれあいサロン=15日、仙台市太白区あすと長町
見守り協働事業の一環として、コーヒーを飲みながら困り事を聞いたふれあいサロン=15日、仙台市太白区あすと長町

河北新報110518】仙台市は6月、東日本大震災で被災し、仮設住宅で暮らす人を支援する「安心見守り協働事業」をスタートさせる。NPOで構成する市内の一般社団法人「パーソナルサポートセンター」に業務を委託。被災者を「絆支援員」として雇用し、入居者間のコミュニティー構築を手助けしてもらう。行政とNPOが初期段階から連携の枠組みをつくり、仮設住宅の入居者に関わる新しい試みだ。
 市は、国の緊急雇用対策を活用して10人の絆支援員を採用。社会福祉や被災者支援制度などについての研修を受けて太白区のあすと長町地区のプレハブ仮設住宅(233戸)を訪問し、要望を聞いたり、入居者同士の輪を広げたりする。
 段階的に人数を増やし、民間借り上げや公務員住宅といった仮設住宅にも活動範囲を広げる。市は本年度、人件費などに約1億6000万円を充てる。
 センターは、路上生活者の自立支援を行う「仙台夜まわりグループ」「ワンファミリー仙台」、子どもの電話相談を行う「チャイルドラインみやぎ」など10団体で3月に結成した。
 それぞれが培ったノウハウを生かし、生活困窮者を福祉や医療などの社会的資源につなげ、地域での自立を目指す。震災後、今回の見守り事業を市に提案していた。
 絆支援員の活動開始に先立ち、センターはあすと長町地区で13~15日、地元市民団体の協力を得て「ふれあいサロン」を開設。仮設住宅の入居者にコーヒーやお茶を振る舞ったり、会話の合間に困り事を尋ねたりした。
 阪神大震災や新潟県中越地震で設置された仮設住宅では、行政が当初の相談支援を担った。
 センターの立岡学理事は「被災者に寄り添う『伴走型』の活動を模索したい」と説明。市市民協働推進課の武山広美課長は「仙台はNPOが多く活動し、実績もある。連携して被災者の生活再建を支援したい」と話した。

2011年05月18日水曜日

2011年

5月

16日

宮城県 「宮城県・被災者の民間借り上げ 5月1日付で仮設扱い」

宮城県・被災者の民間借り上げ 5月1日付で仮設扱い

河北新報110517】震災で住宅を失った被災者が自力で入居した民間賃貸住宅について、宮城県は16日、震災当日の3月11日から4月30日までに被災者名義で契約した分を、5月1日付で県名義に切り替えると発表した。災害救助法に基づき、仮設住宅として扱う。

1日から2年間を契約期間とし、県と国が家賃や共益費、敷金・礼金相当分を負担する。光熱費や駐車場代は入居者が支払う。現行制度上、1日以前の家賃は入居者負担となるが、県は救済措置を国に要望する方針。
 1日以降に契約した分は、締結日から2年間を仮設住宅とする。
 物件の条件は入居人数に応じて設定。目安として1人世帯の場合は1Kで家賃の上限は3万2000円、4人世帯は2LDKで6万8000円、3DKで5万7000円など。地域の不動産事情により、2万円までの上積みが許容される。これらを上回った場合は入居者負担となる。
 県保健福祉部によると、仮設住宅として扱われる民間賃貸住宅への入居申請件数は13日現在で1562件に上る。

 

2011年

5月

16日

岩手県釜石市 「ケア重視の新タイプ仮設住宅、釜石市が設置へ」

ケア重視の新タイプ仮設住宅、釜石市が設置へ

読売新聞110518】岩手県釜石市は16日、東京大学と連携し、東日本大震災で被災した高齢者らが入居する新タイプの仮設住宅を建設することを決めた。

 “長屋”のように近所づきあいが可能な住宅を約100戸作り、孤独死の防止を目指すほか、介護拠点や託児所を併設する。住戸配置、人的支援などの総合的な対策で、ケアの必要な人を支える初の仮設住宅となる。

 「コミュニティケア型仮設住宅」と名付けた仮設住宅の建設が予定されているのは、市内の平田総合公園。同市が近く県に申請、23日にも着工する。 高齢者のほか、障害者やひとり親世帯などが対象で、車いすでも移動しやすいように、住戸をウッドデッキでつなぐ。さらに住戸の配置を変更、通常はすべて北 側に面している玄関を互いに向き合うようにし、住民が交流しやすい環境を作る。併設された介護拠点ではデイサービスなどを行う。

(2011年5月18日16時51分  読売新聞)

高齢者孤立防止へ交流型仮設住宅 釜石市が計画

岩手日報110520】東日本大震災で、岩手県釜石市が高齢者の孤立防止や地域との交流に配慮した「コミュニティーケア型」の仮設住宅を建設する計画を進めている。敷地内にデイサービスセンターや仮設店舗を設け「小さな街」にする構想。国土交通省は「地域に応じた仮設住宅のモデルになる」と注目している。

 東大高齢社会総合研究機構の提案を受け、計画を決めた。岩手県が釜石市平田地区の公園で5月中に着工する約250戸のうち、3分の1程度をコミュニティーケア型とし、6月末の入居を目指す。

 高齢者の入浴やだんらんの場となるデイサービスセンターを開設。周辺店舗が津波被害で営業不能のため、敷地内に食品などの仮設商店を設ける。デイサービスを含めて地域住民も利用可能な“街”との位置付けだ。

 同機構によると、阪神大震災の仮設住宅では250人以上の高齢者が孤独死したとされる。こうした事態を防ぐため、センター周辺の居室は玄関を向かい合わせにして、入居者同士が顔を合わせる機会を増やす。テーブルやいすを並べて交流の場として使えるウッドデッキや診療所、バス停の設置も検討している。

 同機構運営委員の大月敏雄准教授は「釜石市以外の被災地でも、要望があれば一緒に計画をまとめたい」としている。

 

2011年

5月

16日

岩手県 「被災者支援へ福祉団体連携 県内、16日システム始動」

被災者支援へ福祉団体連携 県内、16日システム始動

岩手日報110515】県社会福祉協議会と県、保健福祉関係10団体は、東日本大震災の被災者に対し継続的支援を行うための「県内職能団体による災害支援派遣システム」を16日に始める。被災者ニーズを共有し、介護福祉士ら専門家がそれぞれの立場で分析し課題を抽出。ボランティアとも連携して支援策を割り振り、最も効果的サービスを無償で提供する。被災地では福祉サービスの再構築が課題で、地元事業者が本格的に活動再開するまでの橋渡し役も担う。

 同システムは、県介護福祉士会、県地域包括・在宅介護支援センター協議会、県精神保健福祉士協会、県認知症高齢者グループホーム協会、岩手リハビリテーションセンターなど10団体で運営し、県社協が取りまとめる。県社協災害ボランティアセンターの加盟組織として位置付け、支援を無償 提供する。

 16日から陸前高田市などの避難所や仮設住宅で実態調査に着手する。被災者の具体的要望に加え、現場状況から隠れた需要も把握する。 調査結果は合同で分析し、専門的視点で課題を洗い出した上で支援メニューを決める。支援策は各組織に割り振り、ボランティアの協力も求める。

 各団体は震災発生直後から現地支援に当たってきたが、避難生活の長期化に伴いニーズが多様化。個別団体ごとの活動では難しい対応が出てきたほか、調査の重複などロスもあった。窓口を一本化して情報共有し、サービスの最適化を図ろうと連携することにした。

 また、被災地では多くの福祉事業所や職員が被災し、地域福祉の再生には時間がかかるとされる。沿岸部は高齢者率が高く、長引く避難生 活で細やかなケアを切れ目なく行う必要があり、早急な体制構築が必要とされていた。こうした点から同システムは、地域福祉が本格復旧するまでの橋渡し役も 担う。

 県社協の畠山泰彦福祉人材研修部長と川崎舞美専門員は「1カ所で実態把握から解決までを担う仕組み。復旧した地域事業者にバトンを渡すまで、継続的に支える」と話す。

(2011.5.15)

2011年

5月

15日

宮城県南三陸町 「避難住民が要望 全世帯同じ仮設住宅に 南三陸・平成の森」

避難住民が要望 全世帯同じ仮設住宅に 南三陸・平成の森

河北新報110516】宮城県南三陸町歌津の平成の森避難所(67世帯191人)の住民は15日、平成の森に建設される仮設住宅への避難住民全世帯での入居を求める要望書を町へ提出した。

佐藤町長に要望書を手渡す平成の森避難所の及川自治会長(中央)=15日午後、南三陸町の町総合体育館
佐藤町長に要望書を手渡す平成の森避難所の及川自治会長(中央)=15日午後、南三陸町の町総合体育館

 避難所自治会の及川均会長(63)が同町志津川沼田の町総合体育館を訪れ、佐藤仁町長に要望書を手渡した。
 要望書では同仮設住宅への全世帯入居を要望、「今後行われる別の仮設住宅の抽選会で当選しても全員がキャンセルする」とした。
 佐藤町長は「地元に残りたいという住民感情は理解するが、やむなく町外の仮設住宅へ行く人もいる。個別の避難所の要望に応えるのは難しい」と回答を保留した。
 及川会長は「コミュニティー維持のためには全員が同じ場所へ移ることが重要だ。仮設住宅での生活は長期間におよび、周囲の手助けが再起への力になる」と話した。
 町は仮設住宅への入居について乳幼児や要介護者などの優先入居を除いて抽選で決めている。
 平成の森には246戸の仮設住宅が建設される。7日に150戸分の抽選が行われたが、平成の森避難所からの当選は17世帯にとどまった。同避難所では14日の世帯主会議で全世帯入居の要望書提出を決めた。

2011年

5月

14日

福島県 「家賃限度9万円に 福島県、借り上げ住宅基準緩和」

家賃限度9万円に 福島県、借り上げ住宅基準緩和

毎日新聞110515】県は14日、東日本大震災で家屋を失ったり東京電力福島第1原発事故で避難指示を受けた世帯が対象の「借り上げ住宅」の基準を見直すと発表した。5人以上で入居する場合、県が負担する家賃限度額をこれまでの月6万円から9万円に引き上げる。6月1日以降、準備ができた市町村から受け付ける。

 県は、災害救助法に基づく応急仮設住宅制度に沿って民間住宅を独自に借り上げたほか、避難者が自分で見つけた物件も、条件を満たせば、県が再契約して借り上げ住宅に加えてきた。その際、家賃の上限額は一律6万円だった。

 「県内の賃貸物件の8割が月6万円以内」と県は説明してきたが、宮城県で月最大8万9千円など、被災県によって限度額に大きな差があったことから、大家族を抱える避難者から不満が相次いでいた。

 見直しによって、「5月分から」としていた県の家賃負担を、3月11日以降の入居日にさかのぼって県が賄うことになった。

 これまでの駐車料金に加え、共益費と管理費も家賃に含めることができるようになる。「避難所生活が困難」という適用条件も外した。

 

民間賃貸住宅借り上げで県が限度額引き上げ

福島民友110515】避難者が入居する民間賃貸住宅の借り上げで県は14日、入居人数が5人以上(乳幼児を除く)の場合、これまで6万円としていた家賃の限度額を9万円に引 き上げると発表した。また、これまでは5月1日以降に入居した避難者を対象としていたが、3月11日の震災以降に民間賃貸住宅に入居した避難者に対して も、要件を満たせば敷金、礼金など入居にかかった費用や家賃をさかのぼって県が負担することとした。
 県は、国からの通知で国庫負担の基準が緩和されたことを受け、制度を見直した。新規入居については18日から適用、すでに入居している避難者の切り替え事務手続きは6月1日以降、各市町村の準備が整い次第行う。

(2011年5月15日 福島民友ニュース)

110430東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱につ
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2011年

5月

09日

関西広域連合防災局 「住宅からの創造的復興に向けた提案-人間サイズのまちづくりをめざして-」 を発表

2011年5月9日(月)、兵庫県知事が、関西広域連合広域防災局「住宅からの創造的復興に向けた提案-人間サイズのまちづくりをめざして-」を発表しました。

 

兵庫県:知事>記者会見知事定例記者会見(2011年5月9日(月))

 

住宅からの創造的復興に向けた提案 -人間サイズのまちづくりをめざして-
110509関西広域連合防災局_住宅からの創造的復興に向けた提案.pdf
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2011年

5月

09日

岩手県住田町 「自慢のスギと大工、仮設住宅建設で役立つ 岩手・住田町」

自慢のスギと大工、仮設住宅建設で役立つ

朝日新聞110509】良質な建材になる気仙スギの産地・岩手県南部沿岸で、木造仮設住宅の建設が進む。江戸時代から宮大工の技を持つ気仙大工が活躍した林業と製材業が盛んな地域で、震災復興で見込まれる木材需要を地域浮揚の足がかりにしたいとの思いがある。被災者の雇用も生んでいる。

木造仮設住宅を視察する阿久津幸彦・内閣府政務官(左から2人目)ら=4月30日、岩手県住田町世田米、野崎写す
木造仮設住宅を視察する阿久津幸彦・内閣府政務官(左から2人目)ら=4月30日、岩手県住田町世田米、野崎写す

 同県住田町の町営住宅跡地にこぢんまりとした、さわやかな白木の壁の木造住宅が13戸建った。

 町が4月下旬に建てた木造仮設住宅だ。壁も床も気仙スギなどの木材を使った一戸建てで、2DKで約30平方メートルの間取りは標準的なプレハブ仮設と同じ。町は5月中旬までに約100戸を造る計画だ。

 「木のぬくもりと、においがある。被災者もほっと一息つけるのではないか」と4月末に視察に訪れた阿久津幸彦・内閣府政務官も関心を示した。

 木造仮設住宅は、多田欣一町長が今年初めに町の第三セクター・住田住宅産業に開発を指示していた。町の基幹産業である林業と木工の販路拡大のための一策だった。大災害に備え、資材を備蓄してはどうかと国に働きかけているさなかに、東日本大震災が起きた。「まさか、自分たちの足元で、こんなに早く必要にな るとは思わなかった」と多田町長は話す。

 町によると、床や壁に使う資材は町内の木材加工工場であらかじめ処理済みで、現場での組み立ては簡単だ。1戸あたり約250万円と、コスト面でもプレハブと遜色がないという。

 仮設住宅は通常、災害救助法に基づき県が設置するが、今回はミュージシャンの坂本龍一さんが代表の森林保護団体モア・トゥリーズ(東京都)がまかなう。必要な資金約3億円を負担すると町に申し出た。団体はインターネットなどを通して寄付を募るという。

 岩手県も、県産材を活用した仮設住宅の建設を目指す。県内で必要と見込む約1万8千戸のうち、約1万戸はプレハブを発注。残りの大半は木造で、公募で選んだ21業者に発注する。

木材加工工場で働く佐々木輝昭さん。仮設住宅用に木材を加工する=岩手県住田町世田米、野崎写す
木材加工工場で働く佐々木輝昭さん。仮設住宅用に木材を加工する=岩手県住田町世田米、野崎写す

 住田住宅産業もその一つで、佐々木一彦社長は「仮の住まいとはいえ、木の家で安らいでもらいたい。将来、住宅を再建するときに、気仙スギの家を選んでもらえれば」と話す。

 住田町の木材加工会社「けせんプレカット事業協同組合」の工場は、大型連休中もフル稼働している。

 岩手県陸前高田市の佐々木輝昭さん(26)が先輩社員の指導を受けながら、仮設住宅用の木材を機械で加工していた。組合が被災者を対象に募集した臨時職員に採用された。同組合は約200人のグループ社員の給与を7~10%削るワークシェアリングで、75人の臨時職員を募っている。

 佐々木さんは自宅を津波で流され、父を亡くした。夏に向けて野菜の苗を植えたビニールハウスは全滅。「塩害とがれきで畑がいつ元に戻るかわからない。仕事が見つかったのは本当にありがたい」と話す。

 復興需要への期待もある。組合によると、震災直後に一時、落ち込んだ受注は4月に入って回復。その後は仮設住宅や住宅再建をにらんで、ふだんの倍近い受注があるという。

 泉田十太郎専務理事は「住宅再建の動きが本格化すれば、臨時雇用の一部は社員として採用できる」とみる。

 輸入材におされ、木材価格の低迷に泣いてきた林業農家もこうした動きを注視している。気仙地方森林組合のはの木澤(はのきざわ、「はの」は木へんに爪)光毅・代表理事組合長は「家を建てるときに木材の産地にまでこだわる人はまだ少ない。復興を通して、気仙スギのブランドを知ってもらえれば」と期待している。(野崎健太)

 

moreTrees 被災地支援プロジェクト>【LIFE311

 

2011年

5月

08日

厚労省 「被災3県の全仮設住宅群に診療所 厚労省」

共同通信110508】厚生労働省は8日、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県に建設する仮設住宅群すべてに原則、仮設の診療所を整備する方針を固めた。診療に当たる医師や看護師らも被災地だけでは足りないことから、日本医師会などに中・長期の派遣を要請。常時、千人程度の応援を送り込む。

宮城県塩釜市に建設された仮設住宅=4月27日、共同通信社ヘリから
宮城県塩釜市に建設された仮設住宅=4月27日、共同通信社ヘリから

 震災で被災地の地域医療は大きな被害を受けた。もともと医療過疎地だっただけに再建には数年以上かかるとみられ、仮設診療所での医療支援で「空白を埋める」(厚労省幹部)のが狙いだ。

 避難生活の長期化で、避難所では体調を崩す高齢者が増加、深夜に肺炎などで救急搬送される例も少なくない。仮設診療所では風邪から高血圧症の治療など地域の診療所で受けられるような初期医療を提供、感染症予防にも当たる計画だ。

 阪神大震災の際も十数カ所で仮設診療所が設けられたが、地域医療が徐々に回復したため、医療支援は医師や保健師の巡回が中心だった。

 厚労省では、近くに病院や診療所があるケース以外は、仮設住宅群に診療所を設置。近所に診療所があっても大規模な仮設住宅群には診療所を設け、すべての入居者が診療を受けられるようにする。

 厚労省は第1次補正予算で被災地への仮設診療所約30カ所の建設費として約10億円を計上したが、避難所周辺への設置が中心で、仮設住宅への本格的な整備は第2次補正予算からになる見通し。

 被災3県には5月2日現在で日本医師会の災害医療チーム(JMAT)や日本赤十字社の応援医師、看護師、保健師ら約1100人が展開。厚労省では「今後数年は現在の応援人員ぐらいは必要」としている。

2011/05/08 19:03【共同通信】

仮設診療所とは 大規模災害により地域の医療機関が被災した際、医師や看護師らが常駐、住民に初期医療を提供する施設。プレハブ造りが主流だが組み立て式のものもある。阪神大震災時にも仮設住宅に併設された。東日本大震災で厚生労働省が計画しているのは、エックス線などの検査室なども備えた 本格的なもので、1カ所につき3千万~4千万円程度の費用が必要となる。【岩手日報110509

 

2011年

5月

07日

NHK ニュース深読み 『どこにどう建てる? 仮設住宅』 を放送

ニュース深読み 『どこにどう建てる? 仮設住宅』 を放送

NHKニュース深読み110507】東日本大震災からまもなく2か月。長引く避難生活の中、被災された方にとって今一番必要ともいえるのが仮設住宅です。「仮設であっても、できれば住み慣れた地元で入居したい」という方が多い一方で、リアス式海岸沿いの自治体では仮設住宅を建てられる土地はほとんどなく、東京電力福島第一原発の周辺の町は立ち入りすらできません。この課題にどう向き合えばよいのか考えました。

・コミュニティを保ったまま地元に仮設を!

 集落内の民有地で仮設住宅、集会所(岩手県陸前高田市長洞地区)

 

・地元に建てられない地域はコミュニティーをどう守る?

 内陸自治体での行政を超えた集落単位の受け入れ(宮城県登米市-南三陸町、仮設住宅・交通・情報)

 

2011年

5月

02日

discussion 宮城県南三陸町 馬場中山(集落)の立ち上がりの様子(本多)

(2011/05/02 13:45), wrote:
Fwd: [fukkoushien_nuae:0176] Re: 丸谷より朗報です!

> 本多です。
> 丸谷さん、片井さん、福永さん、皆さん、よかったですね。
> 今朝のテレビで、南三陸町の馬場中山(集落)の立ち上がりの様子を見ました。
> 住民が自力で、仮設住宅用地と工事用道路づくりまでやって、仮設住宅建設まで
> の期間の共同住宅(生活センター)を自力建設して、皆で住んでいます。
> 住民主体のまちづくりが実際に動き出している事例のひとつであると思います。
> もし可能なら見てきてください。もちろん、無理なようでしたら結構です。そこ
> (馬場中山)の様子を、宮城の阿部さん、岩渕さんたちがよくご存じでしたら、
> 聞いて来てください。
>
> --- On *Mon, 2011/5/2, 丸谷 博男 wrote:
>
>     サニタリーユニットの要望が、女川からありました。
>     山奥の避難所が、ちょうど該当するのでお願いしたいとの事でした。
>     5日に現地で打ち合わせてきます。福岡の片井さん、よろしく。
>     いくつかの市町村にファックスを送っていたのですが、返事は30~40%
>     の確立です。
>     南三陸町、石巻市、名取市は返事がありません。

(2011/05/02 14:16), 地域計画研究所 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0177] Re: 丸谷より朗報です!

> 皆様
>
> 宮城支部の阿部です。
> サニタリーユニットの件、よかったですね。お礼を申し上げる立場でもあります
> ので、ありがとうございました。
>
> 南三陸町の町長さんの奮闘ぶり、自主性は凄いです。自分で決めて県や国にツケ
> をまわしています。そのリーダーシップもあるのだと思います。以下、馬場中山
> の記事を見つけました。
> http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1065/20110406_02.htm
>
> こんな地区は他にも沢山あるのだと思いますが、燎原の火のようにひろがるとい
> いですね。4日に岩渕さんに気仙沼に連れていっていただけそうなので、時間が
> あれば・・・、ということにいたします。

(2011/05/02 15:44), wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0180] 馬場中山の復興まちづくり

> 阿部さん、皆さん、ご苦労さま/本多です。
> 阿部さんが紹介してくれたサイト、見ました。
> そのほかに、馬場中山の住民自身が作っているHPがありました。
> http://babanakayama.client.jp/
> TV番組(被災地・再起への記録、孤立集落・どっこい生きる)で見ましたら、・・・
> この集落の人々は、集団避難をせず、自力で避難所風の木造建築を新築して共同
> 生活をしつつ、仮設住宅が出来るのを待っているようですが、仮設住宅用地(高
> 台の休耕地)を自分たちで決めて、「工事用の道路がない」というので、道路を
> 自力で建設して、県に(仮設住宅建設を)要請していました。県の担当者が現地
> に来て「水道がないのが問題」と言って「検討する」と言っていましたが、水道
> はその土地から300mのところまであるそうですから、実現可能なのではない
> かと私は思いました。
>  現在も住民はひとまとまりで生活しているし、仮設住宅もまとめて建設するだ
> けの土地があり、民有地ですが、地主は全員コミュニティの人々とのことですか
> ら、従来のコミュニティがまとまって復興まちづくりに取り組むことが出来そう
> です。
>  道路建設に重機が必要とか、いろいろ必要なものは、ネットを活用して全国・
> 全世界からの支援を受けていると言う点もすごいと思います。

2011年

4月

30日

仮設住宅に住むノウハウ集めたサイト 「仮設のトリセツ」 開設

東日本大震災:仮設住宅に住むノウハウ集めたサイト開設たサイト開設

仮設住宅に住むノウハウが満載のウェブサイト「仮設のトリセツ」
仮設住宅に住むノウハウが満載のウェブサイト「仮設のトリセツ」

毎日新聞110517】仮設住宅に住むノウハウを集めたウェブサイト「仮設のトリセツ」(http://kasetsukaizou.jimdo.com/)が開設された。04年の新潟県中越地震の仮設住宅で、入居者の情報交換のためのオープンカフェを開き、入居者の知恵を集めて公開した新潟大学工学部建設学科の岩佐明彦研究室が開いた。仮設の住環境を快適にするヒントを写真付きで紹介している。

 仮設住宅は、鉄の柱と薄いパネル状の壁でできている。熱と音が伝わりやすいため、夏は暑くて冬は寒く、結露しやすい。隣室に音が響くという問題点もある。同サイトには、壁に段ボールを張って防音▽プチプチの梱包(こんぽう)材を窓ガラスに張って結露を抑える▽フックや押しピンとしてマグネットを利用--などの事例を載せている。

 手の込んだものでは、外壁に園芸用の格子状のトレリスを取り付けて花を飾ったり、物置や犬小屋、サンルームを作った例もある。だが、全く手を入れないで住む人たちもいたという。

 同研究室の田沢孝紀さん(23)は「仮設の入居期間は原則2年ですが、中越地震では3年間住んだ人もいて、入居中の住環境整備は大切です。仮設を住みこなす知恵を広く知ってほしい」と話している。【中村美奈子】

 

2011年

4月

30日

厚労省 「東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱について」 を被災3県に通知

2011年4月30日(土)、厚生労働省は、岩手県、宮城県、福島県の被災3県に対し「東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱について」を通知しました。

 

110430東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱につ
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2011年

4月

30日

福島県 「仮設住宅、大半が都内に発注…地元業者が悲鳴」

読売新聞110430】東日本大震災と福島第一原発の事故で、避難者向け仮設住宅の建設の大半が都内の業者に発注され、福島県内から悲鳴が上がっている。

 県は急きょ、当初予定の1万4000戸のうち4000戸を県内業者に割り当てたが、4倍を超える応募が殺到。「震災で建設業界は休業状態。地元に仕事をさせてほしい」との声がわき上がっており、県は今後、地元割り当て分を増やすかどうか検討する。

 県は3月下旬、仮設住宅1万4000戸を7月末までに提供する目標を立てたが、震災以前に、大手住宅メーカーが名を連ねる東京都のプレハブ建築協会と災害時の協定を結んでいたため、同協会の会員が全て請け負う形になっていた。

 県土木部は協定締結の理由を「緊急時用の建築資材を備蓄していて、速やかに仮設住宅を建てることができる」と説明するが、県建設業協会の三瓶英才 会長は「仮設住宅は一定の技術を持つ業者なら作れる。福島県の復興のためには、仮設住宅の建設は相当程度、県内の業者に任せるべきではないか」と訴える。 冷え込む県内経済に震災と原発事故が追い打ちをかけた格好で、「県内の建設業全体が開店休業状態」だからだ。

(2011年4月30日10時15分 読売新聞)

2011年

4月

29日

福島県 「県、借り上げ家賃負担 避難所生活困難な世帯-来月から /福島」

毎日新聞110429】県は28日、避難所や公営住宅ではなく自主的に民間住宅を借りて生活している避難者に対し、5月1日以降に県が住宅を借り上げて家賃を全額負担する特例措置をとると発表した。介護が必要な高齢者や障害者を抱える家庭が避難所を出て生活しているケースがあり、支援を求める声が上がっていた。

 通常の借り上げ住宅は県が物件を探して入居者を募集するが、今回は既に入居した世帯から申請を受け付け、他の借り上げ住宅や仮設住宅と同程度の条件と認められれば、県と家主との契約に切り替える。

 対象は、家賃6万円以下で耐震性のある賃貸住宅。住宅の全壊や原発事故で避難した被災者のうち、介護が必要な者や乳幼児への対応で避難所生活が困 難と市町村が認めた世帯。期間は原則1年で、やむを得ない場合のみ2年まで延長する。県土木部は「3、4月にさかのぼって補助してほしいとの声もあるが、 避難所にいる人との公平性からは難しい」としている。【関雄輔】

 

2011年

4月

25日

宮城県仙台市 「仙台市、契約済み賃貸も応急仮設扱い 補助手続きあす開始」

仙台市、契約済み賃貸も応急仮設扱い 補助手続きあす開始

河北新報110426】仙台市は25日、被災者が既に個人で契約した民間賃貸住宅を、応急仮設住宅として扱う手続きを27日に開始すると発表した。一定の条件を満たした場合、宮城県が住宅を借り上げ、国と県が2年間、家賃を基準の範囲内で負担する。

 県の借り上げ契約の条件によると、賃料の上限は、入居世帯が3人の場合で1LDK、2DKで6万8000円、2LDKで8万8000円など。賃料の1カ月分までの敷金、礼金のほか、共益費なども負担する。
 仙台市の奥山恵美子市長は今月初め、民間住宅を契約した被災者の不公平感をなくすため補助する考えを示していた。県は22日、既に契約した民間賃貸住宅も応急仮設住宅として扱う方針を決め、各市町村に説明した。
 27日から仙台市役所などで配布する応急仮設住宅の入居申込書に記入し、罹災(りさい)証明書と賃貸借契約書の写しを添えて郵送で申し込む。
 今後契約する人も、市役所北庁舎に応急仮設住宅の入居申込書と罹災証明書を持参すると、市職員が入居資格を判断する。罹災証明書が未交付の場合は後日、提出する。
 連絡先は市役所応急仮設住宅受付窓口022(214)0010(午前9時~午後5時)。

 

2011年

4月

23日

福永博建築研究所ほか コンテナシャワー・バスユニットが完成

浴室とトイレ、避難所巡回 コンテナ改造 試作品完成

西日本新聞110424
西日本新聞110424

西日本新聞110424】13万人が避難所で暮らす東日本大震災の被災地のためにと、福岡市の建築家福永博さん(65)が移動式の浴室とトイレを開発し、23日に試作品ができあがった。どれも貨物輸送用の20フィートコンテナを生かして作るため、4トントラックに積んで避難所を巡回できる。被災地は衛生環境の悪化が深刻で、量産して届けたいと協賛を募っている。

 「浴室ユニット」(製作費300万円)はプロパンガス式の給湯器と浴室二つ、シャワー室四つを備える。「トイレユニット」(同350万円)は浄化槽を内蔵し、水洗の大便器三つ、小便器二つと手洗いがある。いずれも男女別に区切られ、コンテナの両端にドアがある。別に汚物の回収槽と焼却炉も考案し た。

 避難所の多くは風呂がない。15日発表された政府の調査結果では、回答した避難所の3分の1で「入浴は週1回程度」の不便を強いられている。

 福永さんはこれまで、福岡市の都市景観賞や福岡県建築住宅文化大賞を受賞。被災者の苦境を知って「建築のプロとして何ができるか」と知恵を絞り、下水処理施設がなくても使え、現地での工事も要らない自己完結型の設備を考え出した。

 1台1週間で製作でき、試作品は宮城県に搬送して避難所を巡回する。「義援金も大切だが、早急に必要なのは衛生環境改善のためのトイレや風呂の現物支援。少しでも安らげる空間を九州から届けたい」と、協賛してくれる企業や団体を求めている。

 福永博建築研究所=092(714)6301。

=2011/04/24付 西日本新聞朝刊=

浴室ユニットの試作品と設計者の福永博さん。遮熱材で覆われたコンテナの中に浴室が二つ、シャワー室が四つある=23日、福岡市西区田尻

20フィートコンテナを活用した(右から)浴室、トイレ、浄化槽の各ユニットの模型(福永博建築研究所提供)

被災者にくつろぎを 巡回型ユニットバス完成 福岡の建築研究所

産経新聞110417
産経新聞110417

産経ニュース110424】 東日本大震災で避難所暮らしを強いられている被災者を支援しようと、福岡市中央区の福永博建築研究所が23日、巡回型のシャワー付きユニットバスを完成さ せた。この日は試運転も行い、シャワーや蛇口から設定通りの温水が出ることを確認した。早ければゴールデンウィーク明けにも被災地に運び込む予定。

 現地での大がかりな工事をなくし、各避難所を定期的に巡回できるよう、4トントラックに積める輸送用の20フィートコンテナ(長さ約6メートル、幅約 2・4メートル、高さ約2・6メートル)を改造。外壁は、日中に室温が上がりすぎないよう、断熱性の高い塗装を施した。

 内部は、中央で男性用と女性用のスペースを区切り、それぞれシャワー室2つと浴室1つを設置。男女が同時に3人ずつ使用できる設計となっている。

 移動や清掃の時間が毎日必要なため、1日8時間の稼働を想定。1人20分間で入浴を終えるとすると、1日に144人、1カ月で4300人超が利用できる。

 水道水か井戸水を供給でき、排水設備があることが条件。同研究所では東京のNPO法人と協力しながら、現地で巡回ユニットバスを運営できる団体を募集している。

 また、同研究所は同型のコンテナを利用した移動式トイレも試作中。汚水は浄化槽で処理し、汚物は乾燥させて焼却処理できる仕組みで、実用化に向け協賛を募っている。

 同研究所の福永博所長(65)は「建築の専門家として被災地の衛生環境の整備を考えてきた。トイレについても早く現地に運び込めるようにしたい」と話している。問い合わせは同研究所((電)092・714・6301)。

「お風呂コンテナ」を開発!入浴難解消へ

日刊スポーツ110505
日刊スポーツ110505

日刊スポーツ110505東日本大震災で不自由な避難所生活を送る被災者のため、福岡県の建築家福永博さん(65)が貨物用20フィートコンテナを改造した移動式風呂を考案、このほど試作品が完成した。福永さんは「テレビで避難所の方々の苦労を見ていて思いついた。建築家の自分にできることはこれぐらいだが、1日も早く現地に送りたい」と話した。

 「お風呂コンテナ」 は長さ約6メートル、幅約2・4メートル、高さ約2・5メートル。男女それぞれシャワー室2つに家族で入れる浴室1つ、計6つの個室がある。4トントラッ クに積んだまま利用できるため、給排水さえ出来ればどこでも設置、巡回が可能だ。福永さんによると、プロパンガスへの接続や清掃時間などを除き、1日8時 間の稼働を想定。1日約100人超、1カ月で約3000人超の利用を見込む。

 製作費用は約300万円。試作品は自腹で、1週間で作り上げた。「これから夏場にかけ、避難所は衛生環境の整備が必要だ。自衛隊のテント式風呂も あるが、個室の方がよりくつろいで入ることが出来る」。現地での運用や複数設置へ向け、協賛する企業や団体を募っており、既に数件の問い合わせがあるとい う。

 また福永さんは、排せつ物を焼却処理できる自浄装置などをセットにした「トイレコンテナ」も同時に開発。「老人の介護用に改造できないかとの声も あります。(距離が)離れていると、どうしても被災地の現状を忘れがちになってしまうが、九州からも支援の声をあげていきたいですね」。風呂とトイレの試 作品は、連休明けに実際に現地に運び、避難所を巡回する予定だ。【石井康夫】

 [2011年5月5日8時47分 紙面から]

テレビ報道は【こちら】をご覧下さい。

110420プレスリリース.pdf
PDFファイル 57.5 KB
110423お風呂シャワー巡回コンテナ号の提案.pdf
PDFファイル 296.8 KB
110423トイレの概要.pdf
PDFファイル 360.3 KB

福永博建築研究所

 

当ホームページの関連記事は【こちら】です。

この取り組みの動向は【motherboard 2011「日本の道」】に継続して掲載されています。

 

(2011/04/24 23:21), 丸谷 博男  wrote:

Subject: [fukkoushien_member:0037] 丸谷です。

 

> 昨日は、福岡の福永さんの取り組んでいましたコンテナシャワー・バスユニットが完成し、テレビや新聞の皆様にご紹介しました。 早速、テレビニュースや新聞に掲載されました。

>  

> ■コンテナシャワー・バスユニットを完成しました。

>  http://japanroad.exblog.jp/15292048/

> ■トイレユニットのための浄化分離装置、焼却炉もつくりました。

>  http://japanroad.exblog.jp/15348345/

> このコンテナを連休明けに現地に運び、避難所へと向かいたいと思っています。

> 5月3~6日に、丸谷が現地に行き、各自治体に相談に行って来ます。

> また、現地での運送を担当する工務店の皆様とも細かい詰めをしてきます。

> 仙台、石巻、陸前高田、大船渡を考えていますが、何処まで行けるかは現地次第ということになります。

> 何か要請がありましたら、ご連絡下さい。

 

(2011/04/25 18:03), 鹿瀬島 隆之 wrote:
Subject:     [fukkoushien_nuae:0094] お知らせ

 

> さっきいただきました、福永事務所からニュースの
> 報告のメールを転送します。
> 宜しくお願い致します。
>>  土曜日は、お忙しい中ありがとうございました。
>>  TNCが土曜日の取材を今日の夕方のニュースで再放送してくれます。
>>  お時間があえばご覧下さい。
>>  ・テレビ西日本…本日18:15~18:55の中です。
>>  明日は、NHKの取材です。
>>  放送は、昼のニュース12:15~、夕方のニュース18:00~
>>       のどこかで放送予定。
>>  NHKは、また明日お知らせします。
>>                福永博建築研究所・福永晶子
>  
> ■下記は支部宛に送ったメールです。
>
> 4月23日(土)の西区田尻の現場での、福永氏考案及び作製の浴室シャワー
> ユニットとトイレ処理ユニットの報道陣への公開が掲載されていました。
> 地元テレビ局3社と西日本新聞社が取材に訪れていました。
> 明日にはNHKの取材がある模様です。
>
>  <一部写真は下記>
> http://www.shinken-fukuoka.net/%E9%9C%87%E7%81%BD%E6%83%85%E5%A0%B1/%E6%B5%B4%E5%AE%A4%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88-%E7%A6%8F%E6%B0%B8/
> <http://www.shinken-fukuoka.net/震災情報/浴室プロジェクト-福永/>

 

テレビ報道は【こちら】をご覧下さい。

(2011/04/30 14:24), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0153] Re: 岩下繁昭さん「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」

 

> 丸谷です。

> それから、本多さん、ありがとうございました。
> 3日からの準備の真っ最中。
> 見つからなかったレンタカーをやっとゲットしました。
> 福永さんのサニタリーコンテナを受け入れ探しで、町や市にファックスを送っていま
> す。先ほど、陸前高田から返事がありました。
> 返信の電話を頂けただけで感激してしまいましたが、内容か下記の通りでした。
> 水道が復旧していいないところが多いため使えない。
> 避難所では、水まわりの供給があ理、浄化槽もあるので、間に合っている。
> とのことで、採用する場がないとの事でした。
> あとは、東松島市、石巻市に送っています。

(2011/05/02 11:09), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0173] 丸谷より朗報です!

> サニタリーユニットの要望が、女川からありました。
> 山奥の避難所が、ちょうど該当するのでお願いしたいとの事でした。
> 5日に現地で打ち合わせてきます。福岡の片井さん、よろしく。
> いくつかの市町村にファックスを送っていたのですが、返事は30~40%の確立です。
> 南三陸町、石巻市、名取市は返事がありません。

(2011/05/02 12:42), 片井克美 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0175] Re: 丸谷より朗報です!

> 丸谷さん 片井です。
> 先ほど東京に着きました。
>
> サニタリーユニットの件良かったですね。ご苦労様でした。
> 後はしっかりと現地を見て、打ち合わせてきたいと思います。

(2011/05/03 1:23), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0187] 丸谷より皆様へ

 

> コンテナサニタリーユニットは、各自治体を回り、現場のニーズを聞き取りしてきま
> す。
> 昨日の朝、受け取りの意向を示してくださいました女川町は、結局取り消しとなりま
> した。
> 予定していました半島の避難所では、プロパンガスが使えないと言う事が判明したか
> らです。
> その理由は、女川原発の目の前にあり、炊き出しでさえ、ガスは使わないことになっ
> ているそうです。驚きました。
> 10時間くらいのぬか喜びでした。

 

(2011/05/08 10:54), 丸谷 博男  wrote:
Subject: 丸谷より報告です。

> ■現地調査に基づき、福永博さんが、福岡市長室にサニタリーユニットを届ける方向で
> の協力を要請し、受け入れ側現地石巻の相川ですが、そちらの方から市長室へ要望を
> 届けるようお願いしてきました。
> 現地での設置経費は期待できない事がわかりました。予算が絡むとおそらく途中で話
> はなくなるだろうとの現地土木事務所の所長の判断でした。

(2011/05/17 19:23), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0268] 丸谷です。コンテナ風呂設置場所が決まりました。

> 宮城県東松島市・小野市民センターに設置が決まりました。
> 関係者の皆様に、感謝いたします。
> 詳しくは、添付資料をご覧下さい。
> 福永博建築研究所、新建福岡支部、そしてNPO法人日本の道の協力で実現しました。
> 現地設置は22日頃です。

小野市民センター概要_110512(名刺なし).pdf
PDFファイル 497.8 KB

(2011/05/17 20:14), 住まいとまちづくりコープ wrote:

Subject: [fukkoushien_nuae:0269] 丸谷様 福永様 千代崎です。Re: [fukkoushien_nuae:0268] 丸谷です。コンテナ風呂設置場所が決まりました。

> 丸谷様 福永様
> 良かったですね。視察コースになりますね。

(2011/05/17 21:06), Takeyama Kiyoaki wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0270] Re: 丸谷です。コンテナ風呂設置場所が決まりました。

> 丸谷さん、竹山です。
> 被災地に救援に入いりましたが、大きな問題の一つは被災者が自分で調理する環境がないことです。
> 朝はパン、夜は冷たいおにぎりに炊き出しの味噌汁というのが多いパターンのようです。
> お母さん方は、このような食事では子どもの健康や発達に大いに障害があると思っています。
> 避難所などの空き地に、お母さん方が複数家族で自力調理ができるような台所コンテナーの普及ができないでしょうか。
> 浴室をつくるより多くの台数が必要でしょうが、福永さんやその他の方も協力いただいてご検討いただければありがたいですね。

(2011/05/18 5:52), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0276] 丸谷です。

> 復興会議。意見交換が活発ですね。
>
> ■竹山さん。
>
> 久しぶりです。5月29日の夜、大阪で報告会をします。
> お時間ありましたら、お出かけください。
>
> さて、キッチンの話ですが。避難所では、まとめての調理ですね。
> 健康や、家族での手作りでの料理は難しい状態です。
> でも、大切なことです。
> 心温まる手作りの料理が一番の癒しです。
>
> 福岡では、テレビや新聞のマスコミ対策があり、ほとんどのメディアがコンテナサニ
> タリーを取材してくれました。東松島市の設置の様子も放映してくださりそうです。
> 撮影はこちらでやってほしいとのことでしたが。
>
> さて、この報道の中で、反応はほんの2件。唐津の知人設計者が福永さんに電話を、そ
> して福祉団体から、介護コンテナの要請があり、契約したところです。
> キッチンコンテナ、介護風呂コンテナ、事務所コンテナの三台で、約1000万円の発注
> です。
> 福永事務所ではさっそく、準備にかかっています。
> おそらく、持って行き場所は、東松島市の避難所です。(ちょっと不確かですが)
> 福岡から、介護支援の職員が出向きます。
>
> ■被災地域に、復興住宅のための、補助金から手続きから便利手帳が無料配布されます。
> 北海道や東北ではおなじみの住宅雑誌ですが、「リプラン」です。
> 添付資料が、掲載されました私たちの取組みです。
> この雑誌は、県の許可を取っていますので、被災者の手に渡るものです。全戸配布の
> ようなものです。
>
> ■山下さん
>
> 6月17、18、19日に再度現地入りします。人数は、まだ未定です。

(2011/05/18 9:18), Takeyama Kiyoaki wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0278] Re: 丸谷です。コンテナ風呂設置場所が決まりました。

> 竹山です。
> 自分のメールに自分で返信するのは変ですが、後でゆっくり考えてみて気づいたことがあるので書きます。
>
> 調理施設は、お風呂のように大がかりではないので、各避難所の屋外にそのようなものを置けば済むのですね。
> これから季候が良くなるので、屋外設置で問題がないでしょう。
> 避難者が自分で触れる給水蛇口と簡易な流しを増設する。
> 簡易な調理台とガスボンベコンロ(被災者が自分で用意しても良い)を設置する。
> 共同で利用する冷蔵庫を置く。
> 近くに食事のできるテーブルや椅子を置く。
>
> まあ早い話、キャンプ場のバーベキューコーナーのようなものを数十家族分の規模で設置するというイメージですね。
> 各府難所で、そのような設備設置の運動をするのでしょうかね?

(2011/05/18 10:56), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0282] 丸谷より福永さんからのメッセージです。

 

> 皆様
>
> 今朝、お知らせいたしましたコンテナサニタリーですが、
> 是非皆様には実際に見ていただきたいと思います。
> 私自身もそうでしたが、コンテナであることに、あまり良い印象を持っていませんで
> した。ところが、実際に出来上がってみると、何とも柔らかさがあるのです。
> 短て方向の壁に杉板が貼ってあるだけでも、柔らかい印象となるのです。
> 現地での作業を省く意味でも、可能性は大きいと言えると思います。
> 鈴木浩先生には、とくにお時間あったら見ていただきたいとのことでした。
> 現地設置日は23日だそうです。

2011年

4月

22日

東京大学高齢社会総合研究機構 「Aging in Community ケアタウン構想 東日本大震災復興まちづくり提言」 を発表

2011年4月22日(金)、東京大学高齢社会総合研究機構は「エイジング イン コミュニティケアタウン構想」をテーマとする東日本大震災復興まちづくりを提言しました。

提言構想

Aging in Community ケアタウン構想
revival_proposal Ver110422.pdf
PDFファイル 791.7 KB

提言具体案(提言を具体化する案を随時更新していきます)

◇第一弾/仮設住宅地に向けた提案

コミュニティケア型仮設住宅の提案
engawadekki_ver.4.pdf
PDFファイル 3.0 MB
復興まで見据えたリビングアクセスの住戸プランの提案Ver.2
planvariation_ver.110425.pdf
PDFファイル 928.3 KB

◇第二弾/***

関連文章:季刊まちづくり号外(WEB版)>【仮設住宅からケアタウンへの連続性の確保】後藤純(東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員)

 

373号 復興計画はケアタウン構想 東京大学高齢社会総合研究機構が提言

ワタキューメディカルニュース110426】4月22日、東京大学高齢社会総合研究機構は「エイジング イン コミュニティケアタウン構想」をテーマとする東日本大震災復興まちづくりを提言した。
 提言では被災地の復興について、高齢化率が30%を超える地域も多く、生活はもとより、高齢者が孤立することなくコミュニティで暮らし続けることを実現することにあり、「超高齢社会のコミュニティづくり」の第一歩と位置づけた。
実証実験でケアタウン構想
  同機構は高齢社会の課題解決をテーマにし、研究、教育、連携を行い、エイジング イン プレースをテーマに千葉県柏市の住宅団地、福井県をフィールドとして活動している。09年4月からは千葉県柏市豊四季台地区の住宅団地で、建替え需要を巡り、柏市、UR都市機構と協働で講演会、研究会などの「長寿社会のまちづくり」活動を行ってきた。
 国の地域医療再生計画で、千葉県から申請したもののうち、在宅医療・ケアの推進については千葉大学、県内医療機関の連携をとり、東京大学同機構が10年度から4年計画で同機構の寄付プロジェクトとして担い、在宅医療の研修プログラムの整備、医師の研修、柏市豊四季地区の医療拠点を中心に在宅医療・ケアの実践と教育を行っている。
 東京大学は柏市にキャンパスがあり、ここを拠点とするジェロントロジー研究教育センター(仮称)がこの春に竣工した。同センターでは、MRI・CT等の検査、健康管理やケアができる看護介護相談室、人間行動や脳活動の計測室研究室等の研究施設を配置する。ジェロントロジーの学際的研究施設としては唯一のものになる。
 柏市豊四季台団地は入居以来40年を経て、建替え需要が発生、同時に在宅医療・ケアに配慮したまちづくりの実証実験として構想された。福井県での実証実験は医療費などの分析、高齢者の運転・公共交通のあり方に関する研究、限界集落の研究等を実施している。
復興の計画もコミュニティづくりで
  4月23日に第2回を開いた東日本大震災復興構想会議(五百旗頭真・防衛大学校長、神戸大学名誉教授)は、復興計画について超高齢社会のあるべき姿を検討した。超高齢社会では、必要なときに医療・介護サービスが受けられるモデルを示す必要性が強調された。復興構想会議は復興に向けた指針策定のための復興構想を議論するための会議で6月末までには提言をまとめる予定だ。2回まで開催したところで復興構想にあたるものは出ていない。
 一方、東京大学同機構の案ではコミュニティ復興の際に連続性の確保を重視している点が重視され、仮設期から復興期にいたる際にもコミュニティの連続性が強調される。仮設住宅についてもコミュニティ重視の住宅建設を提言する。
 ケアタウンのイメージは、ケア拠点としてユニット化された高齢者向け住宅、小規模多機能型サービス。訪問医療と開業医、拠点診療所との連携。コメディカル、介護スタッフとの連携がそれぞれネットワークされている事が理想である。
  厚生労働省は11年度第一次補正予算案、総額1兆8千4百億円を公表した。医療施設、介護施設等の復旧に906億円を当てた。災害復旧の施設整備について 国庫補助率を引き上げ、復興計画を後押しする。公的医療機関については2分の1から3分の2にあがる。岩手県、宮城県と福島県については10年度補正予算で設けた「地域医療再生基金」120億円の確保を予定。認知症高齢者グループホーム等介護施設に係る施設整備、障害者支援施設等は2分の1から3分の2に上がる。介護老人保健施設については3分の1から2分の1にとどまる。
 事業者への融資措置として121億円も用意する予定である。福祉医療機構による医療施設・福祉施設に対する優遇措置は貸付利率を一定期間無利子とし、融資率を100%とする。総額は財政投融資追加分として1700億円となっている。

 

2011年

4月

21日

岩手県 「被災者の自力入居も家賃負担 仮設住宅扱い」

被災者の自力入居も家賃負担 仮設住宅扱い

毎日新聞110421東京夕刊】東日本大震災で住宅を失った被災者が避難所などから民間賃貸住宅に移るケースに関し岩手県は、被災者が既に自力で入居した賃貸住宅も借り上げ対象にして家賃や共益費を負担する独自方針を決めた。入居契約時にさかのぼって敷金や礼金を負担することも検討。家賃には上限を設けるものの、契約期間は仮設住宅と同様2年とする。仮設住宅の供給が遅れている中、早期の生活再建には柔軟な支援が必要と判断した。

 災害救助法は避難所早期解消のため、県が民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とすることを認めており、県の借り上げ後に被災者は避難所などから移る仕組み。しかし、それに先立ち被災者が自力で契約・入居した場合は対象外で、岩手県は「入居時期が違うだけで不平等が生じるのは問題」(地域福祉課)と判断した。

 同法に基づく借り上げ手続きが始まっている宮城、福島両県の担当者も自力入居の場合に関し、毎日新聞の取材に「何らかの支援ができないか検討中」と話している。

 被災地の避難所では今も家を失った人が多数暮らすが、仮設住宅の供給は始まったばかり。自宅兼店舗を津波で流され、避難所で暮らす岩手県宮古市内 の自営業の男性(68)は「市内で床上浸水にとどまったアパートをなんとか押さえた。住める状態になるのを待って入居するつもり。被災者はみな経済的に 困っている。家賃を支援してもらえるならありがたい」と話す。

 ただ、自力で入居した住宅の契約時にさかのぼって支援することには、厚生労働省が難色を示している。仮設住宅や借り上げ賃貸住宅の財源は国の補助 (最大90%)に依存しており、岩手県地域福祉課は「遡及(そきゅう)して支援できるよう、今後も国に要望する」と話している。【川口裕之】

 

2011年

4月

21日

被災3県 国の賃貸住宅あっせん「待った」 被災3県、誤解懸念

国の賃貸住宅あっせん「待った」 被災3県、誤解懸念

朝日新聞110421】避難所暮らしが続く被災者に、国土交通省が民間の賃貸住宅の物件情報を提供しようとしたところ、宮城、福島、岩手の3県から「待った」がかかった。仮設住宅のように無償で入居できるのか、国の方針が定まらず、混乱を招くためだ。

 国交省とリクルートは民間住宅約4万件分の家賃や間取り、築年月を掲載した情報誌を作成。東北4県版(青森、岩手、秋田、山形)、宮城県版、福島県版、茨城県版の4種類を10万部ほど印刷し、県や市町村を通じて避難所に無料配布する予定だった。

 しかし、宮城県と福島県は「当面、配布は見合わせてほしい」と回答。岩手県も受け入れたのは県と市町村用の133部だけ。結局、印刷は計2万部にとどめた。

 災害救助法では、県が借り上げた賃貸住宅は仮設住宅とみなし、2年間の家賃を国費で負担することができる。しかし、被災者が自力で賃貸住宅を借りることは同法が想定していない。

 沿岸部を中心に広い範囲で被害が出て被災者は約13万人いる。仮設住宅は足りず、避難所の中には劣悪な環境のところもある。そんな中、自力で賃貸住宅を 借りた被災者の家賃も国が負担するのか、法の規定を貫くのか、法を所管する厚生労働省との調整が決着しないまま、国交省が情報誌を作った。

 一方で被災3県は、地元を離れたくない被災者向けに、各県内の賃貸住宅の借り上げを始めたばかり。国の紹介物件と重複すると困るという事情もあった。(歌野清一郎、坂田達郎)

 

2011年

4月

20日

岩下繁昭氏 「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」を発表

2011年4月20日(水)、岩下繁昭氏が「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」を発表しました。

110420プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題_岩下繁昭.pdf
PDFファイル 1.6 MB

(2011/04/30 13:51), 丸山 豊 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0151] 岩下繁昭さん「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」

> SAREX(住環境価値向上事業協同組合)という団体のHPに
> http://www.sarex.or.jp/
>
> 東日本大震災応急仮設住宅地域工務店ネットワークの提案
> 東北の仮設住宅は、東北地域木造産業で生み出そう。
> 全国の工務店はそのサポートに徹しよう。
>
> とあり、詳細はこちらをクリックしてご覧下さい、をクリックしたところ、
> 岩下繁昭さんという方が書かれた「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」
> と題する文章がダウンロードされました。
>
> 組織も個人も存じ上げませんが、
> 一定まとまった整理のように思えましたので添付します。

(2011/04/30 14:10), O SEKKEI INC. wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0152] Re: 岩下繁昭さん「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」

> 丸山さま
>
> 東京支部大沢 匠です。
>
> 岩下さんは私の別の活動である道具学会の
>
> 方です。繋げることができますのでどうぞ。
>
> ぜひ、地元工務店の力で仮設住宅を進めましょう。
>
> 大沢 匠

(2011/04/30 14:24), 丸谷 博男  wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0153] Re: 岩下繁昭さん「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」

> 丸谷です。
>
> 下記のレポートは、しっかりとまとまっていますね。

(2011/04/30 19:13), wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0156] 広瀬研出身( Re: 岩下繁昭さん「プレハブ応急仮設住宅の現状と抱える問題」

> 本多です。
> 丸山さん、大沢さん、皆さん、
>
> 岩下繁昭さんとは、以前、プレハブ建築を研究していた頃からの知り合いです。(前川事務所がつくったプレモス住宅の古いものを、一緒に解体調査したこともあります。)
> 彼は、新建東京支部代表の広瀬先生の研究室を出ました。
> ものづくり大学の教授だったと思います。
>
> この論文は、これまでの仮設住宅をよく調査し、今後の建設のための考察がしっかりしていて、役に立つものと思います。
>
> この論文の中でも少し触れていますが、「傾斜地に仮設住宅は建設できないか」という問題は私も、研究する価値があると思います。

2011年

4月

19日

厚労省 被災地に仮設介護拠点 9県に100カ所超

共同通信110419】厚生労働省は19日、東日本大震災の被災地である岩手、宮城、福島など9県にデイサービスなどを行う100カ所以上の仮設の介護拠点施設を建設することを決め、9県に通知した。仮設住宅に併存させる。国が大規模災害を受けて仮設の介護拠点をつくるのは初めて。2011年度の第1次補正予算案に70億円を盛り込む。

 岩手、宮城、福島の3県は、介護施設も津波に流されるなど壊滅的な被害を受け、多くの高齢者が避難所生活を余儀なくされている。施設の復旧までに相当な時間がかかることが予想されることから、仮設の介護拠点の設置を求める声が上がっていた。仮設住宅と併存させることで、孤独死や寝たきりの防止も狙う。

 対象となるのは災害救助法が適用された青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の9県。岩手、宮城、福島の3県には重点配置する。

 災害救助法は、50戸を超える仮設住宅地に集会所をつくることができると定めている。厚労省によると、この集会所を介護拠点施設とし、住民からのさまざまな相談に応じ、生活援助や介護の専門相談、心のケアなどを行う「ライフサポートアドバイザー」と呼ばれる専門家を配置。トイレや浴室、洗濯室、食事を作れる台所を設け、お年寄りや障害者、子どもたちが集えるよう、交流スペースも設ける。

 どのようなサービスを提供するかは地域の実情に応じて選べるようにし、年間約2千万円がかかると見込まれる、設備費や人件費といった運営費は全額国が負担する。

 04年の新潟県中越地震では、県から委託された社会福祉法人が長岡市内の仮設住宅地の集会所として、介護拠点施設を建設。お年寄りを中心とした被災者の生活を支えた。

 

事務連絡「応急仮設住宅地域における高齢者等のサポート拠点等の設置について」
厚労省から被災9県への事務連絡です
110419事務連絡.pdf
PDFファイル 575.7 KB

被災地の仮設住宅に介護拠点設置へ

TBS Newsi110419 動画】細川厚生労働大臣は、東日本大震災の被災地の仮設住宅に、今後、介護などのサービスを行う拠点を設置する方針を明らかにしました。
 「仮設住宅などが造られる所に 、介護・看護のようなサービスステーションを設置する」(細川律夫厚生労働相)
 仮設住宅に介護などの拠点が設置されるのは、岩手、宮城、福島など9県のおよそ100か所です。
 高齢者のデイサービスを行ったり、障害者などが集まるスペースを設置し、仮設住宅に入居した人の孤立化や孤独死を防ぎたいとしています。
 2011年度の第一次補正予算案に70億円を盛り込む方針で、国が費用を出して仮設住宅に介護拠点を設置するのは初めてのことです。(19日13:31)

 

2011年

4月

19日

天然住宅BANK 仮設じゃない「復興住宅」プロジェクト を始動

天然住宅バンクが、仮設じゃない「復興住宅」プロジェクトを始動。宮城県気仙沼市と宮城県栗原市で話し合いを始めています。

2011年

4月

18日

仮設市街地研究会 「大型客船を復興基地に!(緊急提言3)」 を発表

2011年4月18日(月)、仮設市街地研究会が「大型客船を復興基地に!(緊急提言3)」を発表しました。

大型客船を復興基地に!(緊急提言3)
teigen3_kasetu.pdf
PDFファイル 1.3 MB

2011年

4月

14日

関西広域連合防災局 「東日本大震災における『復興まちづくり』への提案」 ほかを発表

2011年4月14日(木)、兵庫県知事が、関西広域連合広域防災局「東日本大震災における『復興まちづくり』への提言」ほかを発表しました。

 

兵庫県:知事>記者会見東日本大震災の支援にかかる知事会見(2011年4月14日(木))

 

東日本大震災における『復興まちづくり』への提案
110414関西広域連合防災局_復興まちづくりへの提案.pdf
PDFファイル 414.7 KB
宮城県・土木インフラの復興に係る提案
110414関西広域連合防災局_宮城県土木インフラの復興に係る提案.pdf
PDFファイル 151.8 KB
中期を見据えた仮設住宅団地の提案
110414関西広域連合防災局_仮設住宅団地の提案.pdf
PDFファイル 890.1 KB

(2011/04/20 23:39), 鎌田一夫 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0049]  Message for fukkoushien_nuae
> 復興MLの皆さん
>
> 仙台の岩渕さんから下記の近況が送られてきました。復興に絡んでいろいろな動きが
> 出てくると予測されます。岩渕さんも指摘する通り、その中で新建がどう対処するか
> が問われています、ML参加の皆さんも率直に近況を発信してください。
>
> 支援会議 鎌田一夫
> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>
> 学会や研究団体大学関係者からは、現在次々と大震災の状況が報告されはじめ、それ
> ぞれの学協会・学術団体の真価が問われだし、マスコミの論調も復興のあり方に目線
> が移り始めました。まだ、避難者への支援活動が不十分な状況であるにも関わらず、
> 応急復興から復旧へと。そうする中ですが、また、関西広域連合広域防災局(兵庫県
> 都市政策課・住宅政策課)からは、4月14日、「東日本大震災における『復興まちづ
> くり』への提案」が提出される状況です。
>  支部ではこれらの提案等を見ながら、やはり早急に、地元団体から県民等の要望を
> 行政当局に提出必要があると考えております。

 

(2011/04/21 17:03), 久守 一敏 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0058] 関西広域連合と橋下大阪都構想、全国知事会議長をめぐって

> 岩淵さんの言われるように地元からの声が出来るだけ早く大きく届けることが重要にな
> っています。
> 阪神大震災の教訓から神戸市や兵庫県のデーターがベースになっていますが、関西広域
> 連合の提案は、大阪府の橋下知事の大阪都構想との関係で鞘当が盛んに行われている動
> きの一つです。道州制の導入に対する考え方の主導権争いが起こっています。山田敬二
> 京都府知事を全国知事会の議長に押し上げる方策として行われているようです。滋賀県
> の嘉田知事と合わせて関西広域連合は、福島県への支援を両府県に当てていることも含
> めて考えられることです。
> こういったこと別問題として考えても、全国復興支援会議としての方向性を早急に提案
> していただけると助かります。行政と協力して福島へ入るのもいいかもしれませんが、
> 全体の力の配分なども提案されると良いのではと考えています。

 

(2011/04/21 18:23), 鎌田一夫 wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0061] Re: 関西広域連合と橋下大阪都構想、全国知事会議長をめぐって

> 久守さん
>
> 岩渕さんも当惑している様子でしたが、この時期に関西広域連合と兵庫県の名で、こ
> うした提案がされた背景が少し分かりました。
> いろいろな思惑が動く中で、被災者一人ひとりに沿った復興策を見極めていく努力が
> 欠かせないように思います。

>
> 支援会議 鎌田一夫

2011年

4月

13日

黒田達雄氏 住田町仮設住宅への提案

4月13日(水)、黒田達雄さんは住田町の仮設住宅について提案を発進しました。【提案本文

住田町仮設住宅への提案 2011/4/13

 

丸谷様、皆様、
神戸の黒田です。

 

住田町の仮設住宅での地場産材の活用、地元建設業者の協力、ますますの発展と組織化が計れることを期待しております。

 

更に一つ提案させていただくなら、仮設から恒久住宅再建を一連のものと捉えて、自己敷地や安全な所への移転後の狭少敷地であっても、そこに「仮設的」小住宅(1DKや2DK)を地場材で本設として創り、その後に義援金や「生活再建支援法」や自治体独自の上乗せ支援による資金で増築して、恒久住宅として活用していく方法もあります。
これなら、せっかく地場材や地元工務店の協力で出来た仮設住宅から移転した後にそれを解体する無駄を省けます。
恒久住宅としての再建プランの一部を、当面の仮設住宅として建設する考えです。

 

阪神大震災では、プレハブ仮設住宅(2K)に250~300万円、その解体撤去に100万円を費やし、計350~400万円が全てプレハブ協会に流れただけで、「生活再建支援法」も阪神大震災の被災者には遡及適用されず、被災者はまた一から恒久住宅建設に多大な借金を負ったのです。
その後新潟の山古志村や能登地震での個人住宅復興では、「生活再建支援法」で300万円(まだまだ少ないですが)、自治体独自の上乗せ支援、 さらに「地元木材使用による自治体加算」などで、合計700~900万円の住宅再建支援金となり、被災者の早期住宅再建を促進させたのです。

 

これらの教訓からも、被災自治体にも独自の支援金加算を求めていく必要があります。


> 丸谷 博男
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>> 下記をご存知でない方はご覧下さい。
>> 昨日のテレビ出演(ひるおび)で佐藤隆雄氏が言っていた仮設住宅です。
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>> ■岩手県気仙郡住田町/仮設住宅を地元産の木材で建設
>> http://japanroad.exblog.jp/15194157/